最適なユーザー体験を追求したモバイルUXとは?
スマートフォンのアプリケーションやスマートフォン向けのWebサイトを作成するにはUX(ユーザエクスペリエンス)、つまりユーザーがそれを使用してどういった体験を得るかをデザインすることが重要である。
ここ5年間でスマートフォンは劇的に進化を遂げてきた。変わったのは電話機器だけではなく、ユーザー層が大きく変わってきている。そのユーザー層に合わせてUXも変化を遂げてきた。
それではスマートフォンのUXは登場からいままで、どのように変化してきたのだろうか?今回はキーワードを追いながら過去を振り返りながらUXを考えていきたいと思う。
スマートフォンの歴史
昔、スマートフォンといえば1998年~1999年に開発されたブラックべリーとパルムパイロットのみで主に30代のビジネスマンが使用していた。特段かっこいいわけでも、便利なわけでもなかったので一般層の多くの人には受け入れられない商品だった。
そのような中、
- テキスト、フルキーボード、スライド式キーボードが登場
折り畳み携帯が主流の時代、テキストは瞬く間に広まった。その後、従来の折り畳み式に対し、よりタイピングがしやすいクウォーティー、LGenVが誕生した。モトローラ社が開発したスクリーンをスライドすると出てくるキーボードは、人々をわくわくさせ、モバイル産業の革命となった。(スマートフォンが一般層へ普及し始めるきっかけとなった) - モバイルテック産業が一新 iPhoneの登場
はじめ、iPhoneはビジネスユーザーではなく、テクノロジーに精通したアーリーアダプターをターゲットとしていた。新しいもの好きで大金を払うことを恐れない彼らには大ヒット。このことを受けて、当然様々なメーカーがモバイル産業に参入したが、iPhoneに敵うような商品はなかなか現れなかった。例えばLGタッチスクリーン携帯はインターフェイスがちらかっていたし、モトローラもバッテリー問題が難しかった。 - アンドロイドの登場
スロースタートであったが、ようやくアンドロイドが競合として登場し、Apple社以外のスマホメーカーにとっての助け舟となった。OSのカスタマイズが大変に魅力的で、特に、何年もiPhoneをジェルブレイクしていたようなテクノロジーに精通した層にヒットした。 - 安価な値段での提供が可能に
ユーザー層の変化の大きな要因として値段が挙げられた。数年前まで3万から5万であったスマートフォンも、今や頭金なし、月々の値段に少し足される程度で買えるようになった。
このようにして、スマートフォンのユーザー層は、何年もiPhoneやアンドロイドを使ってきた現代テクノロジーに詳しいアーリーアダプターから、つい最近までトラックフォンを使っていたおじいちゃんおばあちゃんへとシフトした。
また、子どもまでもユーザーになった。学校は授業の一環にスマートフォン使用を組み込んでおり、親は子どもに自身のスマートフォンを持たせ、学校で調べ物をさせるようになった。
モバイルアプリナビゲーションとイコノグラフィーの変化について騒がれている理由はここにある。私たちは、まるっきり新しいユーザー層に向き合っているのだ。彼らはハンバーガーアイコンが何を示すかもわからないので、誰にでもわかるモバイルナビゲーションとイコノグラフィーが求められるのである。
モバイルアプリとウェブデザインにおけるUX
モバイルアプリのUXを考えるため、ウェブデザインの歴史について説明することにする。
破壊的なテクノロジーの歴史
まず、80年代にDOS(ディスクオペレーションシステム)が生まれた。これまでのプログラミングはモノに穴をあけ、機械に読み取らせていたのだ。
当時はとにかく仕事に役立つモノを得ることが重要で、まだ形、使い勝手、UXよりも機能が求められていた。
次に、90年代にインターネットが誕生した。ウェブサイトを持っているなどといえば魔法使いかと思われるような時代、当時のHTMLは美しいとはいえず、使いやすいとは言い難かった。
当時のサイトやプログラムはただ存在することに価値があり、ユーザーフレンドリーある必要がなかった。サイトも重く、画像は小さくしなければアップロードできなかった。
その後、HTMLやJAVAScriptが改善され、CSSが現れたあたりから状況が変わり始めた。人々はサイトをただ開くこと以上のこと、つまり、サイト上を簡単に飛び回ることができ、すぐに探し物ができることを求め始めたのだ。
時が経って、やっと形、使い勝手、UXが重要になった。訪問者はサイトがユーザーフレンドリーでないと感じると、すぐに別のサイトへ移ってしまうようになった。
形・使い勝手・素晴らしいUXがウェブデザインのキーとなり、機能は当然のものとなった。ユーザーフレンドリーなインターフェイスや見た目の良いウェブサイトこそがユーザーが期待することであり、何年もかけてようやく産業は成熟したと言えよう。
これらをどのようにモバイルアプリに適用するか
モバイルアプリデザイナーやデベロッパーはモバイルナビゲーションやイコノグラフィーのトレンドを必死に追っている。
モバイルアプリ自体は何年もあるので、アーリーアダプターはイコノグラフィーを熟知しているし、どんなナビゲーション構造が期待されるかもわかっているから、「今まではこうやってたよ」となら簡単に言える。しかしながら今までのデザインでは不十分で、よりユーザーのことを考える必要がある。
以前モバイルが登場したばかりで目新しかったときには、アプリがとにかく読み込めばそれだけで感動していたが、今は読み込み速度が迅速であることが求められるだけでなく、見た目も素晴らしく、使いやすさも抜群であることまで求められているのだ。
インターネット市場が物凄い速さで成長したことは周知の事実かもしれないが、モバイル市場はそれ以上に速いスピードで変化していることを認識しよう。
モバイルユーザービリティと素晴らしいUXが期待されているなら、テストしてみよう!
私たちは全てのモバイルをテストしていく必要があるだろう。デザインは、デザイナーが好き勝手作っていいものではない。昔のインターネットが悪い例である。今、人々が求めるデザインは、魅力的で使いやすくなければならない。使いやすさの判断は、モバイルユーザービリティテストをしたら良い。当然、テストは身近な家族や友人にお願いするのではなく、開発者にとって最も象徴的なユーザーモデルであるペルソナに試してもらおう。
最後に
モバイル市場の成熟度は早い。魅力的でないUXや平均以下のUIはもはや受け入れられない。
開発したモバイルアプリが完璧でなければ、ユーザーは怒ってすぐにそのアプリの使用をやめてしまうことだろう。是非ペルソナにユーザービリティテストを実施してほしい。もし特定の産業のユーザーをターゲットにしているのではなく、一般層を対象にしているのならば尚更である。
UXはモバイルマーケットで成功するキーワードである。素晴らしいUXを創ることに鋭い焦点を当て続けよう。そうすれば、ブランドの信頼と利益が富むことだろう。