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AppleがあえてAmazonEchoにHomePodをぶつけた理由

2017年のWWDCで、Appleは大方の予想通り、Siriを家庭で使うことのできる「HomePod」を発表しました。

家庭用のAIアシスタントとしては、Amazonの「Echo」(2014年末)やGoogleの「Google Home」(2016年11月)に続くものになります。

家庭用AIアシスタントとして、Amazonの「Echo」のシェアが高いと言われる中、どうしてAppleは「HomePod」をあえて発表したのでしょうか。

AIアシスタントではなく家庭用スピーカーの延長

AppleのHomePodはもちろんSiriを使用したアシスタントの機能もあり、AmazonのEchoのように、ニュースを読み上げたり天気予報を読み上げたりする機能を持っています。

しかし、AppleがWWDCで強調したのは、AIアシスタントとの機能ではなく、オーディオスピーカーとしての「音質の良さ」だったのです。

実際、HomePodは、音の出る方向を調整することが出来る「ビームフォーミング」の機能を持つツイーターを7つも搭載し、4つの低音用ウーファーと6つのマイクで環境を検知してます。そして、iPhone6世代と同じA8プロセッサを搭載していますが、それはSiriのAIアシスタントに使用するわけではなく音質を高めるために利用していると言います。

競合に対して、価格が高いHomePod

HomePodは、ライバルのAmazon Echoが179.99ドル、Google Homeが129ドルなのに対して、349ドルと高額です。
その理由はもちろん、高級オーディオ並の音質にこだわったためだと考えられます。

Amazon EchoやGoogle Homeが買いやすい価格でリビングやキッチン、ベッドルームなど気に入ればあちこちに配置する事ができるのに対して、AppleのHome Podは、大型の液晶テレビのようにリビングに据え置かれることを想定しているので。

考えてみればHomePodの価格はスマートフォンからBluetooth経由で再生できるBoseなどの高級ワイヤレススピーカーと同じか少し高い価格帯になっていますので、AIスピーカーとしてではなく、まず音響機器としてリビングの一角をApple製品でおさえることを狙っているのでしょう。

スマートホーム戦略も抜かりなし

HomePodは、もちろんAppleのスマートホーム戦略の中心にもなり得るデバイスです。HomePodを使用して、Appleの「Home Kit」対応の家電製品のコントロールも可能になっています。

リビングにHomePodがあり、各部屋にはiPhoneやiPadがあれば、複数のAIスピーカーは必要ないわけです。

利用者の情報を取りたいIT企業とその逆を行くApple

Amazon EchoやGoogle HomeはAIアシスタントを使用するのに、AmazonやGoogleのIDの登録を求めます。
その理由は、もちろんユーザの利用状況を自社で行動データとして蓄積してそのデータを活用して新しいサービスの開発などに役立てようとしているからです。

しかし、AppleはAppleIDなしでもHomePodを利用する事が出来るとしていますし、Siriに呼びかけない限り、データをAppleに送信することはないと上級副社長のシラー氏は強調しています。

これはAmazon Echoが呼びかけがなくても常にマイクで周辺の音声を拾い、データをAmazonに送っているのではないかとする疑惑に対する発言であると考えられます。
Appleの立場はAmazonやGoogleと異なり、顧客のデータは取得しない方針なのです。

AIアシスタント付きオーディオかオーディオ付きAIアシスタントか

このようにAppleはHomePodのオーディオ機器としての魅力を高めることによって、EchoやGoogle Homeとの差別化をはかってきました。

実際のところ、どちらが家庭内でより利用されるものになるかは不明ですが、AppleのHome Podが日本で発売される2018年が待ち遠しい限りです。

 

 

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