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「Autodesk Vault」で始めるデータ管理術~Vaultを使ってできること

海外メーカーの台頭と、製品ライフサイクルの短縮によって、日本の製造業では、設計現場の生産性向上の必要性に迫られています。そこで、データ管理を徹底し、効率化を図ろうとするPDMシステムが話題となっています。そのPDMシステムの代表的なソフトが「Autodesk Vault」です。

「Autodesk Vault」の優位性について3回に分けて解説していますが、今回はその3回目です。前回は、Vaultの「検索機能」「ステータス管理機能」「ファイル保存システム」について紹介しましたが、今回はその機能を使うことで、最終的にどのようなメリットが生まれるのか、そしてVaultはどのように導入すればいいのかについて解説していきたいと思います。

 

 

Vaultを使ってコンカレントエンジニアリング!

 

Vaultは、設計データをオンライン上で管理し、過去データの有効活用による設計の効率化や、現在の設計工程の可視化を図るものです。しかしVaultを使って便益を受けるのは設計に携わる人間だけではありません。営業や購買・マーケティングにもメリットがあるのです。その発想が「コンカレントエンジニアリング」と呼ばれるものです。

コンカレントエンジニアリングは、業務プロセスを並行して走らせ、商品の市場投入までの期間を短縮させる手法です。設計がいくら効率的に図面を作成したとしても「どうしてこんな設計になっているの?」と言われてしまえばおしまいです。営業から「なんでこんな色なの」、購買部から「なんでこんな高い部品を使うの?」品質管理部から「なんでこんな強度が弱い設計をするの」など、様々な部署からご指摘を頂くのが設計部で、その業務は非常に「手戻り」が多いのです。「だったら、最初から言ってよ」という思いを解決するのがコンカレントエンジニアリングの考え方です。

従来、営業が取って来た案件を設計が製図し、購買部や製造部、取引先の指摘を受け、「手戻り」して再度設計を行っていました。しかしVaultを使用することで、データがオンライン上に置かれるので、そのデータを見ることで随時設計に対する指摘を行うことができます。従来バケツリレー方式で検閲を受けていた設計データを、常時閲覧可能にするわけですから、「手戻り」が圧倒的に少なくなるのは自然です。

Vaultを使用することで社内はもちろん、社外の人間にもプロジェクトに参加して貰う事が出来ます。しかも、データのアクセス権限を制限することができるので、必要なデータを必要な人にのみ公開することで、機密情報の安全性を確保することが可能です。

このようにVaultを利用することで設計当初から、関係各位にプロジェクトに参加して貰うことが出来るので、各自の意見を反映し易くなりますし、「手戻り」による無駄な再検討が不要になるので、迅速な出荷が可能です。

 

 

Vault のBOM機能で部品を徹底管理!

 

設計と購買部の関係で忘れてはいけない機能が「BOM」機能です。BOMは、Bill of Materialsの略で、日本語訳すると「部品表」です。Vaultを使って設計の効率化が計れたとしても、購買部が発注する部材の数を間違えては、折角設計が早く終わっても、部品の到着待ちで完成品の出荷が遅れてしまいます。

製品は多数の部品で成り立っていて、1つでも部品が足りないと完成しません。部品の数が1000個にもなるとミスが発生しやすくなるので、BOMが大活躍します。BOMを利用することで、部品がどの工程でいつ使用されるかを特定することが出来るので、部品の在庫管理の効率化や、部品不足による製造ストップを避けることが可能です。これにより、スピィーディーに、そして円滑に製品を完成させることが出来るのです。

 

 

Vaultの3つのラインナップ

 

Vaultの利点について解説してきましたが、ここで、製品について少し触れておきたいと思います。
Vaultは「Basic」「Workgroup」「Professional」の3つのタイプに分かれていて、後者になるほど機能が充実しています。「Basic」はデータのオンライン上での一元管理が可能ですし、「Workgroup」はデータへのアクセス権限の管理が可能です。そして、「Professional」では、BOM管理が可能となっています。

Vaultを導入するということは、今までの設計・管理プロセスを大きく変更するということです。導入すると大幅な効率化が期待できますが、最初から全ての機能を使いこなそうとすると返って業務が増えてしまう場合もあるので、最初は必要最小限の機能でスタートして、徐々に性能を上げていくのも手です。

いずれにしてもVaultは、設計を含めた製造工程の大幅な効率化を計ることが出来るので、データ管理に困っている方は検討してみてはいかがでしょうか。

Vaultは設計の効率を劇的に改善させることができるツールです。今まで個人で整理していたデータをオンラインで一元管理することで、会社全体で過去データの有効活用を行うことが可能です。そして、設計の業務が可視化されることで、他部門との連携が取りやすくなるので、「手戻り」を減らすことができます。

VaultはAutodesk社製のソフトですから、AutoCADをはじめ、Autodesk InventorやAutodesk Simulation、Revitをお使いの方がデータ管理する為には最適な商品です。

 

 

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