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Appleアプリのサイドローディングとは?脱獄のリスクと違法性

もしも、iPhoneの有料アプリが無料で使えるとしたら?
カメラのシャッター音を消すアプリや、広告をカットするYouTubeアプリがあれば、インストールしてみたいですか?

非公式のアプリを使う方法のひとつが「Appleアプリのサイドローディング」です。
でも、そんなことして本当に大丈夫なんでしょうか?

そこで今回は、Appleアプリのサイドローディングについてわかりやすく解説します。
違法と合法の境界線や、サイドローディングの大きなデメリットについてもチェックしていきましょう。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります

①サイドローディングの意味や成り立ちがわかる
②Appleが主張するサイドローディングのデメリットがわかる
③自分のお金や個人情報をネット上の危険から守る方法がわかる

サイドローディングとは?違法なの?

グレーな印象の強いサイドローディングは、違法な行為なのでしょうか?
ここではまず、違法と合法の境目について見ていきましょう。

App Store以外からアプリをダウンロードすること

Appleアプリのサイドローディングとは、App Store以外からアプリをダウンロードすることです。
この行為自体は、特に違法なものではありません。
ただし、有料アプリの無料配布や、不正な海賊版をダウンロードしてしまったら、それはもちろん違法にあたります。

Appleは公式サイトで「サイドローディングはユーザーを危険にさらす行為である」と断言しています。(*1)
アプリをダウンロードする行為のどこに危険があるかというと、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)が入り込む可能性が高まる点です。

Appleは、App Storeのセキュリティをすり抜けようとするマルウェアを厳格な審査でブロックしています。
2020年に審査を受けたアプリのうち、約100万個が不合格とされました。(*1)
毎週約10万個のアプリを審査する中で、これだけのアプリが「問題がある」として振るい落とされています。

App Storeを経由しないということは、審査に通らなかった、または「審査を受ける気がそもそもない」とも考えられます。
このことから、サイドローディングで手に入るアプリは、限りなく黒に近いグレーなアプリといえるでしょう。

iPhoneの「脱獄」とサイドローディング

サイドローディング可能なアプリを見つけてダウンロードしても、通常のiPhoneならすんなり動かない場合がほとんどです。
そこで、「脱獄」という作業が必要になります。
脱獄とは、iPhoneの機能制限を外し、自由にアプリを使えるようにする改造行為です。
違法というわけではないですが、Apple側には「不正改造」とみなされ、Appleストアでの保障や修理の対象外となってしまいます。

この「脱獄」、いかにもグレーな行為ですが、App Storeの成り立ちに深く関わっていることをご存知でしょうか。(*2)
iPhoneがリリースされた当初、今のような公式アプリストアはありませんでした。
「iPhoneをもっと便利に使いたい」と改造を始めた個人が配布を始め、それがどんどん広まって、やがて非公式ストアと呼べる状態に。

Appleがこの流れを無視するわけもなく、App Storeを正式に立ち上げ、「脱獄」という行為そのものを抑え込んでいきます。
こうして、今の「アプリは公式ストアのみ。サイドローディングは許さない」という体制につながっていったという背景があります。

Appleが主張するサイドローディングのデメリットとは

Appleが眉をひそめるサイドローディングには、大きなデメリットがあります。
Appleが発表した文書から、日常的に遭遇する可能性の高いデメリットを見ていきましょう。

悪意のあるソフトウェアが入り込んでしまう

サイドローディングで手に入るアプリには、マルウェアが含まれている可能性が高いことは、上の項目でもお伝えした通りです。
マルウェアをiPhoneに招き入れてしまうと、以下のような被害が考えられます。

・個人情報の不正収集
・ペアレンタルコントロールの無効化
・ランサムウェアによる身代金要求

気づかないうちに収集された個人情報が、データブローカーと呼ばれる業者に販売されているかもしれません。
子どもがiPhoneで買い物をするときには、親に承認を得る機能があったはずなのに、サイドローディングアプリにより機能が外される場合もあります。
ランサムウェアにより大事なiPhoneがロックされ、「データを戻してほしければ振り込みを」と要求される被害も考えられます。
たとえお金を払っても、iPhoneと個人情報を戻してもらえる保障はありません。

iPhoneへの攻撃が激増する未来

現在、「大事なデータはほとんどスマホに」という人がほとんどではないでしょうか。
つまり、攻撃者にとってiPhoneの膨大なデータは、高い利益を生む可能性を秘めています。
Appleは「サイドローディングを許可すると、サイドロードした人だけでなく、iPhoneそのものが危険にさらされる」と懸念しています。
マルウェアが大量に入り込むことで、iPhoneのセキュリティが崩壊し、サイドローディングアプリを使っていない人のiPhoneにも影響が及ぶと警告を続けています。

アプリそのものが衰退する可能性も

さらにAppleは、アプリ開発の未来にも言及しています。
サイドローディングが許可され、アプリの安全が確保されなくなったら、誰もが気軽にアプリをインストールできる状態ではなくなるでしょう。
信頼する数社や、必要最低限のアプリだけに限定し、革新的なアプリは警戒して目もくれなくなる可能性もあります。
すると、アプリによる利益は減少し、開発者はいなくなり、アプリの未来そのものが衰退する可能性も少なくありません。
大げさに聞こえるかもしれませんが、市場を開放するとどうなるか、Appleは真剣に訴えています。

サイドローディング可能なAndroidはiPhoneの15倍危ない

「でもAppleは独禁法違反で訴えられてたし、Androidみたいに許可すればどこのサイトでもアプリが買えるようになって、逆に盛り上がるんじゃないの?」
そうなんです、Appleとは真逆に、Androidはサイドローディングが認められています。
Amazonアプリストアや、Microsoftなども参戦し、ユーザーが自由にダウンロード元を選べます。(*3)
Androidアプリは、Playストアだけの独占販売ではないのです。

そこでAppleが持ち出してきたのが、「AndroidはiPhoneの15倍危ない」という主張です。
AndroidはiPhoneの15倍マルウェアに感染している、と文書で公表しています。(*1)
その理由は、「Androidがサイドローディングを許可しているから」とし、Appleのセキュリティの厳格さ、App Storeの閉鎖性の正しさを主張する後押しにもなっています。

【結論】サイドローディングはしないほうが安全

サイドローディングとは、違法ではないものの、ユーザーの安全を脅かす行為です。
ここで、Appleが引用している各機関の宣言を見てみましょう。(*1)

欧州連合サイバーセキュリティ機関(ENISA)は2016年に、「サイドローディングはしてはいけない」、米国国土安全保障省報告書では2017年に、「サイドローディングはやめておいたほうがいい」と宣言しています。
結論としては、「非公式の怪しいアプリは入れないほうが賢明」といえそうです。

まとめ

現在、Appleアプリのサイドローディングはおすすめできる行為ではありませんが、Androidのようにメーカーが認めれば、ユーザーにとってアプリストアの選択肢が増えるというメリットもあります。
2020年9月には、App Storeのシステム改善を要求して、「アプリ公平連合」という組織が立ち上げれられました。(*4)
Apple税とも呼ばれるApp Storeの手数料や、独占的な販売体制の改善を求めるメーカーが集まり、Appleへの訴えを強めています。

市場の開放による公平性の確保を主張する連合と、ユーザーを守るという盾で抵抗するApple、それぞれに言い分があります。
果たしてどちらの主張が認められるのか、Appleとサイドローディングの今後を見守っていきましょう。

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◆参考URL
*1 Apple「Building a Trusted Ecosystem for Millions of Apps」
https://www.apple.com/privacy/docs/Building_a_Trusted_Ecosystem_for_Millions_of_Apps.pdf
*2 ギズモード・ジャパン「元祖AppStoreは忘れない。脱獄アプリストアのCydiaが地獄の淵からApple再提訴」
https://www.gizmodo.jp/2020/12/appstore-jailbreak-cydia.html
*3 CNET Japan「「Microsoft Store」が刷新へ–Androidアプリ提供、開発者との収益配分も変更」
https://japan.cnet.com/article/35172914/
*4 ITmedia NEWS「Epic、Spotifyら、Apple税などアプリストアのルール“改善”のための連合結成」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/25/news075.html

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