フォトラクションがまとめた建設テック(ConTech)のカオスマップを読み解くポイント
建設テック(ConTech)の進歩は著しく、需要の増加に伴いサービスの細分化も進んでいます。建設や土木の支援サービスを提供しているフォトラクションは、この度ConTechのカオスマップを作成し、国内で利用可能なサービスをわかりやすく整理してくれています。
今回は、そんなConTechのカオスマップの内容や、その読み解き方についてのポイントをご紹介します。
①フォトラクションのカオスマップについて
②カオスマップに描かれたConTechの11のカテゴリ
③フォトラクションのカオスマップを読み解くポイント
フォトラクションのカオスマップについて
建設向け支援サービスを提供するのフォトラクションが公開したのは、国内で展開されている建設業向けITサービスをまとめた、ConTechのカオスマップです。建設DXの推進は喫緊の課題とされていますが、自社の課題を解消してくれるサービスがどれなのか、ということを把握するのは難しいものです。
ましてやこれまでICT導入を進めたことがない企業となると、展開されているサービスを把握するだけでも一苦労というところですが、このカオスマップを使うことで、簡単に自社に必要なサービスを知り、運用を進めることができます。建設業界の人がITソリューションを導入するための第一歩として、有効に機能すると考えられます。
カオスマップに描かれたConTechの12のカテゴリ
今回フォトラクションのカオスマップにまとめられたサービスは、全部で12のカテゴリにそれぞれ分類されています*1。それぞれのマップカテゴリを確認し、自社に必要そうな分野に注目してみましょう。
プロジェクトマネジメント(戸建・リフォーム)
プロジェクトマネジメントは、このカオスマップの場合二つに分類されています。戸建て・リフォームにおけるプロジェクトマネジメントは、小規模建築の生産性を高める目的で提供されているサービスです。チャット機能を使った情報共有や日報の作成など、小型で使いやすいサービスとなっており、導入が簡単なサービスがまとまっています。
プロジェクトマネジメント(建設・土木)
建設・土木向けのプロジェクトマネジメントサービスにおいては、取り扱うデータが大きくなりがちな大規模サービスがメインです。高機能で処理能力が高く、優れた管理能力で複雑化しやすい大規模プロジェクトも効率化してくれます。
コストマネジメント
コストマネジメントでは、その名の通り建物に関する金銭の管理に使われるサービスを扱います。見積もりや積算などの管理を行え、既存の会計ソフトとの連携も可能なサービスが揃います。
マッチング
マッチングにおいては、建設の必要性を感じている法人や個人を結びつけてくれるサービスとなっています。特に人気を集めているのが、仕事を探している職人と、人手を必要としている建設会社のマッチングです。
工程管理
工程管理においては、建物を施工する上での工程を把握するのに特化したサービスが揃います。誰がどの業務を、いつ担当するのかを正確に理解し、スムーズな施工を促進します。
ドキュメント作成・管理
ドキュメント作成、及び管理においては、建設プロジェクトにおいて発生する書類を整理し、簡単に管理ができるサービスが集まっています。オフィスでのデスクワークはもちろん、現場におけるドキュメント管理もサポートし、モバイルデバイスで閲覧できるようにすることで、業務効率化とペーパーレスを実現します。
検査
検査カテゴリにおいては、「配筋検査」と「仕上検査」という2大検査を効率化するためのサービスが揃います。どちらも負荷の大きな業務ですが、サービスの活用で業務効率化を実現します。
工事写真管理
工事現場では、適切な施工が行われたかを確認するため、頻繁に工事写真が撮影されています。これらの写真管理を効率化する上で活躍するのがこのカテゴリのサービスで、場合によっては数十万枚にもなる画像データの整理に活躍します。
図面管理
スマホやタブレットなど、近年は工事現場でモバイルデバイスを利用する機会も増えています。図面管理サービスを利用することで、気軽に図面画像をダウンロード、あるいは閲覧することができ、縮尺などを変更したり、図面の編集を行えます。
チャット
工事現場のコミュニケーションを活性化させるために、チャット機能は広く普及しています。電話やメールよりも手間が少なく、閲覧しやすいため、迅速な文章のやり取りや情報共有に活躍しています。
EC・マーケットプレイス
建機・建材をECで取引するサービスも、近年は登場しつつあります。従来は健在と労務はセットで取引されることが多かったものですが、マーケットの多様化が進み、ニッチな需要にも応えられるよう、この分野でのEC活用も盛んです。
カタログ
上記のEC機能をより効率よく活用するために利用されているのが、カタログサービスです。ECでの取り扱い商品のバリエーションは非常に豊富なため、一目では選びきれないという事情もあります。そんな時に活用するのがカタログサービスで、スムーズな取引を促してくれます。
フォトラクションのカオスマップを読み解くポイント
上記のように、カオスマップに分類しても建設関連のサービスは非常にボリュームがあり、選ぶのに苦労してしまう部分もあります。最後にカオスマップの活用ポイントについて、ご紹介します。
BIM/CIMには対応していない
一つ目のポイントは、上記のカオスマップはBIM/CIM運用に対応していないため、これらのサービスの利用を検討している場合には、別途参照にする必要がある点です。建設業界において、BIM/CIMの導入は大きな意味を持ちますが、それだけに上記のマップに収めるにはボリュームに偏りが出てしまうため、今回のマップではあえて除外されています*2。
BIM/CIM運用を検討している場合には、別途参考資料を拾ってくる必要があります。
すぐに導入できるサービスが揃っている
二つ目のポイントは、カオスマップで紹介されているサービスは国内で展開しており、すぐに利用できるものが揃っている点です。
海外の建設サービスは非常に充実している一方、日本では利用ができない、難しいものも多く、サービス選定を複雑にする原因となっています。カオスマップを活用すれば、迅速なサービスのピックアップを実現可能です。
カテゴリを強く意識する必要はない
もう一つのポイントは、カオスマップのカテゴリは強く意識する必要はなく、参考程度に止めれば良いという点です。カオスマップの作成は、かなり定義が曖昧な部分も多く、その点は作成者も自認しているので、あくまで参考程度にするのが良いでしょう*3。
おわりに
ConTech向けのカオスマップは非常に利便性が高く、IT人材が不足している建設業界においては心強い味方となります。積極的に活用し、自社に導入すべきサービスの検討をスムーズに進めましょう。
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*1 TechCrunch「建設・土木の生産支援サービスのフォトラクションが「建設テック カオスマップ 2020年9月版」を公開」
https://jp.techcrunch.com/2020/09/04/contech-chaos-map/
*2 note(中島 貴春 / フォトラクションCEO )「【国内版】建設テックのカオスマップ 2020.09更新版 」
https://note.com/contech/n/n4c9c47874611
*3 上に同じ