最近の企業サイトでは双方向性だけではなく顧客育成という視点が大切
~今インバウンドマーケティングが注目される理由とは?
インバウンドマーケティングという言葉が最近注目され始めています。これまでも、コールセンター業務などでこちらから積極的に見込み客に対してテレアポなどを試みる方法を「アウトバウンド」、お客様からの問い合わせを効率的に行うことを「インバウンド」と言ってきました。最近のインバウンドマーケティングとは、単にお客様からの問い合わせを受けるだけでなく、問い合わせをきっかけとしてもっと積極的にお客様とコンタクトを取り、見込み客から実際の購買客に育て上げていくことを表します。
アウトバウンド⇒双方向⇒インバウンドという流れ
これまでのインターネットマーケティング
伝統的に企業の広告は、製品やサービスを企業側から消費者側に一方向に伝えていく方式が主流でした。例えばテレビコマーシャルなどはその典型で、タレントやキャラクターなどを使ってイメージ豊かに商品の宣伝をしていくというものが主流でした。
インターネットが普及するにつれ、一方的な方向だけでマス広告を展開していく時代は大きく変わりました。この時代のマーケターの合言葉は「双方向性」「インタラクティブ性」といったものでした。マス広告に足りなかったお客様からの声に、ウェブサイトやソーシャルメディアなどを通じて担当者がダイレクトに反応し、企業と消費者の間の結び付きを強めていき、カスタマーサティスファクション(CS)や、ブランドロイヤリティを高めていくという方法が主流になりました。
現在注目のインバウンドマーケティング
そして、最近の新しい手法が「インバウンドマーケティング」です。これは最初に触れたように、お客様からのコンタクトをきっかけにして、見込み客から実際の購買客に育て上げていくマーケティングです。
一見、「双方向性」「インタラクティブ性」を重視した方法と似ていますが、相互のコミュニケーションを取ってきずなを強くするというどちらかと言えば理念が大切で、やり方としてはTwitterで担当者がなんとなく好きなことをつぶやいたりといった、曖昧な手法ではなく、明確な戦略に基づいて顧客を育てていくことに特徴があります。
インバウンドマーケティングは、集客⇒育成⇒コンバージョンの流れを意識したマーケティング
では、その明確な戦略とは具体的にはどのようなものでしょうか。ウェブサイトを中心とした顧客からのコンタクトをきっかけとするインバウンドマーケティングの例はたとえば下記のようになります。
ページビューやアクセス数アップに終わらない集客戦略
アクセス数を毎日確認して一喜一憂するのではなく、例えばアクセスしてきたユニークユーザーの15%がメルマガに登録するように目標を立て、KPIを設定して申込みコーナーに誘導する。アクセス数を毎日確認する代わりに、その時設定されたKPI達成率を毎日確認することで、サイトの改善点を洗い出していくといった集客方法を取ります。
《KPIとは》
KPIとは、組織や事業、業務の目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと。
組織や個人が日々活動、業務を進めていくにあたり、「何を持って進捗とするのか」を定義するために用いられる尺度であり、現在の状況を表す様々な数値などの中から、進捗を表現するのに最も適していると思われるものが選択される。
KPIは短期的に繰り返し計測され、時系列の推移から現況や進捗を把握したり、問題解決や活動の改善点を検討するための最も重要な材料の一つとして扱われる。組織の規模などによっても異なるが、あまりに指標が多いと集中すべき点がぼやけてしまうため、一つあるいは数個程度が設定されることが多い。
この場合、メルマガ申し込みページに誘導するためのコンテンツがどれだけ見られているか、最終的なコンバージョンレートはどうなっているかなどがKPIになります。
メルマガを情報発信としてではなく、育成ツールとして使用する
メルマガを発行している企業は多いですが、ツイッターのつぶやきやFacebookのいいね!の返信コメントとどこが違わないといけないのか、明確に意識している担当者は実はそう多くはないでしょう。
メルマガのマーケティング的特徴は、繰り返し一つのテーマをシリーズ物として伝えることに適している点です。例えばそうした特徴を活かしたメルマガ発行の方法としてステップメールがあります。ステップメールを使えば、単に情報発信の一手段に過ぎなかったメルマガが顧客育成ツールに変身します。
《ステップメールとは》
ユーザーが商品を購入したときや、商品を発送するとき、配送が完了したときなど、段階に応じて決まったタイミングで自動的に定型文を配信するステップメール。各ユーザーそれぞれの利用状況に合わせて、個別に送信されます。メールの数や配信のタイミングは、自由に設定できます。
メルマガをきっかけとして次のアクションを引き出す
営業マンが商品の説明をした後には必ず「クロージング」という最終行動が求められます。「双方向性」「インタラクティブ性」がもてはやされた時代にはこのクロージングの重要性があまり認識されず、コミュニケーションが取れれば目的が達成された、という意識が高かったのです。
インバウンドマーケティングでは、メルマガは顧客を育成する手段ですので、メルマガ(ステップメール)の中に段階に応じてアクションを引き出すような仕組みを入れておきます。例えばまだ興味を持った初期段階ではプレゼントなどで個人情報を取得したり、商品への興味が深まってきた段階ではセミナー来場に誘導したりなどです。
こうした、「集客⇒育成⇒コンバージョンの流れ」を戦略的に構築するための考え方がインバウンドマーケティングです。ぜひ、顧客とのコミュニケーションの次の段階として御社のマーケティング戦略に取り入れてみてはいかがでしょうか?