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1級建築士が語る!BIMと3Dプリンタで家づくり

BIMやドローン、3Dプリンタといった新しいテクノロジーが建築業界を大きく変えようとしています。ドローンで現地調査を行い、BIMで設計し、そして3Dプリンタで家を施工する。そんな時代が近づいています。現状BIMで設計を行うことについては徐々に広まってきていますが、3Dプリンタの活用はまだあまり進んでいません。しかし海外では3Dプリンタを活用した家づくりの事例もあり、3Dプリンタは将来建築業界で無くてはならない存在になると考えられます。そこで今回はBIMや3Dプリンタを使った新しい家の作り方について紹介していきたいと思います。

模型を3Dプリンタで作成する

 

まずは、日本で現在どのように3Dプリンタが使われているかについて紹介していきます。建築業界での3Dプリンタの活用事例として一番多いのが模型の製作です。BIMを使用することで建物を3次元で手軽に確認できるようになりましたが、モニターで見ている以上2次元の域を完全に脱することはできていません。3次元で正確に確認しようとすると、やはり模型を製作することが多くなってきます。従前は模型を作成しようとすると非常に時間がかかり、アトリエ系の設計事務所ではオープンデスクの学生を何人も集めて作成することが多いのではないでしょうか。しかし3DプリンタがあればBIMデータからすぐに正確な模型を作成することが可能です。その為、中堅以上の設計事務所や建設会社では積極的に3Dプリンタを使った模型の製作が行われています。

海外での3Dプリンタの活用事例

 

海外では施工段階での3Dプリンタの活用についても注目が集まっています。アメリカのサンフランシスコにあるApis Corという会社は、約38㎡の住宅を113万円の費用で作ることを可能にしました。しかも24時間という驚きの速さです。3Dプリンタの高さは1.5m、アーム長さは4m、重さが2トンとなっていて、場合によっては高さ3m、アーム長さ8.5mまで伸ばすことが可能です。3Dプリンタ内にはコンクリートを混ぜるミキサーが内蔵されていて、1日で100㎡程度の建物の作成が可能です。必要とする人員は材料を補填するなどに要する2人だけで、普通の住宅が20人程度の人間と4か月程度の月日を費やすことを考えると如何に効率的に施工できるかが分かります。

日本での3Dプリンタ住宅の可能性

 

アメリカのApis Corに限らず、3Dプリンタを使った家作りは世界各国で研究が進んでいます。なんといっても工期が短いことと費用が安いことが最大の特徴で、その特性を生かして災害時の応急的な仮説住宅の建設や、貧困層への住宅の供給が期待されていています。

しかし、日本で3Dプリンタの家が定着するかどうかは非常に懐疑的な部分があります。日本は地震大国ですから耐震性が非常に重視されます。コンクリートを積層するだけの3Dプリンタ住宅が日本の法律で許される可能性は極めて低いといえるでしょう。ただ仮設住宅であれば建築基準法が除外される場合もあるので、災害時には3Dプリンタが活躍しそうです。

仮に3Dプリンタ住宅が日本で建てられるようになった場合、そのインパクトは絶大です。日本の住宅の平均的な坪単価は40万円程度ですが、先程紹介した38㎡113万円の3Dプリンタ住宅の坪単価は10万円程度です。日本の平均的な30坪程度の家であれば、今1200万円かかっているものを300万円で施工できるようになる計算です。もちろん土地代や諸経費があるので300万円で家が住める訳ではありませんが、コスト低減が期待できることは疑う余地もありません。今後、法律の壁を乗り越えて3Dプリンタ住宅が日本に浸透すると建設業界に価格革命が起きそうです。

ドローンやBIM、3Dプリンタの活用によって建築現場の効率化が進んでいます。どれもまだ発展途上の技術ばかりですが、研究が進むことで建築コストや時間の大幅な削減が可能です。今後の建築技術の発達に注目です。

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