AutoCAD 3Dとはどのような機能なのか?特徴と内容を解説
Autodesk社がリリースしている『AutoCAD 3D』。
名前は聞いたことがあっても、実際使用した事がないという方も多いと思います。
3D形状を扱って設計を行うに当たってこの『AutoCAD 3D』は非常に優れており、初心者でも使いやすい機能をたくさん備えていることから、とてもオススメのCADです。
今回はそんな『AutoCAD 3D』にスポットをあて、『AutoCAD 3D』がどのようなものなのかというところを深く掘り下げて解説してまいります。
3Dを扱った設計についての基本的な部分にも触れていくので、初めての方でも概要をご理解いただけることでしょう。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
① AutoCAD 3Dとはどのようなものか
② AutoCAD 3Dを実際に使う方法と流れ
③ AutoCAD 3Dにおける『モデリング』とはなにか
AutoCAD 3Dとはどのようなものか
AutoCAD 3Dの概要
AutoCAD 3Dとは、『Autodesk Design Suite』に含まれる主要製品『AutoCAD』の3D機能の事です。
これまで2D設計でAutoCADを使っていた方は、AutoCAD 3Dを使う事でAutodesk Design Suiteのシームレスな操作性と機能性に驚く事でしょう。
仮に初めて使う人にとっても、AutoCADは初心者にも扱いやすい事で定評がありますので、慣れるまで時間はかからないと思います。
そんなAutoCADの3D機能を使えば、デザイン検討会議のプレゼンテーションなどで、誰にでもわかりやすい3Dモデルを作成することができるのです。
では、実際にどのようにしてAutoCADの3D機能を使用すれば良いのでしょうか。
ご説明していきます。
AutoCAD 3Dを実際に使う方法と流れ
AutoCADのモードを3DCADに変更する
AutoCAD LTをお使いの場合は使えないのですが、それ以外のAutoCADであれば『3Dモデリング』という機能を使って3D形状の情報を扱う事が可能になります。
まずは、AutoCADのワークスペースを切り替えましょう。
『製図と注釈』になっているところを『3D基本』、もしくは『3Dモデリング』に変更します。
このどちらかに切り替えるとAutoCADは3Dモードになり、3Dモデリングを行う事ができるようになるのです。
AutoCAD 3Dのモデリングの基本
AutoCADにおける3Dモデリングの流れをご説明します。
基本的には、下記の3つのステップです。
- 基本となる図形を描く
- 描いた図形を3D化
- 作成した3Dモデルを編集(調整)
非常にシンプルではありますが、このような流れで簡単に3Dモデリングを行う事が可能なのです。
この手軽さも、AutoCAD 3Dの魅力のひとつになっています。
では、そもそも『モデリング』とはどのような作業を意味しているのでしょうか。
ご説明していきます。
AutoCAD 3Dにおける『モデリング』とは
『モデリング』の概要
そもそも『モデリング』とは、どのようなものなのでしょうか。
『モデリング』とは、簡単に言えば3Dの形状を作る事を意味しています。
AutoCADでは、2Dで作図した形状(オブジェクト)をもとにして3D形状を作ることもできますし、四角柱や円錐といった基本的な3D図形(プリミティブ)を組み合わせる事で複雑な3Dモデルを作ることもできるのです。
このように、2D形状から3D形状を作ったり、3D図形を組み合わせて形状を作る過程を『モデリング』と呼びます。
AutoCADで扱える『モデリング』の種類
AutoCAD 3Dのモデリングで扱える3D形状(オブジェクト)には、下記の4つのタイプがあります。
1. 3Dソリッド
2. 3Dサーフェス
3. 3Dメッシュ
4. 3Dワイヤーフレーム
これらの中から、作成したい形状に一番あったタイプを選択して作業を進めていきます。
また、作業の途中で別のタイプに形状(オブジェクト)に変更することもできるため、目的や作業内容に応じて自由にモデリングを行う事ができるのです。
上記それぞれの3Dモデリングタイプには異なる特徴があり、それぞれに最適化されたモデリング方法が備わっていますので、それぞれの特徴についてご説明していきましょう。
3Dソリッドとは
3Dソリッドは、汎用性の高いモデリングです。
マスプロパティや断面機能を備えており、プリミティブの結合や外形線の押し出し、スイープや回転、ロフトといった作業が比較的容易に行う事ができます。
これらに対してブール演算を使用し、結合することもできるのです。(*1)
3Dサーフェスとは
3Dサーフェスは、より正確な操作や解析が必要な場合の作業に適しているモデリングです。
曲面のサーフェスを、より精細にコントロールすることができるようになっています。
また、自動調整サーフェスやNURBSサーフェスを作成したり編集したりすることが可能な、薄いシェルの3Dオブジェクトであり、その中には『プロシージャ』と『NURBS』という2つの種類があります。(*2)
『プロシージャ』は、自動調整に設定できるため他の形状(オブジェクト)との関係を維持しながら、ひとつのグループという認識を持って操作することが可能です。
対して『NURBS』は、自動調整には設定できない代わりに、制御点と呼ばれるポイントを持っています。
この制御点を使用することによって、より自然に形状を編集することができるようになるのです。
3Dメッシュとは
3Dメッシュは、自由形状スカルプや折り目、スムージングといった機能を使用することができるモデリングです。
頂点・エッジ・面の3つで構成されており、三角形と四角形を含んだ『多角形表現』を使用することで、3D形状を定義しています。(*3)
また、3Dソリッドや3Dサーフェスでは行えない方法で、モデル修正することも可能ですので、例えば折り目を適用したい場合や分割したい場合、スムーズレベルを増加させたい場合などの希望に対応することが可能になるのです。
そして、メッシュのサブオブジェクトと呼ばれる、面やエッジ、頂点などをドラッグすることで、形状(オブジェクト)を作る事ができます。
3Dワイヤフレームとは
3Dワイヤフレームは、形状(オブジェクト)のエッジ、つまり骨格部分を表したものです。
形状(オブジェクト)の端や中心線を定義している点や線分、円弧や円、その他の曲線といった情報で構成されています。(*4)
3Dワイヤフレームを使用することで任意の視点からモデルを表示できるため、3Dのもととなる基本的な形状を使った設計が可能になるのです。
また、任意の点と点、たとえばコーナー同士の距離や位置関係を空間的に分析することが可能になるため、干渉の危険性を視覚的に判断して未然に防止することが可能になります。
そのほかにも、パースビューや、直交投影ビュー、補助投影ビューを生成することも可能なので、3Dソリッドや3Dサーフェス、3Dメッシュでモデリングする際の参照ジオメトリとしても活用することが可能です。
まとめ
『AutoCAD』の醍醐味でもある3D機能について、概要をご説明してきました。
世の中には他にも様々な3DCADが存在していますが、その中でも『AutoCAD 3D』は初心者でも扱いやすいCADとして絶大なシェアを誇っています。
もともと『Autodesk Design Suite』を導入していて『AutoCAD』を運用しているのであれば、是非その中の3D機能である『AutoCAD 3D』を活用してみてください。
2Dで作成した形状を3D形状へ変換することもできますので、頭の中に描いている形状を視覚的に表現して全員でシェアできるようになり、開発会議などがスムーズにいくようになることは間違いありません。
もし会議でOKとなれば、そのデータを使って図面を作成し、製造へ流すこともできることから、ワンストップで設計開発が進みます。
今回は、そのベースとなる『AutoCAD 3D』についてご紹介しました。
もし導入を迷っているのであれば、是非一度試しに使ってみることをオススメします。
実際に操作してみることで、きっとその機能の豊富さと操作のしやすさから、『AutoCAD 3D』を活用したくなることでしょう。
参考・引用
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❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
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