2045年問題は本当にやってくるのか?人口知能が人間を超えるとき
人工知能。別名AIなどとも呼ばれ、現代では誰しもが一度は耳にしたことのある言葉でしょう。
「人工知能」とは、人間だけが持つとされた、学習したり判断を下すといった知能を持たせたコンピューターシステムのことです。
通常のコンピュータは、人間によって与えられたプログラムどおりに動作しているだけですが、人工知能を備えたコンピュータは、パターン化され蓄積されたデータを基に、状況に応じて柔軟な反応をすることができます。
1997年、IBMのスーパーコンピュータ”ディープ・ブルー”が、当時のチェス世界チャンピオンを負かせたというニュースは、各国で大々的に報道されました。コンピュータに多くの定跡を記憶させて、局面に応じてパターンを先読みさせることが可能となったためです。
しかし、人間の知能と人工知能の相違点として「学習」が挙げられます。人間は「今回は負けてしまったが次は別の手でいこう」と経験から学習しますが、コンピュータの場合は、新しいパターンを書き込んだログラムを必要とします。
日々、自ら学習するコンピュータの研究がなされており、現時点では、人間と同じレベルの学習能力を持つコンピュータは存在していないようですが、どうやらその日も近そうです。
米国のコンピュータ研究者であるレイ・カーツワイル氏は、著書「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology」の中で、その時が来るのは2045年になるだろうと予測しています。
2012年にGoogleは、次のように発表しています。脳のニューロネットワークを模して構築されたCPU1万6千個から成るシステムに、YouTubeの動画を見せ続けたところ、「猫」の写真が識別された -もちろん、事前に「猫」とは何かという情報をシステムに与えたわけではなく、人工知能が独自に認識したとのことです。
AppleやFacebookにおいても、同様の研究が続けられています。Appleは「音声アシスタント機能(Siri)」の性能向上を目指しており、Facebookは画像にひも付くコミュニケーション機能による画像検索である「グラフ検索」のさらなる性能のアップを狙っています。両社共に、ユーザの意図により近い回答ができることをゴールとして、人工知能の開発を進めています。
人工知能の進化には、どういった条件が必要となるでしょうか。不可欠とされるのが、膨大な情報、いわゆるビッグデータ。そして、それらの情報を用いた学習が必須とされています。人間の赤ちゃんの脳の成長と同じように、人口知能も成長にはより多くの情報が必要となるためです。
このビッグデータを収集するために必要なもの。それは、ユーザとインターネットが出会う扉である「ユーザインターフェース」の開発です。「ユーザインターフェース」の性能が高ければ、ユーザの趣味嗜好がより把握しやすくなり、学習に必要な膨大な情報が得られかつ得やすくなるということです。
現在のユーザインターフェースとして、スマートフォンやパソコンから誰しもが情報を入力する「検索エンジン」が最も使用されています。
一方、ユーザインターフェースは刻々と変化しており、次の世代に主流となるユーザインターフェースは音声認識技術、喉の筋肉の動きを察知する技術(口パク)や脳波認識技術となるのではとも言われています。実際、英の企業This Placeは「Google Glass」を脳波で動かすアプリケーション「MindRDR」を開発しています。このように、人工知能を進化させる主要因となる新ユーザインターフェースの開発が、刻々と進行しています。
2045年に本当に人口知能が人間を超えるとしたら、私たちの生活はどのようなものになるのでしょうか。
カーツワイル氏によると、2045年にはナノテクノロジーサイズの人工知能の登場により、人口知能はもはや人間と一体となるだろうと予言しています。そして、人間はいつでもどこでも、全人類の有する全ての知識を持つ人工知能によって回答を得て、常に適切な判断を下して行くだろうと予測されています。