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1級建築士が語る!3次元「Revit」と2次元「AutoCAD」の違いを徹底解説

近年BIMの普及が急速に進んでいますが、2次元CADで今まで普通に設計できた方にとってはBIMを導入するメリットを今一つ感じられない方もいらっしゃると思います。そこで、実際に設計実務を行う1級建築士が、BIMを代表するソフトである「Revit」と、同じオートデスク社製の2次元CAD「AutoCAD」の違いを解説していきたいと思います。ボリュームチェックから実施設計に至るまで両社の設計プロセスで異なる点を中心にご紹介することでRevitの優位性を感じて頂ければ幸いです。

 

 

ボリュームチェック、事業収支計画を「Revit」でやってみた!

 

まず、設計に至る前段階として、建物を建てることで採算がとれるかどうかの事業収支計画を練ることが通常かと思いますが、設計サイドとしては事業収支計画に資するボリュームチェックを依頼されるかと思います。

2次元CADでは簡易な平面図を作成した後、断面的に法適合しているかどうかのボリュームチェックを行いますが、仮に法適合していない場合は再度、平面計画の練り直しが必要になってきます。平面計画や断面計画をAutoCADで行い、別ソフトで斜線検討や日陰規制の検討を行うことが多いかと思いますが、これは非常に手間のかかる作業です。

この作業はRevitを使用することで単純化されます。BIMは基本的に3Dで設計を行っているので、平面的に建物を構成している段階で自動的に3次元の立体として出来上がるので、すぐに斜線や日陰の検討が可能です。これはAutoCADで斜線や日陰の検討をするに至るまでのプロセスを考えると非常に楽な作業です。しかも斜線や日陰に非適合となっている箇所は3Dで視覚的に判断することができるので非常にわかりやすいです。

AutoCADを使った場合は斜線や日陰に法適合するかどうかは、ある程度設計者の感覚による部分が大きいですが、Revitを使って3Dで判断することによって、視覚的に法適合を確認することができるのす。

また、容積率や建蔽率なども手計算によらずに自動で計算できますし、工事費の概算も3Dデータを立ち上げた段階で算定することができるので、非常にスピーディーに事業収支計算することができます。

 

 

「Revit」を使った建築計画のご提案。iPhoneでBIMの確認!?

 

ボリュームチェックで法適合や採算性が確認できると、もうすこし具体的な平面計画や外観のイメージを用いて、人間の感覚としてその建築物に事業性があるのかないのかの判断に迫られるかと思います。

AutoCADを使用する場合は平面図を書き、立面・断面計画を行ってからパースを作成することでプレゼンを行うかと思いますが、Revitを使用する場合は平面計画を作成した段階でコンピューター上に立体的な建物が構成されているので、少し手を加えて意匠性を高めることで簡単にパースを作成することができます。コンピューター上に3次元で建物が構成されているので、パースのアングルは写真を撮る要領で自由に選択することができます。

また、Revitで構成されたBIMデータはパソコンのみならずiPhoneやiPadなどでも確認することができるので、シーンを選ばずフレキシブルに提案することが可能です。

 

 

「Revit」を基本設計で使いこなす!

 

建築計画が承認され基本設計段階に移ると、設備や構造も交えて設計が開始されるかと思いますが、ここでもRevitが活躍します。

AutoCADを使った設計手法では、平面図・立面図を作成した後の打合せで立面図の修正依頼を受けた場合、平面図の大幅な訂正が生じる場合があります。一方でRevitは3次元モデルに修正を加えるだけで自動的に他の図面にも反映されます。Revitはあくまで3次元モデルを修正するだけですから、2次元で設計する事に比べれば労力を極端に削減することができます。

これは設計が進むことでより顕著になります。例えばAutoCADを使っている場合、展開図やパースを作成した段階で計画の変更が生じれば、平面図や立面図・求積図・設備図・構造図など様々な図面を全て手作業で修正しなければなりません。一方でRevitを使用している場合では3次元モデルの修正を行うだけで全ての図面が自動的に修正されます。

Revitでは図面はあくまで副産物という発想ですから、3次元モデルの精度が重視されます。3次元モデルが正確に入力されていると、副産物である図面は自動的に全て変更されることになります。

 

 

「Revit」で実施設計!3Dモデルで視覚的に「干渉」問題を解消!

 

基本設計が終わればいよいよ実施設計です。実はこの実施設計が今のところRevitの最大の弱点と言えます。

Revitで実施設計を行うと、構造や配管の「干渉」を視覚的に検討できるというメリットを享受できる一方、2次元CADに比べて図面映えがしないというメリットがあります。

Revitは柱や床、サッシなどの「部材」を組み合わせて立体を構成していますが、この部材の精度を高めるのが割とハードルの高い作業です。慣れてしまえば簡単なのですが、最初のうちは簡単にはいきません。

2次元の設計手法ではサッシ会社などの各メーカーが部材の詳細図を用意しるので、基本設計図の簡易なサッシ記号を、メーカー提供の詳細なサッシ記号に入れ替えるだけで、すごく詳細な図面を書いた気になれるのですが、RevitをはじめとしたBIMの世界には、メーカーからの3次元データの提供がまだ少ない状態です。ですから、自分で「部材」データを作成する必要があります。

この自作の3次元部材を図面として2次元に置き換えると非常に見栄えのしない図面となってしまいます。しかし徐々にメーカーからのデータ提供が増えていきているので、今後はこの問題が解消していくかと思います。そもそも図面の見栄えは設計の本質から離れているので問題と言えるような内容ではないかもしてません。設計で本来重視すべき、納まりや干渉といった問題は、3Dモデルによって視覚的に解決できたり、メーカーへBIMモデルを提供することで指摘を受けたりすることで解決できます。

RevitはAutoCADを使用した設計手法よりも迅速かつ正確に、そしてプレゼン能力の高い資料を作成することが可能です。実施設計のスタンダードになるにはもう少し時代が追いつくのを待つ必要があるかもしれませんが、現在でも干渉チェックなど、便利な機能が沢山あります。
RevitはAutoCADと互換性が非常に高いので、お互いの長所・短所を埋め合う形での使用がお勧めです。

 
 

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