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「Autodesk Vault」で始めるデータ管理術~CADデータ散らかっていませんか?〜

CADデータはきちんと管理できていますでしょうか?「はい、もちろん。しっかりとファイルに分けています。」と言う声が聞こえてきそうですが、残念ながらそれは管理ではなく整理です。ファイルに分けているだけでは、昔のデータがどこに格納されているか探し出す時に大変ではありませんか?データが多くなればなるほど必要なデータにたどり着くまでに時間がかかります。これでは過去の設計が上手く生かし切れているとは言えません。

「Autodesk Vault」を使えば、煩雑なデータ管理がスムーズに行えるので、過去のデータを素早く、そして有効に活用することができるのです。

そこで「Autodesk Vault」について、3回に分けてその有用性について解説していきたいと思います。今回はまず「Autodesk Vault」が何故有用になるのか、その背景となる、製造業が抱える問題点に着目してみたいと思います。

 

 

データ管理が重要になった、製造業が抱える2つの問題点

 

データ管理の重要性が注目された要因には「製品ライフサイクルの短縮化」と「海外メーターの台頭」が挙げられますのでこの2点についてみていきましょう。

 

製品ライフサイクルの短縮化

 

製品である以上、いつかは売れなくなる時が来ます。車が頻繁にモデルチェンジを繰り返しているのはその為です。常に新しい技術、より良い性能が求められるのです。製品が開発され、売られなくなるまでの過程を、「製品ライフサイクル」と呼びますが、近年このサイクルが徐々に早くなってきています。技術革新のスピードが速まっているのと、消費者が飽き易くなっていることが考えられますが、これは製品を世に送り出す企業側としては非常に由々しき事態です。なぜなら、一つの製品で大きく利益を出すことが困難になるからです。今までは、良いものを時間をかけて開発し、長きに渡って利益を出せていましたが、現在は薄利多売の時代になってしまったのです。その為、短いサイクルでも利益が出るように、コストを下げ、開発期間の短縮も迫られているのです。

 

海外メーカーの台頭

 

製造業が抱える2つ目の問題点に、アジアを中心とした海外メーカーの競争力の高まりが挙げられます。中国に代表されるように、アジア各国では技術力が軒並み向上し、日本製は性能が高いから安泰だという時代が終わろうとしています。既に世界の工場は人件費の安いアジア各国に分散され、安く高品質な製品が作れるようになりました。日本の製造現場では、それに負けじと工場での生産性向上に取り掛かってきましたが、限界を迎えようとしています。そこで、注目されているのが、設計現場の生産性向上です。設計現場では手作業がコンピュータに置き換わってはきましたが、依然として生産性が低い状態が続いています。設計の各工程での効率化は進んでいますが、各工程の相互間の連携が上手く取れていない為、トータルで見ると無駄が多く時間がかかっている状態です。

 

データの活用を活発化させる「PDM」システム

 

製造業が抱える2つの問題点「製品ライフサイクルの短縮化」と「海外メーターの台頭」を解決させるための手法として、データ管理を徹底し、効率化を図ろうとする動きが出てきました。

そこで考案されたのが「PDM」というツールです。PDMとは、Product Data Managementの略で、データを一元的に管理することで、生産性を向上させたり、進捗状況や原価管理を可視化したりしようとするシステムのことを言います。

 

 

「PDM」の強み

 

PDMは、今まで個人のルールや、各自のパソコン上で管理されることもあった設計のデータを、オンライン上で管理し、そのデータが持つ属性や編集履歴を情報として持たせることで、後から検索した時に、欲しいデータをすぐに見つけ出すことができるようにしたものです。データをファイルに保存しただけでは、日付や製品名だけでしか検索出来なかったものが、より詳細な検索をかけることが出来るようになるので、非常に素早く目的のデータを見つけることができます。これはデータの数が多ければ多い程受けられる恩恵が多くなります。プロジェクトの数が多くなっている現代では欠かせないツールと言えるでしょう。

実はPDMのシステムは多数の会社で販売されていますが、その中で「Vault」はPDMシステムのAutodesk版になります。設計をAutodeskのソフトで行っている場合は、この「Vault」を使用することがお勧めです。「Vault」はAutoCADをはじめ、Autodesk InventorやAutodesk Simulationなどの製品データの管理に最も適している製品で、Officeファイルとも関係付けできるので、CADデータに併せて、付随するOfficeファイルも関係付けて管理することができます。

「Vault」はデータ管理システムであるPDMの一種で、これを使用することによって過去データを上手く活用でき、生産性を向上させることができます。

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