GooglePixel4はなぜ自社開発?スマホ参入の目的とは
この記事を読むと以下の3つのことが分かります
・GooglePixel4の基本スペック
・GooglePixel4はなぜ自社開発しているのか?
・Pixel4を作る上で、Googleが気にかけたポイント
GooglePixel4とは?
GooglePixel4とは、Pixel3の後継機としてGoogleより新しく作られたスマホの1つです。大手IT企業とも知られるGoogleがスマホの自社開発に取り組んでいるとして、気になっている方も多いのではないでしょうか?まずはGooglePixel4のスペックについてご紹介します。
GooglePixel4はカメラに力を入れている
GooglePixelシリーズの強みと言えばAIです。たとえばGooglePixelシリーズは今まで荒い画素をAIによって補正することで、シングルカメラでも良い画質の写真を撮れると謳っていました。しかし、GooglePixel4からは望遠レンズ(1,600万画素/F2.4)が加わってデュアルカメラとなり、AIなどのソフトウェアを含めたさらなるカメラ性能の向上が期待できます。
暗い場所でもキレイに写真撮影できる夜景モードが進化し、天候によっては天の川をしっかりと撮影できる天体写真機能を利用することも可能です。また、Pixel3では指紋認証センサーが搭載されていましたが、Pixel4では取り払われ、認証システムが顔認証カメラとなるなど、カメラに自信を持っていることが分かりますね。
GooglePixel4はソフトウェアも進化
GooglePixel4はソフトウェアとしても進化を遂げています。たとえば、音声で操作出来るAI「グーグルアシスタント」に加え、自然会話の音声を自動的に文字起こしする機能(※2019年11月時点では米国英語のみ)など音声認識技術は大きく向上しています。
そしてGooglePixel4を自社開発するうえで1つの目玉となっていたのが「モーションセンス」機能です。スマホへ直接触れることなくジェスチャーで操作する機能で、手を振れば音楽の早送りやアラームの停止など、さまざまなアプリを操作することが出来ます。
「Soli(ソリ)」とも名付けられている同機能ですが、残念ながら日本では電波法の規制により利用することが出来ません。総務省では規制内容の再検討をしており、早ければ2020年の春頃には日本国内でも「Soli」が開放される見込みとなっています。
GooglePixel4はなぜか5Gに未対応
いろいろな技術躍進が見られるGooglePixel4ですが、なぜか次世代通信技術とも呼ばれる5Gに対応していません。GoogleのBrian Rakowski氏はことに対し、「対応エリアが限定されており、消費電力の面などハードウェアが成熟していない、5Gを搭載するのはまだ時期ではない」とのコメントをしています。*1
一部のメーカーが5G版対応のスマホを発売している中、「GooglePixel4に少しがっかりした」という人も少なくないでしょう。とはいえ、今後5Gに必要な環境設備が整えばGooglePixel4の次世代モデルで5Gに対応することが予想されます。
NexusとGooglePixel4の違いは?
Googleは過去に純正端末として、「Nexus」シリーズを提供していました。2016年より提供の終了をアナウンスした後に開発も終了していますが、現在Googleが出しているPixel4の自社開発とは大きく違うポイントがあります。
それは、「Nexusは各メーカーと共同開発し、Googleが純正端末として認定していただけ」に対し、GooglePixel4は完全な自社開発となっている点です。
今までは開発ノウハウが少なくスマホ業界に遅れを取っていましたが、Googleは台湾のスマホメーカー大手・宏達国際電子(HTC)を部分買収することで、GooglePixel4の開発技術や知的財産を取得しています。
Nexusに比べると、完全なる「Made by Google」を目指してGooglePixel4の自社開発に取り組んでいると言えるでしょう。
GooglePixel4はなぜ自社開発をしているの?
Googleでは20%ルールというものがあります。すべての従業員が自分の就業時間のうち、20%の時間を好きなプロジェクトに使っても良い仕組みです。そのおかげで革新的なサービスがさまざま生み出されましたが、「20%ルールはもう無くなったようなものだ」とQuartzで取り上げられています。*2
なぜ多くのアイディアを生み出した20%ルールが無くなったようなものなのか、それはGoogle内での意識が変わり、従来の「新しいアイディアを生み出す」スタイルから、「既存のサービスをより良いものにする」傾向が強くなったようだと推測されています。
にもかかわらず、GooglePixel4はなぜ自社開発を進めているのでしょうか?
Googleがスマホ業界に立ち入ったのは初めてではない
実は過去にもGoogleはスマホ業界に立ち入ろうとしていました。2012年に通信機器メーカーの「Motorola Mobility」を買収しましたが、2014年には中国大手Lenovoへ売却しています。大手IT企業のMicrosoftもNokiaを買収することでハードウェア事業を始めましたが、結果としてあまり成果を出せず、事実上の撤退を決めているのです。
実のところ、ハードウェア事業はソフトウェア事業に比べると収益性が低いと言われており、ハードウェアメーカーがソフトウェア収益化モデルへ移りつつあるという調査結果もあります。*3
特にGoogleはソフトウェア事業で大成功を収めているため、新しくハードウェア事業に立ち入る必要性は薄いとも言えるでしょう。
しかし、今現在GoogleはPixel4というブランドを掲げて自社開発を推し進めています。再度自社ブランドのハードウェア開発に踏み切ったのには理由があるのは明白です。
GooglePixel4を自社開発するのはサービスを広めるため
Googleは検索エンジンを始めとした多くのソフトウェアを世に広めています。ここでGoogleの親会社であるAlphabet社の収益を見てみましょう。
出典:Visual Capitalist *4
2018年にAlphabet社が達成した売上高は1368億ドルですが、そのうちの70.4%がGoogle検索エンジンやYoutubeのAdvertising(広告)であることが分かります。つまりGoogleの収益モデルは広告がメインです。
収益の大半が広告ということは、どれだけ既存のサービスを向上させても新規ユーザーが流入する仕組みを作らなければ収益をアップさせることは出来ません。GooglePixel4を自社開発している目的として、自社サービスを利用してくれるユーザー確保が理由の1つなのは間違いないでしょう。
しかし、”一般ユーザーにGooglePixel4(ひいては自社サービス)を普及させる”という面では、そこまでハイエンドスペックのスマホを自社開発する必要はないとも言えます。また、スマホのOS「Android」はGoogleが開発しており、既定のブラウザとしてGoogleサービスを設定することが可能です。サービス範囲の拡大のためだけにGooglePixel4を自社開発するのは理由として薄いと考えられるでしょう。
GooglePixel4を自社開発するのはAppleの後追い?
Googleがハイエンドスペックのハードウェア事業で収益を上げようとするのには、ビジネスモデルとしてすでに成功しているAppleの存在が大きいと言えます。
出典:Visual Capitalist *4
2018年にApple社が達成した年間売上高は2656億ドルですが、そのうちの62.8%である1667億ドルはiPhoneによるハードウェアの収益です。Apple社はスマホ事業における巨塔とも言われており、iOSとして独自のブランドを構築しています。
しかし、2019年現在、世界的に見るとスマホOSのシェアはAndroidが優位なのをご存知ですか?
Android:76.67%
iOS:22.09%
出典:statcounter *5
市場としてはAndroidユーザーのほうが大きいと分かりますね。よりシェアの大きいAndroidでGooglePixel4という独自のブランドを構築できれば、スマホ事業で成功しているApple社よりも収益化が見込めるという予測を立てているかもしれません。
「GooglePixel4はなぜ自社開発を進めているのか?」という理由として、“Google”ブランドを活かしてAndroid市場を席巻することで大きな収益化を見込んでいると予想できます。
Pixel4を自社開発するうえでGoogleが意識したポイント
「GooglePixel4を自社開発するうえで、なぜもっと優れたスペックにしなかったのか?」と不満を抱えている方もいます。たとえば、2019年9月に発売されたiPhone11 PROでは4K60fpsで動画を撮影出来ますが、遅れて10月に発売したGooglePixel4では4K60fpsに対応していません。
また、5Gに未対応など「いくつかの面で期待していたスペックを下回っている」と声を上げる方もいます。そんな中、なぜ4K60fpsの動画撮影に対応しなかったのか、GooglePixel4のプロダクトマネージャーが理由を回答しています。
80%のユーザーが必要としないものはカット
GooglePixel4はなぜ4K60fpsに対応していないのか、プロダクトマネージャーであるIsaac Reynolds氏によると、「80%のユーザーはおそらくその機能を必要としていないから」と回答しています。*6 GooglePixel4が自社開発する上でフォーカスを当てていたのはコアなガジェットユーザーではなく、一般層だと言えるでしょう。
しかし、「80%のユーザーが必要としない機能はGooglePixel4へ導入しない」という点がガジェットに詳しいユーザーの不満を煽っているようです。アメリカのAndroid専門メディア「Android Police」では20%のユーザーを切り捨てたことに対し、「ガジェットに精通する20%が発信する影響力は計り知れない。結果的に80%のユーザーが買い渋るのではないか?」と不満を表しています。*6
まとめ
GooglePixel4はなぜ自社開発をしているのか、それはハードウェア事業を通じて自社サービスをさらに普及させるためだと考えられます。そして、Apple社というビジネスモデルを参考にAndroid市場を席巻網羅しようと考えているのかもしれません。
しかし、現在発売されているGooglePixel4はiPhone11に比べるとハードウェアとしていくつかスペックが及ばない部分もあります。とはいえ、Googleの強みはソフトウェアによるさまざまなサポートです。今後はさらなるアップデートでスペックを補うアプリやソフトウェアが登場し、GooglePixel4の総合的な評価も上がっていくかもしれませんね。
*1 「It will get there, but now is not the right time to buy a 5G phone」
https://www.pcmag.com/news/371352/google-explains-why-the-pixel-4-is-not-a-5g-phone
*2 「Google’s “20% time,” which brought you Gmail and AdSense, is now as good as dead」
https://qz.com/115831/googles-20-time-which-brought-you-gmail-and-adsense-is-now-as-good-as-dead/
*4 https://www.visualcapitalist.com/how-tech-giants-make-billions/
*5 https://gs.statcounter.com/os-market-share/mobile/
*6 https://youtu.be/JgjIA7M4G8c?t=2380
(動画時間39:40から)
*7 「Google is trying to build phones for “80% of users” — and it’s leading to stupid mistakes」
https://www.androidpolice.com/2019/11/06/google-is-trying-to-build-phones-for-80-of-users-and-its-leading-to-stupid-mistakes/
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