Autodesk Forgeでモックアップがよりリアルに美しく!
モックアップといえば、携帯電話の見本のようなサンプル模型をイメージする方が多いでしょう。
実際に作ろうとしている製品について、仕様書だけではなく「もの」で確認できると非常にわかりやすいです。そのため商品企画やプレゼンテーション、設計の評価などに使われます。
また、最近はCADやBIMデータなどを用い、パソコンの中で実際に作成する製品や構造物などを表現するデジタルモックアップも普及しています。
最近のモックアップは、単なる模型の域を脱し、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)へと変化。より具体的な評価が可能です。
この記事ではよりモックアップの概要やデジタルモックアップを作成するのに活用されているソフトウェアである、Autodesk Forgeについてもあわせて紹介します。
モックアップとはどんなもの?
まず、モックアップの概要や用途についてご紹介します。
モックアップは試作品のこと
モックアップとは、商品の試作段階や販売の過程で使われる試作品のこと。樹脂で作成されているものが多くみられます。
実際のものづくりの場合、樹脂を成型する場合には、金属を加工してたい焼き型のような金型を作り、溶かした樹脂を流し込んで固めます。モックアップも、従来は樹脂部品と同様に、簡易金型を用いて成型されていました。
3Dプリンターが普及し、モックアップが早く安く作れるようになった
しかし、3Dプリンターが広く使われるようになり、CADなどの設計データがあれば、金型がなくても直接モックアップが作れるようになりました。
仮金型を起こすよりも安く短期間で対応できることから、データを忠実に反映したリアルなモックアップが多く作られています。(*1)
モックアップの用途は企画から製造まで幅広い
企画・デザインの場面では、外観や触り心地、操作性などがわかると、改めて新しいアイディアが沸いたり不具合に気づいたりできます。
また、顧客と完成イメージを共有するのにも便利です。特に、建設・建築業界の場合は、ミニチュアを再現することで仕様書だけではわかりにくい詳細のイメージが一目でわかります。
製品設計や製造の場面においても、組み合わせが重要になる部品のモックアップがあれば、設計の確かさを検証するのに役立ちます。また、試作・評価にかかる期間を短縮して生産性を向上させるためにも有効です。(*2)
デジタルモックアップとはどんなもの?
モックアップにはパソコン上で仮想的に作られるモックアップもあります。
デジタルモックアップはデータ上の模型
デジタルモックアップはDMUと略される技術で、3Dデータに対して実際のものの見え方が再現するためのテクスチャを設定したうえで、軽量化し、表示に特化して取り扱いやすくなるようにしています。
リアルな製品の視点を変えてみたり、分解して評価したり、場合によっては自分がその製品の中に入って行って移動したときの視点などが確認可能です。(*3)
デジタルモックアップで設計効率の向上が図れる
デジタルモックアップは、以下のような用途で、簡単に測定したり画面内の製品を動かしたりできます。
・干渉/クリアランスの確認:製品をくみ上げた状態で製品の成立性を確認します。また、ドアを動かした場合にぶつかる構造はないか、製品を組付ける際の作業スペースが確保されているかなども検証可能です。
・操作性、視認性の確認:組み立て作業における作業者の動きに連動し、作業者の視点が表示できます。やりづらい部分がないが確認できるほか、簡単なアニメーションを作成して作業手順を説明する動画を作成できます。
デジタルモックアップをデザインの検証や干渉チェックなどの設計評価に使えば、試作品の作成回数削減にも貢献可能。場合によっては完全試作レスでものづくりが行えます。(*4)
モックアップはAR/VRに欠かせない
デジタルモックアップはより高精度になり、現在は仮想体験できるモックアップが作れるようになりました。VR端末をつけて首を動かせばそのとおりに視界が切り替わり、ものをつかむこともできます。
もちろんデジタルモックアップで行われていた、寸法測定や分解などにも対応。ユーザーテストやデザインレビューなどの設計検証の場合には、複数の拠点のレビューアーがVR空間内に集合し、製品の中に乗り込み評価可能です。(*5)
VRモックアップにAutodesk Forgeが活用されている
モックアップは技術革新がすすみ、VR空間でも使われています。Autodesk ForgeはVRモックアップを支える技術として広く活用が期待されています。
VRモックアップの用途
VRモックアップは、今までのモックアップの用途に加え、以下のような用途に活用され始めています。
・不測事故対応訓練、安全衛生教育
・生産ラインの効率性を検証
・製品開発・製品デザインの開発・評価
・チームワーク訓練
実際に再現することができない危険箇所でも、VRであれば安全に訓練でき作業者の安全確保に貢献可能。建築、物流、製造、自動車業界など、多くの分野で活かされています。(6)(7)(8)(9)(*10)
モックアップの作成には、大規模な演算処理が必要
リアルなモックアップへのニーズが高まっていることから演算処理が増大しています。自動車、船舶、航空機、ビル、道路など、多くの構造物で形状が成り立っている場合、部品をすべて集めてモックアップを作成する場合、1台のパソコンだけでは対応ができない場合も増えてきました。
そのため、モックアップへのデータ変換はクラウド上で行われることもあります。クラウド上であれば、理論上はデータ容量が無限大。部品点数やパソコンのスペックなどを気にせずに、クラウド上でのモックアップ生成できるようになります。
Autodesk Forgeはクラウドでさまざまなプロジェクトが実行可能
Autodesk Forgeは、CADデータをWeb上のクラウド環境で操作するための機能群のことで、さまざまなWeb APIをもっています。(*11)
Forgeを活用すれば、クラウド上でモックアップが作成できます。Forgeの技術を使って作成したあるソリューションでは、以下のような機能を実現しています。(*12)
・3D CAD、BIMデータをサーバーにアップロードすると、端末に負荷を欠けず自動でAR(拡張現実)・MR(複合現実)向けのモックアップデータに変換
・Autodesk製品のCADデータに限らず、数十種類のファイルフォーマットに対応
・場所や環境を選ばずいつでもモックアップデータが利用可能
VRモックアップがあれば、離れた場所にいるメンバーが同じ情報を共有できます。また、モックアップデータは軽量化されているので、CAD端末がなくても参照可能。
閲覧権限の範囲で、いつでも誰でも情報共有が図れるため、離れた拠点同士のチーム設計もより進めやすくなるでしょう。
AutodeskでもForgeの技術に期待を寄せている
Autodeskでは、クラウドAPIを使用していることなどを条件にForge Fundという基金を創設。デジタルモックアップを始めとする新たなものづくりを支える技術を支援しています。(*13)
AutodeskがForgeの技術を大きく発展させたいと考えていることが窺えます。今後もVRモックアップを含むForgeに関わる分野は、大きく発展していくことでしょう。
まとめ
モックアップは試作品としてさまざまな情報共有に活用されてきました。昨今は製品が高度化や生産性の向上に対応するために、VRモックアップが普及しています。VRモックアップの作成にはAutodesk Forgeのようにクラウド上での作業をサポートする技術が必要不可欠。今後さらなる発展が期待されています。
参考URL
*1 https://www.marubeni-sys.com/3dprinter/case/
*2 https://www.ricoh.co.jp/3dp/what/scenes/
*3 https://www.presight.co.jp/glossary/detail/dmu.php
*5 https://www.cadjapan.com/topics/feature/vr/2018/180416_vr.html
*6 https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/ss/arvr/products/vr/deployment/
*7 https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/rd/vr.html
*8 https://jgoodtech3.smrj.go.jp/all/04e5182129d66cceb7d9a35233dda25c/
*9 https://japan.zdnet.com/release/30397944/
*10 https://www.moguravr.com/vr-bell-helicopter/
*11 https://forge.autodesk.com/
*12 http://www.archifuture-web.jp/magazine/400.html
*13 https://forge.autodesk.com/fund
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