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Appleのこれまでの対応まとめ iPhone低速化問題

2020年4月リリースされたばかりのiPhone SE2が大きな話題となっていますね。
買い替えるのか、買い替えないのか、世界中のIPhoneユーザーたちが悩んでいるところかもしれません。新機種を試したい欲を抑えたとしても、数年使ってなんとなく動作が「モッサリ」してくるように感じられると、いよいよ買い替え時が来たと感じられますよね。
さて2020年3月、そんなモッサリ感が引き起こした(?)いわゆる「iPhone低速化問題」の決着がついたというニュースが報じられました。
今回は、このiPhone低速化問題について取り上げたいと思います。

この記事でわかることは以下の3つです。
・iPhone低速化問題とは
・iPhone低速化問題に対するAppleの対応
・現在受けられるバッテリー劣化時のサービスについて

iPhone低速化問題とは

iPhoneシリーズは、次の新機種がいつ出るかとさまざまなメディアで予想が立てられ、新機種登場はApple信者と呼ばれるApple製品愛好者たちを始め多くの人々の関心事となっています。
そうして定期的に新機種がリリースされる中、個々の思い入れやお財布事情を抱えたユーザーたちがその都度「買い替える派」「買い替えない派」に分かれてメディア上で論争する……というのがお約束ともなっています。
しかし、買い替えるか買い替えないかはあくまでもユーザーが決めること。それなのに今から3年ほど前、Apple側から新機種に買い替えさせるための作戦として既存機種について意図的な低速化が行われたのではないか、というユーザーの声が上がったのです。

始まりは2017年、一人のiPhone6ユーザーから

2017年12 月、海外の掲示板Reddit上で「iPhoneのバッテリーを交換すると、操作性能が大幅に向上した」という趣旨の投稿がありました。(*1)
これは当時iPhone 6Sを使っていたという投稿者が、自身のiPhoneの動作が遅くなり、アップデートをしたのちも動作が改善されないことに疑問を持ち、バッテリーを交換したという話から始まります。そして、性能のベンチマークテストも行い、交換後のバッテリーでは2倍ほど速くなったということが記されていました。

ベンチマーク測定ソフト公式もiPhone検証に参加

この投稿は話題になり、同12月半ばにはベンチマーク測定ソフト「Geekbench」の公式ブログでiPhone6と7についてベンチマークテストの測定結果と考察が掲載されました。(*2)
そのブログで、Appleのプログラムに、バッテリーが低残量のケースに対して動作を故意に遅くするようなプログラムが含まれていることを示唆しています。
この情報が広まり、ユーザーからは『Appleはユーザーに古い機種を買い替えさせようとしてわざと遅くしている』という見方が出て批判が起こりました。

低速化に対するAppleの対応

シャットダウンを防ぐための措置であった?

同年12月下旬に、Appleはこれに対する声明文をメディアの各方面へ発表しています。それによれば、バッテリーが低下している場合の予期せぬ突然のシャットダウンを防ぐためだったとのことです。最初の投稿者TechFire氏のもとに送られてきた声明の意訳(筆者訳)です。(*1)
「全体的なパフォーマンスとデバイスの寿命を延ばすことを含め、お客様にベストな体験を届けることを目的にしています。リチウムイオン電池は、低温条件下、低充電状態、経年劣化した状態では電流の供給能力が低くなり、電子部品を保護するためにデバイスが予期せずシャットダウンしてしまう可能性があります。
昨年、このような状態において端末が不意にシャットダウンしてしまうのを防ぐために、必要な時にピークを抑制する機能を、iPhone 6、6s、SE向けにリリースしました。これはiOS 11.2でiPhone 7に拡張し、今後は他製品への対応も予定しています。」
バッテリーが古くなると、充電率が悪くなったり、充電してもすぐに電池が減ってしまったりすることがあります。
そのため、バッテリーが古くなった場合は低残量になりやすく、このプログラムが発動して低性能状態になるようです。

同月中にバッテリー交換費用を値下げ

また、Appleは対象のiPhone6以降の機種に対し「特別有償バッテリー交換プログラム」としてApple Storeと正規サービスプロバイダでのバッテリー交換費用を大幅に値下げするという対処を発表しました。
この対処は2018年いっぱい、対象の機種に対してバッテリー交換にかかる費用8800円を3200円に値下げするというもので、これによりバッテリー交換依頼が殺到したことが話題になりました。
なお、この後2019年以降も、iPhone6、6s、7、SE、8に対するバッテリー交換費用は5400円と低く据え置かれています。(*3)

iOS11.3からバッテリー状態を確認できる機能を追加

また、Appleはその後リリースのiOS11.3から、バッテリーの劣化状態がわかる表示機能を追加しています。(*4)
iPhone上で[設定]メニューから[バッテリー]メニュー内でバッテリーの状態を確認できます。
これにより、新品時のバッテリー最大容量から比較して現在どのくらいの最大容量となっているかをパーセンテージで表示できるようになりました。
また、批判のもととなったパフォーマンスを抑制する機能について、その機能を無効にすることができるオプションが追加されています。

問題発生から約2年半、最大5億ドル(約537億円)の和解金も

ロイターは2020年3月、パフォーマンスの低下により被害を受けたとする集団訴訟に対し、AppleはiPhone1体あたり25ドル、合計で最大5億ドルの和解金を支払うことで合意したと報じました。(*5)
Appleは、買い替えさせることを目的とした不正なパフォーマンス低下を行ったわけではないとしながらも、これ以上の訴訟コストや問題が長引くことによる負担を考慮し高額な和解案を選択したということのようです。最初の問題提起が2017年12月ですから、それから約2年半経っています。

現在受けられるバッテリー劣化時のサービス

こうしてやっと解決したと思われるバッテリー低速化問題ですが、その後もiPhoneユーザーたちはAppleからバッテリー劣化に関していろいろなサービスを受けられることになりました。
Appleの公式Webサイトでは、現在もiPhoneのバッテリーに関する管理機能の説明や、バッテリーの劣化がパフォーマンスに及ぼす影響などが詳しくまとめて掲載されています。(*6)

バッテリー交換サービス

Apple Storeでのバッテリー交換は、Apple 製品限定保証または AppleCare+の保証対象であれば無料、保証の対象外であっても7400円(iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone 11 Pro Max、iPhone 11 Pro、iPhone 11)/5400円(新発売のSE2を含むその他の機種)となっています。(*3)

iPhoneのバッテリー状態管理機能

バッテリー劣化状態を確認する機能は、2020年4月時点の最新iOS13にも引き継がれています。
iOS13では、以下の操作でバッテリーの状態や管理を行うことができます。
[設定] – [バッテリー] – [バッテリーの状態]
・最大容量
新品時から比較した現在の最大容量を表示できます。
・ピークパフォーマンス性能
騒動のもととなった、突然のシャットダウンを防ぐためにピークパフォーマンスを管理する機能の状態を表示できます。(この機能により、アプリの起動に時間がかかったり画面の明るさが暗くなったりと処理に影響が出ることがあります。通話や決済機能のような重要な処理には影響が出ません。)
・最適化されたバッテリー充電
iOS13以降での機能です。ユーザーの使用状況をAIで学習し、バッテリーの劣化を防ぐ効率的なバッテリー管理を行います。

バッテリーに関する認知向上サイト

Appleは、iPhoneに限らずApple製品全般に対しバッテリーの劣化を防ぎ耐用年数を増やすためにどうしたらいいかをまとめたページを作っています。(*7)
OSアップデートを行うこと、充電中にケースを取り外すこと、極高/低温下を避けることなど、すぐに実践できることが満載です。
お手持ちのiPhoneを大事に使いたいなら、さっそくバッテリー状態を確認してこのサイトの内容を試してみてはいかがでしょうか。

記事内の情報は、すべて2020年4月時点のものです。

参考リンク
(1) https://www.reddit.com/r/iphone/comments/7inu45/psa_iphone_slow_try_replacing_your_battery/
(
2) https://www.geekbench.com/blog/2017/12/iphone-performance-and-battery-age/
(3) https://support.apple.com/ja-jp/iphone/repair/service/battery-power
4)https://support.apple.com/ja-jp/HT208067#1103
(5) https://uk.reuters.com/article/us-apple-iphones-settlement-idUKKBN20P2E7
(
6) https://support.apple.com/ja-jp/HT208387
(*7) https://www.apple.com/jp/batteries/maximizing-performance/

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