ダッソー・システムズのCIMソフト「シビル・デザイン・フォー・ファブリケーション」の強みとは
土木建設の業務効率を向上させてくれるCIMは、現在様々な企業から新しいソフトウェアが登場している分野でもあります。
フランスのダッソー・システムズが2017年にリリースした「シビル・デザイン・フォー・ファブリケーション」もまたCIMに特化したサービスです。
今回はこちらのサービスの強みや、ダッソー・システムズについてご紹介します。
目次:
①ダッソー・システムズとは
②「シビル・デザイン・フォー・ファブリケーション」の強み
③ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE プラットフォームについて
ダッソー・システムズとは
ダッソーシステムズは、フランスに本拠地を構える3Dソフトウェア会社です。フランス最大級のソフトウェア会社で、EU圏内で見ても指折りの企業ですが、近年は海外向けの活動も展開しており、日本向けのサービス導入も進んでいます。
ダッソー・システムズの概要
元々CADツールの開発を機軸とした事業を展開してきたダッソー・システムズですが、活動している業界は多岐に渡ります。重工業や自動車業を中心とする製造分野での導入実績はもちろん、エアロスペース分野においても実績を誇っており、土木建設においても専門のソフトウェアの提供を進めています。
また、近年は自社の優れた3Dのソフトウェア技術を転用し、スマホアプリ開発やビデオゲームの分野にも参入しているなど、豊富なノウハウを誇っているのが特徴です。
CIM領域における活動
ダッソー・システムズが自社ホームページの建設部門において掲げているのが、「今ある環境を再構築し、持続可能でレジリエントな都市の未来へ。」というコンセプトです*1。
クラウドやBIM/CIMデータを活用し、仮想環境における高度なシミュレーションや、現実世界とのデータ連携を促し、次世代のサステナブルな都市計画を策定します。また、高度に複雑化する居住者や建物オーナーのニーズに応えるべく、拡張性の高いプロジェクトの実現により、居住者の体験価値向上にも活躍します。
「シビル・デザイン・フォー・ファブリケーション」の強み
CIM分野にも独自の強みと実績を持つダッソー・システムズですが、2017年より提供を開始しているのが、土木向けCIMソリューションの「シビル・デザイン・フォー・ファブリケーション」です。
100km四方の広大なエリアに対応
CIMソリューションにはこれまでも様々なサービスが提供されてきましたが、こちらのサービスが強みとするのは、まずなんと言っても広大なエリアに対応している点です。
国内におけるBIM/CIM活用は、多くの企業において導入事例は進んでいるものの、未だ実験的な運用にとどまっている企業も少なくありません。そのため、大規模なBIM/CIM導入の事例はまだ限られており、ノウハウの蓄積やBIM/CIMサービスのパフォーマンスも小規模に特化しているケースが見られます。
シビル・デザイン・フォー・ファブリケーションでは、大規模な土木工事を想定し、100km四方の広大なエリアを扱えるポテンシャルを備えているのが特徴です。土木工事は建築とは異なり、広大な土地を扱うプロジェクトも多く、このデータをひとまとめにするのは困難が伴うものです。
そこでこちらのサービスでは設計・施工を包括的に処理できる環境を提供し、大規模インフラの管理者が直面する数々の課題の解消に役立てられる仕組みを備えます*2。
無駄な手直しの削減
巨大な敷地のデータ活用を一元化できることで、データ管理が煩雑になる心配はありません。また、プロダクトモデルを以前のものから再度流用できる仕組みを備えているため、無駄な修正や手直しの発生も抑えられます。
従来の3Dモデリングにおいては、修正作業や作り直しの作業に多くの時間と人手を割いていたため、プロジェクトのスケジュールの遅れや、慢性的な残業の発生を促進する要因となっていました。こちらのサービスを用いることで、こういったコストの発生を抑制し、効率的な業務の遂行を促進してくれます。
多彩な統合環境の実現
シビル・デザイン・フォー・ファブリケーションでは3Dモデリングの作成にとどまらず、設計から建設まで、多彩なデータを統合できる点にも注目です。同一のページを介して、オーサリングからデータ処理までを実行できる仕組みを備えているため、複数のツールを起動させる必要もありません。
また、データを一元化することによって、チームでの共同作業も容易になります。単一のデータを介して共同作業を進められるため、後からすり合わせの作業が発生することもありairません。データをリアルタイムで反映させ、無駄のないチームプレイを実現できます。
ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE プラットフォームについて
ダッソー・システムズではシビル・デザイン・フォー・ファブリケーションの他にも、様々な3Dツールを提供しています。また、3Dツールは別個に配布するのではなく、3DEXPERIENCEプラットフォームという単一のシステムからまとめて提供されている点にも注目です。
3DEXPERIENCEプラットフォームは、ビジネス活動とエコシステムの状況をリアルタイムで把握できるように、というコンセプトを元に提供されているサービスです*3。プラットフォームを通じて、複数のツールを一元的に管理・活用できる環境を導入することで、企業の様々な問題やチャレンジを解消できる強みを備えています。ビジネスプロセスを相互に関連づけ、システム化することによって、企業活動に関係する全員が一つのプロジェクトに取り組むことを実現します。
また、売り手と買い手、購入者と下請け、サービス提供者と最終顧客間で仲介を通さないやり取りをプラットフォーム上で実現しているのも特徴です。サービス利用の都度に仲介業者を挟むのではなく、マッチングを促すマーケットプレイスとしての機能を果たすため、より円滑で、コストパフォーマンスに優れるプロジェクトの遂行に役立つでしょう。
おわりに
ダッソー・システムズはまだ日本国内において知名度は低いものの、サービスの向上やローカライズを進め、CIM分野で注目の企業として成長を遂げています。
今後も新サービスの登場や実績の普及により、ますます導入企業は増えていくことになるでしょう。
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参考:
*1 ダッソー・システムズ「建設・都市・地域開発」
https://ifwe.3ds.com/ja/construction-cities-territories
*2 日経XTech「100km四方を扱えるCIMソフト」
https://xtech.nikkei.com/kn/atcl/cntproduct/15/00108/
*3 ダッソー・システムズ「3DEXPERIENCE プラットフォームビジネスとイノベーションのゲーム・チェンジャー」
https://www.3ds.com/ja/3dexperience