技術者が転職を考えるときとは?
多くの技術者の方々の面接をやってきたが、本質的に技術者が転職を考える理由は、「不安」の一言に尽きる。そして、その不安の根源は「技術力」にある。
例えば、ある技術者は「給与が不満だった」と漏らしたが、よく聞くと
「今の職場だと、下請けばかりで技術力がつかない」⇒「給与が上がらない」⇒「不安」⇒「転職」
という順序になっていた。
またある技術者は、「もっと成長できる仕事がしたい」と言ったが、聞くと
「今の職場でやっている仕事が、代わり映えしないので、技術力がつかない」⇒「成長している実感が無い。もっと成長したい」⇒「不安」⇒「転職」
という順序だった。
更に別の技術者は、「労働時間が長い」と言ったが、聞くと
「今の現場のやり方は、効率化がなされていない。そういった技術をもった先輩がいない」⇒「今の状態があと10年、20年続くのは耐えられない」⇒「不安」⇒「転職」
だった。
技術者は営業職や経理などのスタッフ職と異なり、絶対的な知識量が要求されるため、一流になるまでにかなりの時間的投資が必要である。
その時間をムダにしている、と感じた時点で技術者は「不安」になるのだろう。多くの転職者の方々は、「会社や同僚、社長のこともすきでした、でも…不安です」と述べていた。
結局のところ、技術者が自信を持ち、不安が解消できるかどうかは技術力の向上の度合いにかかっている。したがって、
1.同じような内容の仕事ばかりで技術的に停滞している
2.同じ人とばかり仕事をしており、新しく学ぶことが少ない
3.同じ顧客の仕事ばかりで、求められることに変化が少ない
ような状態が2年から3年続くと、技術者は転職を考えだす。
ジョブローテーションや、求められる技術水準の変化、または職場の異動などで出来る限り広範な技術を扱い、多くの物に触れる機械を技術者に与えることもまた、テクノロジー企業の経営者やリーダーに与えられた責務なのかもしれない。
逆に、エンジニアの方は積極的にそのような機会を勝ち取るべく、会社内で動いたほうが良いのだろう。