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大成建設がマイクロソフトとの協業で得た変革とは

日本における建設業界のIT化は、IT会社との協業によって、現在加速しつつあります。

IT会社と建設会社の協業の例として、最近話題となっていたのが大成建設と日本マイクロソフトの協業による新たなソリューションの展開です。

大成建設はマイクロソフトのどのようなサービスに注目し、どんな変革を行なったのでしょうか。

その背景や具体的なソリューションについて、今回はご紹介していきます。

目次:
①AIとIoTを活用した新しい価値の創出
②Microsoft AzureとWindows 10 IoTの活用
③ストック型社会に向けた事業の転換を図る

マイクロソフトとの協業を発表した大成建設

2019年10月、大成建設はAI・IoT を活用したソリューションを生み出すべく、マイクロソフトとの協業を開始したことを発表しました。
大成建設「AI・IoTを活用した施設運用・保守事業の変革に向け協業を開始」:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/191015_4811.html

施設運用・保守事業の変革

今回、大成建設がマイクロソフトとの協業において注目していたのは、施設運用と保守事業における変革です。

建物を引き渡した後も、その維持管理や施設運用について効果的な施策を実行していくことが、今回の協業の目的です。

建物を建てるだけでなく、不動産価値を維持し、顧客にとっての価値創造を続ける重要性に、大成建設は注目を始めたともいえるでしょう。

2019年7月、大成建設は「AI・IoT ビジネス推進部」を社内に発足し、用途や機能別に役立つITソリューションの構想に着手しています*1。

マイクロソフトとの協業により、具体的なソリューションの開発は、これから一段と加速していくことが考えられるでしょう。

クラウドプラットフォームの活用

大成建設とマイクロソフトの協業の中で注目されているのが、クラウドプラットフォームの運用です。

アプリケーションの実行やデータを保管するプラットフォームをクラウド化し、web上でアクセスを可能にすることで、情報共有やシステムの運用は容易になります。

ハードウェアに依存せず、いつでもどこからでも、自由に利用ができるようになるためです。

マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」をベースとして、大成建設は建造物内の設備の自動制御などを行うクラウドサービスを構築しました。

これによって、迅速な運用環境の構築と、運用の開始が可能になったのです。

大成建設とマイクロソフトの協業が進んだ背景

次に、大成建設とマイクロソフトの協業が、なぜ今進んだのかについて、見ていきましょう。

日本におけるストック型社会への転換

協業が進んだ理由の一つとして、我が国におけるストック型社会への転換が挙げられます。

安価に素早く大量の建設を行うのではなく、一つの建物を末長く使い、持続可能な社会を実現するという、次世代の価値観への対応です。

こういった社会の変化に伴い、建設会社においても提供するサービスのあり方の変化を問われる時期に突入しています。

大成建設が考えたソリューションが、AIやIoTを活用した、既存の建物の維持管理やリニューアル、リノベーションといった事業への注目です。

精密でリアルタイムの維持管理に必要なデータ収集環境の構築や、リニューアルや補修の際に効率よく作業が進められるよう、クラウドプラットフォームを活用します。

建設時のデータ管理をクラウド化することで、情報共有も円滑に行うことができるようになるでしょう。

マイクロソフトとの協業は、こういった時代の変化についていくための事業転換において、大きな役割を果たすことが期待されています。

新たな収益機会の創出のニーズ

情報のデジタル化と一括管理を進めることによって、大成建設は新たな収益機会の創出にも努めることができるようになりました。

例えば、建物の状況をIoTによりリアルタイムで効率よく管理ができるようになったことで、高い防災・防犯能力を付与することが可能です。

あるいは建物外のIoTサービスとの連携により、スマートシティの一角を担い、合理的なライフスタイル形成に役立ててもらうこともできるでしょう。

IoTとAIは建設物の管理に役立つだけでなく、外部サービスとのコミュニケーションも可能にしてくれるのです。

デジタル化され、汎用性が高くなった住まいや働く場所の提供は、大成建設とマイクロソフトが挑む、次なるチャレンジと言えるでしょう。

大成建設の「AI・IoT ビジネス推進部」が生むソリューション

現在、大成建設がマイクロソフトとの協業によって展開が予定されているソリューションは、以下の3つが主となります。

地震発生直後の建物健全性把握

一つは、地震発生時における建物の安全性の把握です。

日本において、地震は定期的に発生しうる自然災害であり、常日頃からの防災対策が必要となります。

大成建設は、震災後の二次災害を回避する手段や、インフラ、その他企業の施設がその後も滞りなく事業が継続できるかを判断するシステムの開発に着手しています。

このシステムはAIとIoTを活用し、地震発生後に迅速な建物の健全性の評価を行い、建物のオーナーや管理者へと診断結果を送信するというものです。

このデータの収集と管理に使われるのが、マイクロソフトの提供するMicrosoft Azure と Windows 10 IoTです。

膨大なデータ処理をクラウドベースのサービスによって迅速に行うことで、企業やインフラの活動を、災害後も迅速に再開できるよう促してくれます。

施設統合運営管理

二つ目に、施設統合運営管理のコストパフォーマンス向上です。

建物の運営費や維持管理費用といったランニングコストは、長期的に見れば設計・施工費と同じか、もしくはそれ以上になると言われています*2。

そこで大成建設はAIやIoTの力を活用することで、管理業務の効率化と、それに伴う費用の最小化に努めます。

マイクロソフトが提供するスマートビル化に向けたソリューションの運用も進めつつ、独自のサービス展開も実施していきます。

生産施設における従業員の作業状況の見える化

3つ目が、生産施設における従業員管理の向上です。

労働人口の減少に伴い、限りある労働者には効率よく働ける環境を提供し、合理的な仕事を与えるための管理がより重要になります。

大成建設はMicrosoft Azureを活用して、各従業員のステータスをリアルタイムで管理し、データ収集を行うことを検討しています。

収集したデータをAIによって分析し、従業員へ適切な指示を与え、少ない時間で作業負荷を軽減しながら、パフォーマンスを最大限に高めていくという施策です。

おわりに

大成建設とマイクロソフトの協業により、新たなクラウドプラットフォームが形成され、建設業界に大きな価値創出が行われることが期待されています。

AIとIoTの活用により、建物の本体の管理だけでなく、従業員の管理も行うことで、住みやすく、働きやすい環境の実現が進んでいます。

まだ普及こそしてはいないものの、ここ数年で、これらのサービスの拡充が進んでいくことは、大いに期待して間違いはないでしょう。

出典:

*1 BUILT「大成建設がMSと協業、初手は地震による建物への影響や作業員の現状などを“見える化” 」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1910/21/news035.html

*2 大成建設「AI・IoTを活用した施設運用・保守事業の変革に向け協業を開始」:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/191015_4811.html

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