現場運用に特化したiPad向けBIMアプリ「CheX」の強み
BIM運用を積極的に活躍していこうという動きは現場でも少しづつ進んでいるものの、まだまだ課題も残っており、うまく進められていないのが現状です。
そんな中、iPadやiPhoneで図面の情報共有を行えるアプリケーション「CheX(チェクロス)」は、この度新たにBIMモデルの共有を行える機能を追加しました。
今回はCheXの機能や強み、そしてBIM運用に伴う課題をどのように解決しているのかについて、ご紹介していきます。
目次:
①現場の情報共有を円滑にするCheX
②iPadやiPhoneで誰でも簡単にBIM運用が可能
③現場作業の効率化で建設業界の刷新を
CheX(チェクロス)とは
CheXは、手元のスマートデバイスで簡単便利にプロジェクト内における情報共有を、円滑に行うことを目的としたアプリケーションです。
iPhoneやiPadで気軽に図面の共有を
建設業界の情報共有においては、図面や工程表、作業指示書など、様々な書類が紙面やデジタルデータで飛び交い、形式もバラバラに共有が行われてきました。
そのため情報の処理だけでも多くの時間を必要とし、ましてプロジェクト内で関わる組織や人数が増えると、その手続きはより複雑になります。
CheXではそういった煩雑化した情報共有の業務をタブレット・およびスマートフォンに一元化し、手軽にデバイスを使ってのデータ閲覧が可能になっています。
最新機能でBIMに対応
また、CheXは最新のアップデートで新機能が追加され、施工現場での運用を想定したBIM対応も開始しました*1。
運用方法としては従来の対応可能データと同様で、BIMデータをストレージへドラッグ&ドロップするだけで軽量データに変換され、手元のデバイスで自由に閲覧ができます。
情報量が多いBIMデータですが、CheXの自動処理によって高速描画が実現されているため、iPadであっても軽々操作が可能です。
ファイル形式は、オートデスクのRevitとIFCに対応しており、運用可能な現場は相当数に上ると予想されます。
建設現場におけるBIM運用の課題
CheXのBIM対応は建設現場での運用を想定しての機能ですが、今のところ現場におけるBIM運用の事例はまだまだ少なく、普及は滞っているのが現状です。
BIMエンジニアの不在と教育の必要性
BIM運用が施工現場において進んでいない理由としては、1つにBIMを扱える人材が現場にまで及んでいないことが挙げられるでしょう。
BIMを扱う技術はまだ世間的にそこまで普及が進んでおらず、ある程度土木建設のエンジニアリングに特化した教育を受けなければ、BIMを扱う能力は身につけられません。
BIMを扱う能力を改めて社員教育の場で身につけるにしても、人材育成コストは安くなく、時間もかかるため、即効性の低い施策です。
業務の複雑化
また、むやみに新しい機材やアプリケーションを現場に導入することは、業務を複雑にしてしまい、余計に効率を悪くさせてしまう可能性があります。
現場作業員の中にはタブレットの扱いに慣れていないものも多く、複雑な操作を要求することは得策とは言えません。
これまでの紙などを使った情報共有の方が親しみやすく、頭に入りやすいと感じる人にとっては、BIMの運用などには積極的になれないでしょう。
CheXが実現した技術
そんな中登場したスマートな情報共有の手段であるCheXですが、従来の手法の刷新を余儀なくされるほど、優れたメリットを日々生み出してくれます。
クラウドストレージで情報共有を円滑に
CheXはクラウド上に設置されたストレージを使って情報共有を行うため、ネット環境さえあればいつでもどこでも、そして誰でも利用できます。
これまでメールやUSBストレージの手渡しなどでデジタル情報を共有したり、紙に印刷しての共有が行われていた場合などに、効果を発揮します。
クラウドストレージを覗くだけで情報共有を完了させることができるため、それに伴う作業時間の大幅な減少が実現します。
また、iPadを使用することで紙に印刷する必要も無くなるので、ペーパーレス業務の実現にもつながります。
優れたBIMデータの活用機能を搭載
CheXはBIMデータを滑らかに閲覧することができますが、それだけではありません。
属性情報の参照はもちろんのこと、部材ごとのデータを閲覧するフィルター機能や、部材にマーカーや色を付与し、メモ書きや写真を残す進捗管理機能も搭載されています*2。
また、データからQRコードを出力し、コードを読み取るだけで指定の部材の場所まで一気にジャンプすることができる機能など、運用方法は多彩と言えるでしょう。
これまで現場でBIMの運用が行われなかったのは、こういった使い方を気軽に行えなかったことも要因の1つに挙げられます。
CheXはまさに、現場におけるBIM運用のあり方を変えるアプリとも言えるでしょう。
BCP強化の一翼も担う
災害が発生し、企業や現場に何らかのトラブルが発生した時に備え、BCP(事業継続計画)の強化を行なっておくことも欠かせません。
特に日本は自然災害が多く、サイバー犯罪のリスクも高まっているため、来たるリスクへの備えは必携です。
その点CheXはクラウドストレージの運用に際し、インターネット通信の全てに暗号化を施しているため、情報漏洩のリスクを最小限度に抑えることを実現しています。
また、データを管理するサーバーは国内3カ所に分散されているため、万が一の危機においてもデータ消失のリスクは小さいと言えます。
建設現場がCheXを必要とする理由
CheXの強みは現場での運用に特化した使用感を実現していることにありますが、ここまでBIM運用や業務の効率化を進めなければいけない理由は、どこにあるのでしょうか。
労働人口の減少
1つは、日本の建設業界における労働人口の減少です。
少子高齢化により日本の労働人口は減少の一途をたどっていますが、特に建設業界はその煽りが大きいと言えます。
熟練の作業員の高齢化が進み、若手の育成が行えないまま第一線を退いてしまうと、次世代の人材育成にも支障をきたします。
業務の効率化は急務
熟練の技術者を少しでも教育や複雑な業務に配置する上では、業務の効率化により無駄な作業を削減していく必要があります。
また、建設業界に人材が集まらない理由として、長時間労働で身体的負担が大きいというイメージも要因にあります。
建設業において肉体労働や危険な業務を少しでも減らし、クリーンで働きやすい業務環境を整えていくことも、優秀な人材の確保には不可欠なのです。
おわりに
建設現場への積極的な導入が進むCheXは、これまでの現場におけるBIM運用のあり方を、大きく変える可能性があるアプリです。
積極的なCheXの活用は、1つの建設会社に利益をもたらしてくれるだけでなく、建設業界全体の刷新のきっかけにもなるでしょう。
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出典:
*1 BUILT 「「BIMを現場へ連れていけ」、“CheX”新機能はiPadでBIMモデルに自在書き込み (1/2)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1912/13/news087.html
*2 BUILT 「「BIMを現場へ連れていけ」、“CheX”新機能はiPadでBIMモデルに自在書き込み (2/2)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1912/13/news087_2.html