Autodeskとプロパティデータバンクの連携で進むBIM活用
BIM運用を世界中で牽引するAutodesk(オートデスク)と、不動産管理を支援するプロパティデータバンク株式会社は、この度サービスの連携を発表しました。これはクラウドサービス「@プロパティ」の機能を拡充し、さらなる利便性の向上を促す連携になると期待されています。
今回はそんなAutodeskとプロパティデータバンクの連携によって、どのような効果や不動産運用が可能になるかについて、ご紹介していきます。
目次:
①AutodeskとプロパティデータバンクのBIM連携について
②「@プロパティ」のBIM連携で期待される活用例
AutodeskとプロパティデータバンクのBIM連携について
2021年3月、プロパティデータバンク(PDB)とAutodeskは、BIM連携機能の開発が完了したことを発表しました*1。PDBが提供する「@プロパティ」の機能拡充という形で実現した、このBIM連携の内容についてご紹介します。
不動産クラウド「@プロパティ」とは
PDBが提供する「@プロパティ 不動産管理クラウド」とは、多様な業種の企業、及び官公庁や自治体に対して利用を促進しているクラウドサービスです。オフィスや工場といった事業用不動産、そしてテナントビルのような投資用不動産の双方に対応しているサービスで、必要に合わせた機能提供を進めています。
公共不動産、および施設の一元管理や、修繕コスト低減などによる保全コストの適正化といった自治体向けの機能はもちろん、運用実績や物件情報の集約といったアセットマネジメントにも対応しています。@プロパティという一つのサービスを軸としながら、その活用方法は多彩そのものです。
現在、導入企業数は約280社、利用棟数は6万を超えており、非常に普及が進んでいる最新のICTサービスの一つと言えます*2。
Autodesk Revitとの連携で得られる効果
そんな@プロパティの最新機能として、今回登場したのがAutodesk社製品との連携機能です。今回追加されたのは、@プロパティ上でAutodeskの「Revit」を連携させ、クラウド経由でBIMデータを連携させられるという機能です。
従来の建物管理において問題視されてきたのが、重要な建物図面や書類と言った不動産情報が、別々に所有、あるいは利用されるという非効率な環境でした*3。別個管理されているために、これらの情報は一元的な更新も行われず、テナントの契約情報やスペースの利用情報、収益やコストは散逸されています。また、情報は書類として管理されているケースも多く、ますます更新が難しいというのが現状です。
そこで登場したのが@プロパティ、およびAutodesk社との連携です。設計時から使用されてきた図面情報を運用管理の現場においても活用が容易になったことで、資産管理に関する幅広いデータを「見える化」してくれることが期待できます。
また、テナント契約や投資計画についてのデータや点検データなども一元的に管理が可能となり、統合的な資産管理データベースとして、より運用効率の向上を高めてくれます。
広がるBIM活用の現場
不動産管理システムにBIMが活用されたことで、これまで設計から施工までで止まっていたBIMの活用領域は、さらに高まることが期待されます。BIM運用は、現場にBIM環境が存在しないことから運用が見送られることもありました。しかし不動産管理の総合Ova”である「@プロパティ」との直接連携が可能になったことで、導入企業においてスムーズなBIM運用が進められるでしょう。
BIM活用を通じた不動産管理DXが進み、維持管理業務の効率化、および投資用不動産の価値向上に大きく貢献します。
今後の建築業界においてはBIMモデルを前提としたプロジェクトも増加することが考えられます。BIMモデルを使った建物が増えれば増えるほど、このサービスの価値も向上するでしょう。
「@プロパティ」のBIM連携で期待される活用例
@プロパティのBIM連携によって、具体的にどのような運用が行われるのでしょうか。公式に公開されている活用事例を参考にしながら、その連携の効果を確認してみましょう*4。
テナント管理業務におけるBIM活用
テナント管理業務においては、テナントの賃貸契約の管理や、会計処理の効率化が期待されています。BIMの活用によって区画の管理を容易にし、面積情報の管理をスムーズに行うことで、契約の際の負担を削減し、予算・収支管理を効率化してくれます。賃貸交渉や解約時の手続きも、システムの導入で効率化が可能です。
設備機器管理業務におけるBIM活用
設備機器管理においては、点検対象となる機器の管理にBIMを活用します。点検の対象となる建物内の設備機器や、部材情報をBIMから抽出し、位置情報の登録やメンテナンス情報の更新に活躍します。点検情報は一つのシステムに集約されるため、余計な点検や補修工事によるコスト増加を回避できます。
計量メーター管理業務におけるBIM活用
変動費としてコストを大きく左右する計量メーターの管理も、BIM活用で効率化ができます。空調・水道などの利用料を計量する、各種目メーターの設定と管理をBIMと連携し、更新対象のメーターを位置情報で確認できます。エネルギー使用量のデータを毎月追いかけることにより、使いすぎや異常値の見過ごしを未然に防止できます。
工事管理業務におけるBIM活用
工事の計画及び進捗管理においても、BIMの活躍が期待できます。計画工事の検索を工事種別や年次などから詳細に行うことが可能になり、対象工事はBIMでその位置情報を正確に把握できます。工事の履歴もデータベースに保存され、検索によって詳細に確認が可能です。
エネルギー・人流等管理業務におけるBIM活用
BIMによって建物の情報をデジタルデータとして記録できるようにな慣れば、エネルギー効率や人の流れの管理も容易に行えます。その建物においてどれくらいの人の流れとエネルギー使用量があるのかを確認できることで、資産価値の正確な計測も可能になるでしょう。
おわりに
BIMは設計や施工の時に役立つ技術であるのはもちろん、その後の管理においても大いに効果を発揮するテクノロジーです。データ活用が肝となる今日において、不動産管理におけるBIM活用は、今後必須となるでしょう。
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参考:
*1 PRWire「プロパティデータバンク株式会社とオートデスク株式会社、BIM連携機能の開発を完了」
https://kyodonewsprwire.jp/release/202102251436
*2 上に同じ
*3 プロパティデータバンク株式会社「「BIM と不動産管理ソフトのクラウド連携を実現」プロパティデータバンクとオートデスクによるクラウドを利用したリアルタイム連携」
https://www.propertydbk.com/service-news/news20190801.html
*4 *1に同じ