3DCADデザイン特化のInventorでRevit向けモデルを操作する方法
Autodeskが提供する製品には、様々な種類のパッケージが存在します。中でもInventorは3DCADデザインにおいて力を発揮してきた製品で、導入している組織や事務所は少なくありません。
今回はそんなInventorを、BIM対応のRevitへどのように適応させるのかや、その運用可能性についてご紹介します。
目次:
①Inventorとは
②InventorのRevitモデル操作の方法
③InventorでRevitモデルを扱えることで可能になること
Inventorとは
Inventorは、Autodeskが提供している3DCADデザインを行うためのプロフェッショナルソフトで、機械部品の設計や図面作成、シミュレーションの実施に活躍します。
3DCADとは一言で言っても様々な種類が存在しますが、中でも力を発揮するのが製造業分野においてです。板金や配管、配線の設計や、金型の設計が行いやすいよう構築されており、2000年代から製造分野の業界を支えてきました。
CADデータの限界とBIMの登場
3DCADの技術は製造や建築など、構造物を扱う業界において重宝されてきた技術ですが、今日においてはCADではできることに限界があるとも言われるようになってきています。
CADの代わりに昨今活躍の機会を増やしているのが、BIMです。BIMはCADと同様に3Dモデリング技術の一種ですが、BIMはCADよりも多くの情報を3Dデータの中に付与できるのが特徴です。実際の部材と同様の材質データや価格を3Dオブジェクトの中にインプットができ、その寸法もオブジェクトをいじれば数値ごと修正されるため、高い汎用性を備えています。
CADでは実現できなかった、リアリティの高い3DモデリングをBIMでは行え、業務の効率化へ役立つというわけです。
InventorはCAD特化のソフトですが、適切なプロセスを歩むことで、AutodeskのBIMソフトであるRevitデータを扱えるようになります。以下では具体的なInventorのRevitモデル対応の方法についてご紹介します。
アップデートが続くInventor
Inventorもまた他のAutodesk製品と同様、定期的なアップデートが行われ、その機能を強化しています。例えばInventor2021で追加された機能として、AnyCADの活用が挙げられます*1。
AnyCADを使用して、RevitデータとInventorデータを関連づけることにより、アプリの切り替えが必要のないシームレスな運用環境が実現します。
あるいはアプリの操作性改善や、パーツ設計、アセンブリ設計、フレーム設計のパフォーマンスが向上するなど、最先端の現場で活躍する機能性の拡充が進められています。こういった性能の高さから、Inventorはまだまだ活用の余地が大きい3DCADソフトと言えます。
InventorのRevitモデル操作の方法
Inventorで作成したモデルをAutoCADやRevitで使えるようにするためには、以下のような手順が公式サイトより紹介されています*2。
順にその方法を見ていきましょう。
簡略化
簡略化は、コンポーネントや不要な要素を排除することでモデルの複雑さを低減する作業です。簡略化したアセンブリコマンドを使用して、エンベロープを作成し、コンポーネントを結合します。
BIMデータを扱う建築エンジニアは、担当の設計に関する詳細以外は必要としないため、不要なものを排除してやることが大切です。基本的な3D形状と接続フィーチャのみを残し、.RFA、.IFC、および .ADSK ファイルのサイズを最小限に抑えます。
オーサリング
オーサリングでは、接続方法と接続位置を示すコネクタオブジェクトを定義します。ケーブル、配管、ダクト、電気、パイプという5つのコネクタそれぞれにおいて、作成、編集、削除するためのコマンドが用意されています。
コネクタの追加においては、コネクタの位置、方向、形状およびサイズを指定してやる必要があります。追加したコネクタは、BIMコンテンツブラウザへと表示されます。
パブリッシュ
Inventorで作成したデータを検証し、AutoCADやRevitで運用可能な.ADSK、.IFC、または .RFA ファイルにエクスポートするためのプロセスです。エクスポートできるファイルには、ジオメトリ、2Dビュー、コネクタ、パラメータ、およびその他のプロパティが内包されています。
AutoCADやRevitなど、データを受け取る側のアプリでは、そのデータがアプリにおいてサポートされているかどうかを確認しましょう。
InventorでRevitモデルを扱えることで可能になること
InventorでRevit向けのモデルを扱えるようになることで、新たな運用の可能性を広げることにもつながります。
BIM運用を容易に実現
例えば、CADとBIMの垣根を低くさせ、両者の技術を効果的に活用する環境の実現です。CADとBIMは微妙に異なるスキルを要する技術であるため、CADオペレーターがBIMを扱えるとは限りません。
そのため、CADが主流の現場においてもBIM運用に対応させることで、円滑なモデリングを進められるようになります。自分の現場ではBIMを使わなくとも、別の工程においてBIMモデルを必要とするケースはあるものです。Inventorを使ってCADデータをBIMに変換できるようにしておけば、互換性を獲得しつつもCAD業務を維持できます。
Autodesk製品の連携を強化
また、Autodesk製品は多数のバリエーションが用意されていますが、それぞれに互換性を備えており、連携を強化することでそれぞれの強みを有効に生かせます。複数のAutodesk製品を現場で使用している場合は、それぞれの連携を強化する方法を覚えておくことで、さらなる業務効率化を実現できます。
おわりに
Inventorは優秀な3DCADソフトですが、RevitやAutoCADといったBIM環境と併用することにより、さらなるパフォーマンス向上を期待できます。
最先端のCAD環境を、BIMモデルにも応用できるよう連携の方法を覚えておきましょう。
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参考:
*1 Autodesk「Inventor の新機能」
https://www.autodesk.co.jp/products/inventor/new-features
*2 Autodesk「BIM コンテンツ環境の概要」
https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2021/JPN/Inventor-Help/files/GUID-D90D56FF-11BB-4C2C-BFF7-B426E3CCA348-htm.html