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家電ベンチャーUPQは次のAppleになれるのか

今年のAppleは新製品ラッシュで、特に電子決済SUICA対応した「Apple Pay」やワイヤレスイヤホン「AirPods」のリリースで今年も世界中を大いに沸かせてくれました。

鳴り物入りだったApple Watchは売れ行きがあまり良くはなく、賛否両論あるようですが、何にせよ多くの人々がアップルの製品発表会に毎回興奮させられているのは事実です。

 

皆さんは EMSというビジネスモデルはご存知ですか?

EMSとは、電子機器の受託生産を行うサービスのことで、それらを世界規模で請負い成長した有名な会社として、先日シャープを買収した台湾のホンハイなどがあります。

ホンハイが世界規模になるきっかけを与えたのがAppleと言われています。AppleがiPhoneをホンハイに生産を委託してるのはとても有名な話です。

(参考:Appleホームページ 2016年の進捗報告書

 

これは、逆に言うとAppleの立場からすれば、メーカーにも関わらず自社工場を持っていないことを意味します。

Appleの高収益の要因の一つはこのEMSにあると言われ、Appleは設計、デザイン、そしてマーケティングにコストと人的リソースををかければ良いのです。

 

 

ところで、女性一人の家電ベンチャー企業として最近何かと話題を集めているUPQを皆さんご存知でしょうか。

UPQとは、スマホやデジカメなどの家電製品を作っているハードウェアのベンチャーで、設立は2015年6月でありながら、創業からわずか1年で37種59製品をリリースし、大注目を浴びている企業です。

 

最近では、このような電動バイクを発表して話題となりました。

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(写真:UPQ HPよりhttp://upq.me/jp/upq_bike/me01/

この電動バイクは、折り畳めば自動車のトランク等にも収納しやすいサイズになり、交換可能なリチウムイオンバッテリーで満充電35kmまで走れます。国内の法規にあわせミラーなどを装備しており、原付免許があれば公道も走れます。

 

UPQは他にもSIMフリースマホやスマート電球、TVまで数多くの製品を販売しています。

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実はこのUPQはAppleと同様にEMSで製品開発を行っています。設計、デザイン、マーケティングなどを行い、実際の製品は生産を委託しているのです。

 

UPQが一人家電ベンチャー企業として成立しているのは、このように自社工場を持っていないためです。

ただし、その販売手法は正反対とも言えます。Appleは製品を絞り込むことによって製品の質を極限まで高めそれを大量生産を行い、メーカーとしては比類なき高収益を保っています。

一方で、UPQはどうでしょう。

UPQはその反対の多品種少量生産です。創業1年で37種59製品もリリースしているのです。

一つ一つの製品の販売台数は少なくとも、その製品を売り切ることで利益を確保し、常に違った形の新製品をリリースしていくことで、戦っているのです。

UPQの中澤社長は先日、私が参加した大学の講義にゲスト講師としてこられ、最初の製品をリリースする際に資金をどうしたのかという質問に対しこのように言っていました。

「確かに、クラウドファウンディングで資金を募り、製品を販売するという手法もあります。けど、私はそれをしませんでした。クラウドファウンディングを使うとなると、事前にこの製品を作りたいというように、製品内容をオープンにしなければなりません。それは、嫌でした。私は『UPQは次に何を作るんだろう?』というようにみんなをドキドキさせながら、新製品発表会で製品をオープンさせる瞬間を楽しみたいんです。」

このような新製品発表会を大切にする姿勢、つまりはブランド力を高めていくことはAppleと共通している部分があるのではないでしょうか。

 

実はUPQの製品は、ほとんどが他社の製品の後追い製品(合法な範囲内での模倣)なのですがそれでも、UPQが人気なのは、常に質の高い製品を作ると言うイメージ、よく言えばブランドが育っているからでしょう。

この製品を買いたい、ではなく、UPQなら買いたいというように。

 

コモディティ化が進行していると言われる家電業界で生き残っていくためには、このブランド力が大切になってきます。

UPQがこのブランド力をさらに高めていけば、次のAppleになる日も遠くはないかもと思わせてくれます。

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