BricsCADにV20が登場!Mac OS版はある?主な特徴を紹介
設計作業に欠かすことのできないCADですが、2D CADから3D CAD、またBIMなどさまざまな種類の設計ツールが登場し、たえず進化しています。IT化の波が社会全体に押し寄せ、設計エンジニアの仕事の仕方やツールの変化の速度も速くなっていくことでしょう。
設計ツールは数多く存在し、製品によって機能も使い心地もさまざまです。「勤務先で使っているツールをそのまま使うから」「忙しくて他のツールを勉強する時間がないから」と一つのツールだけを使い続けるのではなく、他のツールのこともまずは知ってみてはいかがでしょうか。
今回の記事では、AutoCADとの互換性がありさまざまな設計用途に使えるソフトウェア「BricsCAD」とはどんな製品でどういう用途に使えるのかをご紹介します。
この記事でわかることは以下の3つです。
・BricsCADとは
・BricsCADの機能ラインナップ
・BricsCADを使うには
BricsCADとは
BricsCAD(ブリックスキャド)は、ベルギーのBricsys社が開発した2D/3D/BIMの機能を備えた設計ツールです。
BricsCADは、CADの大手オートデスク社のAutoCADで作成したdwgファイルとの互換性があり扱うことができるため、ファイルを引継いで図面作成を行うことができます。ライセンスの種類ごとに利用可能な機能が異なりますが、2D/3D/BIMを一つのソフトウェアですべてを包括して使用することができることが特長です。
コストパフォーマンスに優れ、AutoCADが1ライセンスで年間200,000円以上するのに対し、こちらは1ライセンス年間44,000円~(2D CADのClassicライセンス、Bricsys社直販価格)(*1)と低価格となっています。さらに所有ライセンスであれば同じく2D CADの場合で89,700円となり、これで永続的に使えるので総コストをぐっと抑えることができます。
初心者でも使いやすいとされ、30分で使い始めることができるチュートリアルをBricsys社のホームページで公開しています。
BricsCAD自体は低価格ながらもサードパーティの公開するプラグイン機能が豊富にあり、自分のほしい機能をカスタマイズすることができます。
また、一つ前までのバージョンBricsCAD V19ではMac OSに対応していることも特長です。AutoCADは、建築設計や機械設計の業種別ツールセットはWindowsのみの対応となっていますが、BricsCADは全ての機能がMac OSでも使えるのです。ただし、2019年10月にリリースされたばかりのV20では、同年12月現在まだWindows対応のみとなっています。
BricsCADの機能紹介
BricsCAD製品ラインナップ
BricsCADの機能グレードは、その使い方、必要な機能によって種別が分かれています。使わない機能を購入しなくて済むので年間コストを下げることもでき、ユーザーが自身に適した製品を自由に選択できます。
すべての製品で、BricsCADがサポートする全言語・ロケーションが使用可能です。
2D設計なら、BricsCAD Classic
Classicでは、2D CADとして図面作成が可能です。また、3Dデータの取り込みを行って2Dで展開することが可能です。
2D CADの機能は、作図・寸法・移動やオフセットなどの基本的な図面作成機能が網羅されています。2D拘束機能、クラウドストレージ接続も可能です。
作業自動化などをプログラムできるLISP APIも搭載されています。
3Dモデリングなら、BricsCAD Pro
Proでは、Classicの機能に3Dでのモデリング機能が加わります。
ダイレクトモデリング、レンダリングやマテリアル機能が可能です。ProではLISPに加えてVBA、BRXなどの拡張ができるため、カスタマイズ可能な幅が広がります。
またProからサードパーティのアプリケーション連携による機能拡張が可能となります。
3Dアセンブリを使うなら、BricsCAD Platinum
PlatinumはProの機能にさらに3D拘束管理機能とより高度なモデリングが加わります。これによって、複雑な3Dアセンブリモデリングを行うことができます。2D拘束と3D拘束機能、構成部品間の定義づけによる編集の自動更新機能が使用できます。
BIMを使うなら、BricsCAD BIM
BIMは、Platinumの機能とBIM機能を使うことができます。
BIMモデリング、BIMプロジェクト管理が行えます。このBIM機能にはAIが搭載されており、3Dで作ったコンセプトからBIMに自動移行が行えます。
機械設計なら、BricsCAD Mechanical
機械設計を効率的に行えるMechanicalは、Platinumの機能に加えて機械設計特有の機能を使うことができます。
3Dアセンブリ機能、部品表や板金設計を扱うことができます。
2Dも3DもBIMも全てなら、BricsCAD Ultimate
そして、2D/3D/BIM/機械設計の全てを使うことができるのがUltimateです。このグレードではすべての機能を使うことができ、BIMとMechanical両方を使う場合でも2ライセンス購入する必要がないのでコストを大きく下げることができます。
無料でモデルだけ作りたいなら、BricsCAD Shape
さて、こうした高機能なBricsCADですが、無料で使える製品もあります。それがBricsCAD Shapeです。
Shapeでは、3Dモデルを直感的に作ることができます。壁や窓、家具などのパーツを配置してモデリングできます。さらに、自然の背景や人間、家具などのパーツもライブラリにデフォルト登録されています。
こうしたライブラリやモデリング機能を使って、イメージを素早く形にすることができます。また、Shapeで作成したモデルはBricsCAD BIMに引き継ぐことが可能です。
BricsCADを使うには
BricsCADは、Bricsys社のWebサイトからの購入、または販売代理店を通した購入が可能です。ライセンスも複数あるので、自身に合ったものを選ぶ必要があります。
BricsCADのライセンス形態
BricsCADのライセンスは、さまざまな利用形態に合わせて最適なものを選ぶことができます。
すべてのライセンスで、BricsCADがサポートする全言語・ロケーションが使用可能です。
以下にBricsys社が提供しているライセンス形態を紹介します。
BricsCADを所有するか、サブスクか
まずライセンス形態は大きく所有ライセンスとサブスクリプションライセンスの2種類があります。所有ライセンスは有償オプションでメンテナンスサポートをつけることができます。
サブスクリプションライセンスも、Bricsys社のWebサイトから購入する場合は1年契約・3年契約を選べます。
BricsCADを一人で使うか、みんなで使うか
使う人数によってシングルライセンス、ボリュームライセンス、ネットワークライセンスの3種類を選ぶことができます。それぞれ、一つのキーを一人で使うシングルライセンス、複数の人数で使うボリュームライセンス、ネットワークで接続されている端末で使えて共有管理できるネットワークライセンスとなります。
チームでクラウド共有するなら、Bricsys24/7
また、オプションで、Bricsys 24/7というチーム間コラボレーションツールを使うことができます。BricsCADで作成した図面ファイルをクラウドベースのプラットフォーム上に保存し、複数の人で共有できます。共有されている図面にコメントをしたり編集をしたりすることができ、更新されたファイルのバージョン管理も行うことができます。
こちらは1年ごとのサブスクリプションとなり、クラウドストレージの容量とユーザー数によってFree(1GB、20ユーザー)/Start(10GB、20ユーザー)/Team(30GB、20ユーザー)/Enterprise(ユーザー数無制限)の4つがあります。
まとめ
BricsCADは安価ながらも高機能であり、特にAutoCADと互換性が高いことからコスト削減を目的に乗り換える人もいるようです。AutoCADとは、使える編集コマンドには大きな差がなく、違和感なく操作をすることができるでしょう。
買い切りの所有ライセンスもあり、価格面でのメリットはとても大きい製品です。
なお、ここで紹介した機能やライセンス、価格は2019年12月時点でのBricsys社直販の場合のものです。日本での販売代理店では異なるライセンスや価格での販売となることがあります。例えば、代理店である図研アルファテック株式会社の提供するライセンス価格は、Classicで69000円~(*2)となっています。
(1) https://www.bricsys.com/estore/?site=ja-jp (価格は2019年12月時点のものです。)
(2) https://www.bj-soft.jp/global-image/units/upfiles/31103-1-20191021163109_b5dad5ebdd3eb9.pdf
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