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BIMで照明シミュレーションを行う意義とその方法とは?

BIM運用の可能性については様々な試行錯誤が行われていますが、その中で注目されているトピックの1つが照明シミュレーションです。

BIM運用は生産性の向上や、円滑な情報共有を目的として導入が進められていますが、照明シミュレーションをBIMで行えることにはどのような意義があるのでしょうか。

BIM運用における照明シミュレーションの現状や、各社の狙いについてご紹介していきます。

目次: ① 一定の成果が期待できるBIMの照明シミュレーション ② コイズミ照明の無償BIMデータ提供開始 ③ 照明シミュレーション向けデータの提供が一般化する可能性も

BIM対応の照明シミュレーションの登場

照明のシミュレーションは、無形ではあるものの空間の良し悪しに大いに影響する光の挙動を再現し、事前に把握する上で大きな役割を果たします。

そんな照明シミュレーションの中でも大いに活躍するソフトウェアの1つが、インテグラの「Lumicept(ルミセプト)」です。

インテグラが提供する「Lumicept(ルミセプト)」

Lumiceptは、これまで建築物や空間、自動車など、さまざまな分野において高精度な照明シミュレーションを実現してきたソフトウェアの1つです。

Lumicept公式:https://integra.jp/ja/products/lumicept

自動車のテールライトや照明器具の配光、光センサーの入光にガラスの映り込み、さらには塗料の見栄えの再現まで、活躍の幅は多様でした。

そんなLumiceptの活躍の場をさらに拡張していく可能性をもたらしたのが、建築業界向けの機能を強化した最新のバージョンです。

2020年3月に公開されたバージョン10.8では、BIM/CIMツールとの連携機能やデータの自動生成機能などが追加されています*1。

特に、GRAPHISOFTのARCHICADから取得したデータを、照明シミュレーションに必要なデータに変換し、自動で生成してくれる機能は見逃せないところです。

従来の光源情報の変換作業に比べて大幅な時間短縮、および精度の向上が期待でき、照明の検討速度にも良い影響を与えてくれることでしょう。

BIMで行う照明シミュレーションの効果

BIMで照明シミュレーションを行う一番のメリットは、やはり情報共有の高速化が実現し、結果的にコストパフォーマンスの向上につながる点が挙げられます。

BIMデータの運用が普及している理由は、設計から施工現場まで一貫したBIM運用を実現することが求められるためです。

これまでの情報共有のプロセスでは、各組織や段階において異なるフォーマットでのやり取りが常態化していたため、その都度処理作業を挟む必要がありました。

また、照明シミュレーションなどを実施する場合も専用のソフトで実行し、結果をまとめて別途伝える必要があったため、共有に時間を要していたのです。

しかしソフトを一斉に導入し、BIMでの情報共有を基本とすることで、情報の一元化を実現できます。

照明シミュレーションにおいてもBIMで行えるようになることで、作業効率は向上し、迅速な対応が行えます。

設計者から施工現場まで一元化された情報をソースとすることで、伝達ミスも最低限に抑え、意思決定も迅速になり、速やかな施工を進めていくことが可能になるのです。

無償でBIMデータの提供を始めたコイズミ照明

このようなBIM運用の機運がますますの高まりを見せる中、照明業界において早々にBIMデータの運用に積極的な姿勢を見せたのが、コイズミ照明です。

対応ソフトはRevit

2020年4月、コイズミ照明は主力製品を中心とした、BIMデータの無償提供を進めることを発表しました*2。

BIMデータをメーカー自ら無償提供に踏み切ったケースは、専業メーカーとしてはコイズミ照明が初めです。

公式にBIMデータが配布されることで、照明シミュレーションにおけるさらなる精度の向上や生産性の向上が見込まれます。

対応BIMソフトはAutodeskのRevitとなっており、国内でも人気の高いBIMソフトを採用しています。

Revitは清水建設など、大手ゼネコンが採用しているBIMソフトとなっているため、日本国内におけるBIMソフトのスタンダードとなる可能性も高いと言えます。

今後も対応アイテム数は増加

コイズミ照明は2万点を超える製品数を有していますが、現在、Revit向けBIMデータを提供しているのは、主力となる720製品に限定されています。

今後も対応製品数は増加していく予定で、2021年度をめどに数千アイテムまで追加されることとなっています。

各製品のBIMデータは、以下のURLからダウンロードすることができます。

https://www.mediapress-net.com/search/KZMBIM/index.html

リンク先には製品に関する特徴や詳細についても掲載されているので、迷うことなくデータを利用することができるでしょう。

コイズミ照明のBIMデータ提供がもたらすもの

コイズミ照明のBIMデータ提供の開始は、BIM時代の幕開けを支える取り組みであるとも言えます。

建築の生産性への貢献

照明メーカーが直接BIMデータを提供してくれることで、照明シミュレーションを実行する側としては大いに作業の省力化を進めることが可能になります。

コイズミ照明が提供するデータには、リアルな光の再現が可能なパラメータがしっかりと実装されており、内装仕上げの際にも役立つほどの再現性を備えています。

BIM導入は効率化を推進してくれる一方、導入に伴う設備投資や人材育成のコストを踏まえ、なかなか実現に至らない会社も少なくありません。

しかし、コイズミ照明のように建設関連の企業のBIM化推進の取り組みが行われることで、よりBIM導入のハードルは下がっていくことが期待できます。

BIMデータが商品カタログの役割も担う

メーカーが直接自社商品のBIMデータを提供することは、商品カタログとしての意味合いも強いと言えます。

これまではソフトが実製品を元に備えていた照明のデータを活用していたのが、照明メーカーのリアルなデータを使えるようになったことで、具体的な設計の実現が近づきます。

「この製品であればシミュレーション通りの設計が実現する」という機会が増えていくため、必然的にコイズミ照明の製品を施工の際に採用することも増えていくでしょう。

設計やシミュレーションに使っていた通りのパラメーターで実製品も動作してくれるというのは、競合他社との差別化においても大いに有効と言えそうです。

今後もBIM運用が活性化していけば、メーカーのBIMデータ無償提供は着実に進んでいき、業界のスタンダードとなることも考えられます。

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おわりに

BIM運用は多くの分野に影響を与えていますが、用途が増えればそれだけBIM対応に動く企業の数も増えていきます。

照明シミュレーションのBIM化もまた、照明メーカーのBIMデータ提供を促し、業界全体のBIM化を、一層引き立てていくこととなっていくかもしれません。

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五洋建設が進める施工管理システムへのBIM導入
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「D’s BIM」に見る大和ハウスのBIM運用の目的と手段
https://stg.capa.co.jp/archives/33426

*1 ASCIIスタートアップ「二大BIMのデータを自動変換可能な照明シミュレーション用ソフトウェア」
https://ascii.jp/elem/000/004/006/4006470/
*2 建設通信新聞Digital「【照明専業メーカー初】建設業の生産性向上に貢献へ コイズミ照明がBIMデータを無償提供」
https://www.kensetsunews.com/web-kan/446861

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