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BSIがBIM認証サービスを開始した背景とその重要性

日本でも実践的なBIMの導入が進んでいる中、制度上のサービスも少しずつの進展が見られます。

2020年より、認証企業大手のBSIジャパンはBIM認証の提供を日本企業向けに開始しました。

BIM認証はどのような意味を持つのか、認証を取得することで、どのようなメリットが受けられるのかについて、見ていきましょう。

目次: ①BSIが定めたグローバル基準のBIM認証 ②海外市場への参入には不可欠 ③BIM認証が理想的なBIM環境の基準になっていく

BSIのBIM認証サービスとは

BSIジャパン発のBIM認証サービスは、日本におけるBIM普及の実態とともに提供が開始されたサービスです。

BSIジャパン公式サイト:https://www.bsigroup.com/ja-JP/

英国発の大手企業が提供する規格

BSIはもともと20世紀初頭に立ち上げられた認証機関の一つで、イギリスに本社を置く世界有数の企業です。

英国におけるBIM運用の先進性は世界でもトップクラスで、BIMを用いた建築プロジェクトがいくつも立ち上げられてきたことはもちろん、BIM認証も浸透しています。

日本に先立ち、世界各国でBIM特化の認証審査や研修サービスが展開されていたところですが、ようやく日本にもBIM認証が上陸したといえます*1。

日本語対応やオンラインセミナーも開始

英国発というBSIのBIM認証ですが、BSIジャパンからサービスが提供されるということもあり、認証やセミナーに関しては日本語対応が進められています。

BIMの運用については建設専門の技術というイメージを持たれることも多いものですが、実際の運用に際しては、高いレベルのマネジメントが必要です。

そのため、BSIジャパンが提供しているセミナーではBIMのマネジメントに焦点を当てた紹介や、各国での運用事例、関連サービスについての講演が行われています。

BIMを管理するという視点はBIM認証を取得する上でも重要なため、BSIジャパンでは重要視されています。

セミナーは現在オンラインで実施されており、建設業界から都市開発に至るまで、BIM関係者は視聴しておきたいプログラムです。

BIM認証を取得するメリット

続いて、BSIの発行するBIM認証を取得するメリットについても見ていきましょう。

BIM普及を阻害する製品の多彩さ

そもそも、BIM普及にあたって大きな弊害となっているのが、BIMの導入が進んでいないこともさることながら、BIMソフトが数多く存在していることにもあります。
BIMソフトとは一言で言っても、サービスによって採用している規格などは異なる場合があります。

そのため、たとえプロジェクト参加組織の全てがBIMを導入していたとしても、規格の違うBIMソフトを運用していた場合、その組織のみ別途対応が必要になります。

BIMの魅力は一貫した情報共有ができることにありましたが、このような事態によってその生産性は低下してしまうのです。

共通規格の導入で生産性は向上

そこで検討したいのがBIM認証です。認証をクリアした規格であれば、その互換性に懸念を覚える必要はないので、安心してBIMを運用することができます。

規格が合わないということで生産性に影響が出ることはなく、期待した通りのコストパフォーマンスを実現してくれます。

認証を受けることによって、互いのBIM環境を把握しやすくなり、受注契約などにも良い影響をもたらしてくれます。

グローバル市場への参入を容易にしてくれる

また、BSIが発行するBIM認証はグローバルスタンダードです。海外においても通用する規格であるため、海外事業者との連携も容易になります。

この結果、日本の建設業界はますます海外市場への参入が容易になり、国際競争力を高めていくことができます。

国内市場の衰退が懸念される中、建設業界も積極的な海外市場への展開を進めつつあります。BIM認証は、その上で大きな足がかりとなってくれるはずです。

欧米におけるBIM認証事情

先進的なBIMの導入が進む欧米において、BIM認証はどのように機能しているのでしょうか。

BIMの取り組みに関する4つのレベル

まず、BIMの先進的な導入を続けてきたイギリスにおいては、BIMのレベルを4つに分けての運用を進めています*2。

レベル0が紙媒体か電子ペーパー、レベル1が2D/3DCADデータが混在している環境、レベル2が独自の3DCAD運用、レベル3が共通の3DCADデータ運用です。

現地ではレベル別の運用状況に応じてBIM認証が与えられ、それぞれの企業がどのようなBIM運用を行っているかが、一目でわかるようになっています。

BSIのBIM認証は全部で5つ存在しているので、詳細に認証から会社のBIM環境を把握することができます。

これによってコミュニケーションコストの改善も期待でき、さらに効果的なBIM運用を進めていくことにもつながるでしょう。

ヨーロッパで進展、アメリカでは足並み揃わず

そんな優れたBIM環境を持つイギリスですが、フランスやドイツといった国々に位おいてもBIMの導入は進んでいます。

ただ、BIM運用の方向性については国によって様々です。

例えばフランスにおいてはBIMの運用は英国などとは違い、民間主導で導入が進められ、公共事業への高い採用率が見受けられます*3。

また、ドイツにおいては公共事業におけるBIM導入の義務化に積極的で、20020年中にはBIM義務化が完了する予定になっています。

一方、BIMの概念発祥の地であるアメリカにおけるBIMの運用は、まだ足並みが揃っているとは言えないのが現状です。

情報共有の質においてはイギリスに劣っており、使用ツールとしての相互運用性を高めていくことが念頭に置かれています*4。

ヨーロッパとの比較から見えてくる日本の課題

こういった事例から、日本におけるBIM運用の課題も見えてくる部分があります。

例えば、建設業界に携わる企業同士の契約のあり方です。日本は独自の商習慣を国内で築き上げており、あらゆる受発注は信頼関係から成立すると言われています*5。

設計と施工が契約だけで成立している海外の建設業界とは大きく事情が異なるため、日本企業が海外へ進出していく際、この習慣が弊害になる可能性もあります。

BIM導入の合理性にきちんと注目し、積極的に利活用していくことが、グローバル市場への参入には欠かせません。

BSIのBIM認証は、海外進出に適正があるかどうかを測る上でも、大いに役立つ手続きとなりそうです。

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おわりに

BIM認証の導入によって、日本におけるBIM導入はますますメジャーなものになっていくことが期待できます。

自社のBIM運用状況を見直し、認証基準に最適化していくことも検討すべきでしょう。

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参考
*1 BUILT「“BIM認証”サービスが本格始動、最古の規格協会BSIがBIM国際動向と認証の意義を説く (1/4)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2008/26/news004.html
*2 BUILT「“BIM認証”サービスが本格始動、最古の規格協会BSIがBIM国際動向と認証の意義を説く (2/4)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2008/26/news004_2.html
*3 上に同じ
*4 上に同じ
*5 上に同じ

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