【建築業者向け】積算が苦手な人必見!BIMで始めるやさしい積算
建築作業で欠かせない積算は、必要な部材や人件費を算出する重要な工程です。しかし緻密な計算を必要とする積算はできる人が少なく、積算ミスによるトラブルも発生しています。
3次元データを活用する「BIM」(ビム)なら、工数がかかる積算も効率化できます。「積算でミスをしたくない…」「積算は時間がかかって大変…」という方は、ぜひBIMの導入をご検討ください。
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
①積算の概要
②建築業界における積算技術の貴重さ
③BIMによる積算の方法とメリット
積算の基本情報
積算とは
積算とは、建物を建設するために必要な部材や人件費といった工事費を算出する業務です。(※1)
積算は、設計図書などの図面をじっくり見ることからはじまります。建物の規模以外に、鉄骨など部材の本数や個数、重量や容積などあらゆる数字を拾い出し計算していく作業で、集中力が必要な作業です。
依頼主に提出する見積もりは、この「積算」に一番時間がかかると言っても過言ではありません。
積算の重要性
住宅やホテル・大規模なビルに至るまで、建設前にはかならず工期や見積もりを算出します。積算の結果によっては「工期が間に合わない」「想定以上に予算がかかる」など早急に対処すべき未来も見通せるので、大変重要な工程となります。
もし積算で大きな間違いがあり、「部材が足りない」「積算以上に人材が必要で、工期に間に合わない」という事があれば一大事です。だからといって、「足りないと困るから、部材を多めに見積もっておこう」と多めに積算すれば、部材が大量に残って大幅なロスとなってしまいます。
積算担当者は建物の仕様変更が発生するたびに積算のやり直し対応に追われ、常に「間違えられない」というプレッシャーと戦わなければいけません。
地道で大変な仕事
図面を読み1つ1つ計算していく積算は時間も労力必要で、気軽にできるものではありません。中には積算対応しきれないから詳細な見積もりを避ける、という建築業者もいるようです。
国内には積算専用のソフトがあるので、活用している建築関係者も多いことでしょう。しかしソフトを使った積算業務でも専門知識が必要であり、正しい積算を導き出すためにはやはり相当な労力や時間を必要とします。
特に下請け業者で積算ができる人は少ない
建設関係者はすでにご存じかと思いますが、積算は誰でもできるわけではありません。1級建築士であっても積算ができない人は珍しくないのが現状で、積算は積算事務所に外注するケースもあります。
外注自体悪いことではありませんが、見方を変えると「積算ができる人は優秀」ということになります。
たとえば土木の公共事業を請け負う場合、発注者側で積算しているケースがほとんどです。そのため、下請け業者の事務所では積算できないケースもあります。(※2)
発注者が筋の通った積算結果を提示してくれれば問題ありません。しかし、下請け業者が積算結果を見た時「人件費が少なすぎないか?」「部材が足りないのではないか?」と思ったときが大変なのです。
いくら積算基準に則って計算したといわれても、実際に現場で作業する人が「おかしい」と感じればそのプロジェクトは不安がよぎります。「工事金額を抑えすぎているのでは?」と疑いの気持ちがあれば、プロジェクトに関わる人の人間関係もうまくいきにくいでしょう。
だからこそ、下請け業者であっても積算の技術を持っておくと大きな強みになります。「積算データのこの部分がおかしい」とはっきり発注者側に説明できる知識があれば、利益の少なさに目をつぶる必要もありません。
「でも、自社で積算できる人を育てるのはコストがかかる…」という事務所にこそ、BIMの導入がおすすめです。
BIMで行う積算はメリットいっぱい
BIMなら工数の大幅カットが可能
建築業界では、Building Information Modelingの頭文字を取った「BIM」という言葉が広がり始めています。今までは2次元データがメインであったのに対し、BIMでは3次元データを活用することで建設作業を効率化しようという取り組みが始まっているのです。
建設業界では、積算に限らず部材の準備や施工、進捗管理や建物の維持など多くの工程が存在します。またそれぞれの工程で専門知識や経験が必要なので、関係者の情報の共有だけでも大変な工数になってしまいますよね。
「建設業は残業が多い…」「長時間残業や休日出勤のイメージが強く、若い人材が集まらない…」という課題を解決するために取り入れられたのが、BIMなのです。
BIMはアメリカの車産業から生まれた概念ですが、まさに“建築業界のIT化“ともいえるものです。あらゆるものをデータ化することで、積算をはじめ設計・部材調達・施工などすべての工程を効率化しようとしています。
日本では国土交通省がポータルサイトの試行版を立ち上げ、普及に取り組んでいます。(※3)
BIMによる積算の方法とは
BIMシステムを活用した積算の方法は、以下の2種類があります。
<引用ここから>1. BIMモデルから算出された数量データをそのまま利用する。
2.BIMモデルから算出された数量データを積算システムへ連携させて利用する。</引用ここまで>
引用元:BIMナビ「BIMでの積算連携はどうなるのか?」
https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html
つまり、BIMに対応したシステム上で積算を行えるケースと、BIMモデルで積算データを作り、別の積算システム上で算出する2つの方法があります。
工数削減による効率化で考えると、1のBIMモデルからそのまま積算を行う方法がもっとも手軽です。図面に変更があった場合もリアルタイムで積算データを修正できますし、整合性も維持できます。
BIMを使う前に行っていた、「体積や面積を算出して、足して…」という工程を繰り返さなくてよいので、積算にかかる工数が激減するのは容易に想像できますね。
前述の通りBIMでは2次元データがなく、いきなり3次元データからモデリングを行います。BIMシステム内で作ったモデリング情報をもとに、面積や体積をシステムが自動で算出するので、積算もスムーズにできるという算段です。
しかし注意点もあります。もちろんBIMシステムは正確に積算してくれますが、元となる3次元データに誤りがあれば整合性のある積算結果は算出できません。「元データを正確に入力する」という点は、二重チェックなどでヒューマンエラーがないよう気を付ける必要があります。
積算基準がある場合
前述の通り、作業の効率化だけならBIMシステムで積算を行ったほうが良いです。しかし、積算では「積算基準」というルールが存在するため、BIMシステムだけ算出を行うのは難しいでしょう。
「どのような理論で計算したか?」を明らかにする積算基準は、見積金額が妥当であることの証明となります。(※4)とくに公共事業では積算基準を設けているケースがほとんどですが、BIMシステムではこの積算基準まではなかなかカバーできません。
そこで有効なのが、BIMモデルで算出した積算データを積算システムで計算するという方法です。
国内でも多くリリースされている積算システムなら、積算基準を考慮した算出が可能となります。そのため、BIMシステムと積算システムを掛け合わせることで、積算の工程を効率化していくのです。
上記の場合は他システムでのデータ連携になるので、データの形式や手順などは十分検討しなくてはいけません。しかし、BIMシステムを使わずに行う場合に比べ3割ほどは効率できる見込み(※5)があり、公共事業を多く請け負う企業におすすめです。
積算ミスによるトラブルも防げる
実際に、公共事業で積算ミスによるトラブルが発生しています。積算ミスが立て続けに起きていることから、入札が終わって落札者が決定するまでの間に疑義申立期間を作る発注者が増えるほどです。(※6)
積算=計算ミスが多いというネガティブなイメージが広がり始めている今、BIMによる確度の高い積算が求められているのです。
BIMを導入すれば、図面から計算するよりもずっと工数を抑えた積算ができます。建築業界にも“BIM”というITが導入されれば、今よりもっと建築が楽しくなるのではないでしょうか。
※1:https://employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/11350/
※2:https://newspicks.com/news/2998364/
積算できる土木施工管理技士が少ないワケ
※3:http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html
※4:https://suumo.jp/yougo/s/sekisannkijyunn/
※5:https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html
2.算出された数量データを積算システムへ連携させて利用する手法
※6:https://r.nikkei.com/article/DGXMZO88174760X10C15A6000000
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