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NTT東日本・オプティム・ワールドリンクが共同で目指す国産ドローンの狙い

ドローンは今やグローバル産業となり、多くのメーカーがドローン開発に乗り出し、独自の強みを備えての提供に着手しています。そして、現在圧倒的なドローンのシェアを誇るのが、中国をはじめとする海外のドローン企業です。

海外製のドローンは導入ハードルが低く、圧倒的なシェアと実績を誇るため、今後も世界的な輸出が進むとされています。そんな中、日本国内の国産ドローン開発を進めようと動き出したのが、NTT東日本らが共同で立ち上げた新たな会社です。

今回はNTT東日本・オプティム・ワールドリンクが合同で立ち上げた新ドローン会社の事業や強みについて、ご紹介します。

目次:
①三社合同で始まった国産ドローン開発
②国産ドローン開発が抱える課題
③NTTイードローンの展望

三社合同で始まった国産ドローン開発

東日本電信電話(NTT東日本)、オプティム、そしてWorldLink & Company(ワールドリンク)は2021年1月18日、新しいドローン分野における会社「株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン)」の設立を発表しました*1。

エンルートからの事業譲渡で成立

NTTイードローンは、スカパーが有するドローン事業、エンルートからの一部譲渡を受けて始まった会社で、自社による国産ドローンの開発に重点を置きます。売上高目標は2021年度に10億円、5年後には40億円まで伸ばしたいと掲げており、今後の急速な成長が期待されています。

NTTイードローンがミッションとして掲げるのは、持続可能な社会の実現に向けたドローンの社会実装の推進です*2。人口減少に伴う働き手の不足に伴い、現状維持が難しくなったインフラや、地方での労働人口不足を補う上で、ドローンの活用を促進するのが目的です。

特に、農業へのドローン活用はNTTイードローンが注力している事業の一つです。今回新会社の設立に至った三社は、いずれも農業へのICT活用を以前から推進してきた会社です。

NTT東日本は農業×ICTを専業とする、NTTアグリテクノロジーを2019年7月に創業しており、オプティムもAI搭載のドローンを活用し、稲作におけるピンポイント農薬散布などに取り組んでいます。
ワールドリンクも「SkyLink Japan」ブランドの下、ドローン販売やパイロット養成を展開する中、スマート農業の実証実験に参加するなど、活動は活発です*3。

NTTイードローンが担う4つの事業

NTTイードローンは国産ドローンの開発もさることながら、主に4つのドローン事業の遂行を掲げています。
一つは前述の国産ドローン開発、二つ目がドローン運用支援事業、三つ目がAIやクラウドとの連携などを目指すソリューション事業、四つ目がデータ事業です。

つまり、ドローンの表面的な運用ではなく、ドローン運用を社会に根付かせるための包括的な取り組みに、NTTイードローンは参画するというわけです。日本に巨大な通信インフラを提供してきたNTTが手動する事業であるだけに、プロジェクトは大規模なものになると考えられます。

国産ドローン開発が抱える課題

このような包括的な取り組みが進むNTTイードローンですが、国産ドローンの開発と普及を円滑に進めるためには、大きな課題を乗り越えなければいけない背景もあります。

海外ドローンには単価で負ける

これまで国産ドローンがいまひとつ市場でシェアを獲得できなかったのには、圧倒的な海外製ドローンのコストパフォーマンスが存在するためです。ドローンの開発が著しい中国では、既に国内に100社以上のドローンメーカーが存在し、最大企業のJDIに至っては社員数1万3000人を超えています*4。

これだけのリソースと激しい市場競争があるからこそ、中国製のドローンは驚きのコストパフォーマンスと、高い性能を備えているというわけです。
一方の日本ではまだドローンメーカーは数えるほどしか存在せず、大きな需要もないため、世界で戦える製品は登場していません。この壁を乗り越えるため、まずは日本のドローン市場を喚起し、需要の拡大を進めるところから始める必要があるのです。

品質と安全性への期待

中国製のドローンは世界的なシェアを誇りますが、日本のメーカーに勝機がないわけではありません。まだグローバルのドローン市場が未発達なことはもちろん、何よりの勝機は一般用と産業用で異なる要求特性が存在する点と、現場に最適化されたソリューションの提供が進んでいない点にあります*5。

中国製のドローンが強みとしているのは、ホビー向けに安価で大量に生産されることによる、コストパフォーマンスです。しかしホビー向けのものを特定の産業向けに転用するためには、ある程度運用側による技術開発を必要とします。ワンステップで、実機を購入してすぐに導入できないというギャップに、国産ドローンは応えていこうというのが日本における取り組みというわけです。

NTTイードローンの展望

こういった課題と需要の存在を踏まえ、NTTイードローンは農業分野におけるドローン開発、そして手厚いサービスによる付加価値の創出を目指します。

小型軽量な汎用性

国産ドローン事業において、NTTイードローンはこれまでエンルートが開発していた4~8kgの中型機である農業用の「AC101」と、産業用の「EC101」の展開を予定しています*6。

AC101は、アームを広げた状態でも軽トラックの荷台に載せられるなど小型軽量性に優れており、女性でも持ち運びができるのが特徴です。
また、1バッテリーで最大2.5haの農薬散布が可能な省電力性能も備え、大量の導入に至っても地域のエネルギー消費を最小限に抑えられるでしょう。

手厚いサービスによる付加価値の創出

また、NTTイードローンでは単なるドローンの提供にとどまらず、それに伴う付加価値の提供にも力を入れます。5GやIoTといった新しいテクノロジーとの併用も踏まえ、どのようにドローンで地域の課題を解決できるかを考えることで、最適なドローン運用の推進を目指します。

日本の企業だからこそできる、地域に根差したドローンの普及が期待されています。

おわりに

ドローンやテクノロジーの開発に注力する三社が集って誕生したNTTイードローンは、国産ドローンの普及のみならず、日本にドローン運用の文化を根付かせる上でも重要な役割を果たします。

今後の活躍次第で、さらなるドローン市場が日本に創出され、新しいテクノロジーの開発にも刺激を与えるかもしれません。

 

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参考:
*1 MONOist「NTT東日本など3社が国産ドローンの新会社を設立、まずは農業分野にフォーカス」
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2101/19/news054.html
*2 上に同じ
*3 上に同じ
*4 日経クロステック「成長分野の産業ドローン、品質で国産に勝ち筋」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01267/00045/
*5 上に同じ
*6 MONOist「NTT東日本など3社が国産ドローンの新会社を設立、まずは農業分野にフォーカス(2/2)」
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2101/19/news054_2.html

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