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AppleのSafariでトラッキング防止機能を設定し行動追跡をブロックしよう

 ちょっと気になる家電製品をAmazonでチェックしていたら。。。その後しばらくの間、あちらこちらのサイトで同じ種類の家電の広告が表示される。そんな経験をしたことはありませんか?
 これは自分のネット上での行動が、トラッカーという仕組みを使って追跡されていることが原因です。
 このような行動履歴の追跡について、Appleは厳格な取り扱いルールを定めて順次強化しています。今回の記事ではこのトラッキングの話題について、少し深掘りしていきましょう。

この記事でわかること
 ・Safariでトラッキング防止を設定する方法について
 ・トラッキングの仕組みに関わるCookieについて
 ・Appleが推進するプライバシー保護の取り組みについて

Safariでトラッキング防止を設定する方法

 SafariはAppleが提供するブラウザであり、iPhoneやiPadに標準で搭載されています。
 日本はiPhoneユーザーが他国に比べても多いため、スマホ利用に限って言うとSafariはシェアトップのブラウザということになります。

 本稿ではまず初めに、Safariでのトラッキング防止の設定方法について説明します。
 ただし、注意したい点がいくつかあります。確かにあまり気持ちの良いものではない、「トラッキング」ですが、実は便利な点もあり一概にガードすれば良いというものでもありません。
 設定方法の後に、トラッキングの仕組みや目的、便利な側面についても解説していきますので本稿を最後まで読んでいただき、ご自身で判断してください。

iPhoneのSafariでトラッキングを防止する設定

 iPhoneの標準ブラウザSafari(方位磁針のアイコン)で、トラッキングの防止の設定は次の手順でおこないます。

■トラッキング防止設定(iPhoneのSafari)
 ① ホーム画面の「設定(歯車のアイコン)」をタップ、標準アプリの中から「Safari」をタップ
 ② 下方向にスクロールし「プライバシーとセキュリティ」カテゴリーから、「サイト越えトラッキングを防ぐ」をオン(右にスライド)

 
 たったこれだけの設定でトラッキングを防止できます。
 また、「プライバシーとセキュリティ」カテゴリーには、全部で5個の設定項目があります。特に理由がなければ「すべてのCookieをブロック」をOFFにし、他の4つはONにしておくと良いでしょう。
 これでSafariを使う限り、煩わしく繰り返し表示されるネット広告は減り、プライバシーの保護も十分に達成することができます。

MacのSafariでトラッキングを防止する設定

■トラッキング防止設定(MacのSafari)
 ① MacにてSafariを起動し、メニューから「Safari」をクリック、プルダウンの「環境設定…」を選択
 ② 「プライバシー」を選択し、「Webサイトによるトラッキングを防止」にチェック
*注1

 たったこれだけの設定ですので、とても簡単です。
 MacのSafariの設定ウィンドウにも4項目が表示されていますが、「すべてのCookieをブロック」だけチェックを外し、残りはONにしておくと良いでしょう。

 日本国内におけるiPhoneユーザーは、調査機関によっても異なりますがおおよそ6割と言われています。
 iPhoneでSafariを標準ブラウザとして利用している人が多いと仮定すると、スマホユーザーの約半数は上記の「iPhoneのSafariでの設定方法」で対応が可能でしょう。

トラッキングの仕組みに関わるCookieとは何か?

 ここで、トラッキングに使われる技術について少しだけ触れておきましょう。トラッキングの仕組みや、利用される場面を理解しておくことで、必要以上に神経質にならず適切なインターネットサービスとの付き合い方ができます。
 実はガチガチにプライバシー情報へのアクセスを制限することが、正しいとは限りません。

Cookieの仕組みと広告への利用

 トラッキングに利用されているのは、「Cookie」という技術です。
 「Cookie」とは、サイトへの訪問記録などの情報を、ユーザが利用している端末にファイルとして書き込む仕組みのことを言います。
 このCookieファイルを参照して、ユーザがインターネットでどんなサイトを何回訪問したのかなどの行動履歴を確認することが可能となります。

 Cookieを利用して広告業者は、「このサイトを閲覧した人なら、この商品を欲しがっているに違いない」と判断しユーザが見ているページに、該当する広告を表示していると言う訳です。
 不特定多数へ向けた広告よりも、このようにターゲットを絞り込んで打つ広告の方が効果を期待できることから、インターネットの普及に伴い急速に拡大している手法です。

 このような個人の行動履歴を大規模に収集する業者や、情報を買い取って利用しやすい形にまとめ広告会社に販売する企業、さらには広告代理店などがCookieの仕組みを活用してビジネスをおこなっています。

 例えばGoogleやFacebookは、世界中のユーザーの行動履歴を収集し販売することで、収益を上げている代表的な企業です。
 言い方を変えると、GoogleやFacebookが世界最大級のIT企業として成長したのは、大量の行動履歴を収集することができるビジネスモデルを確立したことが大きな理由と言えます。

 このように考えると、個人としてはあまり気持ちの良いものではありません。勝手に人の端末に行動履歴などの情報を書き込み、それを覗かれているということになるからです。
 では、すべてのCookieをブロックしてしまえば良いのでしょうか?実は、Cookieを全てブロックすることも可能ですが、ブロックすることで著しくインターネット利用の快適さや便利さが損なわれてしまいます。

インターネットサービスを便利にしたCookie

  インターネットは誰もが利用できる一般公衆回線を使って、データのやり取りをおこなっています。
 例えばあなたが、とあるネットショップを訪問して気に入った商品をショッピングカートに入れたままの状態で、サイトから離脱したとしましょう。後日、そのサイトを訪問した際に、カートの中には先日の商品がそのまま残っていることを確認できるはずです。

 これはCookieがあなたの行動履歴の情報を保持し、再度サイトを訪問した時に行動履歴を参照することで、カートに過去の情報を表示することができるからです。
 すべてのCookie利用をブロックしてしまうと、このようなネットショップでの買い物など、いろいろなインターネットサービスで支障が出てしまいます。
 実はもともとCookieは、インターネットサービスの利用において、利便性を持たせるために開発されたものです。
 しかし、個人の行動履歴情報を記録することができるという特性から、マーケティング目的として利用されるようになったという経緯があります。

 ユーザにとって利便性は犠牲にしたくない、しかしインターネットでの行動履歴を誰ともわからない業者に勝手に利用されるのは気持ち悪い、という状態になっている訳です。

Cookieで広告に利用されるのは「3rd Party Cookie」

 Cookieは、「1st Party Cookie」と「3rd Party Cookie」と呼ばれる2種類に分類されます。
 ユーザが訪問した先のサイト(ドメイン)から発行されるのが「1st Party Cookie」と呼ばれ、主にユーザー認証などに利用されます。

 広告などに使われているCookieは「3rd Party Cookie」と呼ばれており、こちらは訪問したサイトではなく、広告を出している業者(ドメイン)から発行されます。ユーザが全く意識してない第三者から、勝手に自分の端末に行動履歴が記録され、利用されていると言うものです。
 「1st Party Cookie」はユーザーにとっても必要であり便利なものですが、「3rd Party Cookie」は、どちらかというと業者にとってメリットがあるものです。*注2

 「3rd Party Cookie」を使って表示される広告には、嫌悪感を感じる人も多いかも知れません。しかし考え方によっては、それほど悪いものでもありません。
 前述した例のように、何か家電を新調しようと思って検索した時に、類似の商品をレコメンドしてくれるため探す手間が省ける。このような考え方もあります。
 無数の情報があるインターネットの中から、ユーザの希望に合致するような商品をピックアップしてくれるため、興味があればクリックしてそのサイトに行くことができますし、興味がなければ無視しておけば良いだけです。

 上記のトラッキング防止設定で説明した「Webサイトによるトラッキングを防止」の設定が、この「3rd Party Cookie」を使用しないということに該当します。
 同じ設定項目にある「すべてのCookieをブロック」をONに設定すると、1st party Cookieまで使えなくなってしまいます。そうすると便利な機能が使えなくなる可能性があるため、よほど理由がない限りこの項目だけはチェックを外しておくと良いでしょう。

Appleが推進するプライバシー保護の取り組み

 GoogleやFacebookは、サービス利用者のインターネット上での行動履歴を大規模に収集することで収益を上げるビジネスモデルが基本になっています。
 試しにパソコンを使い、WebサイトをSafariで表示した際、検索窓の左側にある「プライバシーレポート」アイコン(盾の形のアイコン)をクリックしてみると、ブロックされたトラッカーが一覧で表示されます。

 ブロックされたトラッカーの中には、GoogleやYahoo、Amazon、Facebookなど、皆さんがよく知っている企業が仕込んだトラッカーが見つかるはずです。サイトの訪問者であるユーザには全く明示されることなく、このような企業から行動履歴を収集されていることになります。

 一方Appleは、iPhoneやiPadなどの製品販売で収益を上げている企業です。前述した企業とは異なり、顧客の行動履歴を売買して収益を上げているわけではありません。
 同じGAFAといっても、ベースとなるビジネスモデルが根本から異なります。このことから、プライバシー保護に積極的に取り組んでいることで知られています。

度重なるバージョンアップで厳格性を増すITP

 AppleはCookieの利用について、「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」をSafariに設定し、個人情報漏えい防止対策を進めています。
 主な内容は3rd Party Cookie使用の制限ですが、このようなAppleの対策に対して抜け道を使って対応する業者が出てきたことから、年々強化されています。最新のバージョンでは1st Party Cookieについても、一定の制約が課されるようになりました。
 ユーザーはSafariを利用する限り、このITPに準拠した形でインターネットを閲覧することができるため、他のブラウザと比べて安心して利用できるというのがAppleの主張です。
 実はGoogleも批判の多い3rd Party Cookieについては、廃止の方向でAppleに同調しています。今後はCookieを使わない他の方法で、マーケティングを行うようになっていくと思われます*注3

 Appleは最近、「ATT(Apple Tracking Transeparency)」を開発者に義務付ける、新しいルールを設定しました。
 ATTには、アプリが収集する個人情報の内容を明記することを定め、さらにアプリのインストール時点などいくつかのタイミングで、アプリにトラッキングを許可するかどうかの判断をユーザーに求める機能などが含まれています。

 Appleによるとトラッキング自体が悪いのではなく、トラッキングを暗黙の状態でユーザーに強いることに問題があるとしています。
 個人情報において、何が収集されどのように使われているかをユーザーが認知することが必要であり、その上で収集を許可するかどうかをユーザーが決定できることが重要だと主張しています。*注4

 インターネットや携帯端末の普及によって、私たちはこれまでにない便利なサービスを享受できるようになりました。しかし便利さと同時に、知らないうちに行動履歴が収集され、それに基づいて自分が望んでいない情報を強制的に見させられているのかもしれません。
 複雑で高度なインターネット上での技術全てに精通する必要はありませんが、Cookieなどの簡単な技術については、ある程度把握し理解した上で、安全・安心なインターネットを利用したいものです。

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■参考文献
注1
Yahoo! Japan「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をオフにする」
https://support.yahoo-net.jp/SccYjcommon/s/article/H000012099
Apple 「MacのSafariでサイト越えトラッキングを防ぐ」
https://support.apple.com/ja-jp/guide/safari/sfri40732/mac
「プライバシー」
https://www.apple.com/jp/privacy/features/
https://www.apple.com/jp/privacy/
https://www.apple.com/jp/privacy/control/
注2
TCD WordPress Theme 「初心者向け】クッキーとキャッシュ。それぞれの違い、役割とは」
https://tcd-theme.com/2019/07/cookie-cache.html
注3
The Wall Street Journal 「グーグル、クッキー廃止計画を2023年に延期」
https://jp.wsj.com/articles/google-delays-cookie-removal-to-late-2023-11624550045
注4
GIZMODO 「アップルのトラッキング防止機能はユーザーが「選択」できる新しいもの」
https://www.gizmodo.jp/2021/06/apple-aims-to-enhance-privacy.html
ソース MacRumors “Analytics Suggest 96% of Users Leave App Tracking Disabled in iOS 14.5”
https://www.macrumors.com/2021/05/07/most-iphone-users-app-tracking-opt-out/

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