スマートフォンにおいて、webとアプリ、どちらが顧客をつかむのに有利か?
日経新聞の報道に、面白い記事があった。モルガン・スタンレーの発表によれば、スマートフォンにおいて、モバイルよりもwebのトラフィックの量が多いということだ。
モバイルブラウザーのトラフィック量は実はアプリの2倍であると、米金融大手モルガン・スタンレーがリポートで発表した。同社はこのリポートで、米グーグルの株式を「買い推奨」に格付けしている。この指摘は、モバイル端末では(ウェブに比べて)アプリが優位に立ちつつあり、モバイル端末の利用時間の80~90%をアプリが占めているという最近何度も指摘されている状況に逆行しているようだ。
(日本経済新聞)
このレポートが興味深いのは、「アプリ優勢」と言われるスマートフォンからのアクセスが、実は「web」のほうがアクセスが多かったという点だ。
この矛盾しているように見える事態がどうして生み出されたのか、ということに関して、この記事は「実は矛盾していない」という。
どういうことなのだろうか。
結論から言えば、「webでまずアクセスし、深くファンになるとアプリを使い出す」という行動特性を示していると考えられる。
アプリのインストールは面倒くさい。ストアまで行き、ダウンロードし、そしてアプリをタップして、初期設定し…と、目的のものにたどり着くまでのスピードが遅いのだ。
したがって、最初からアプリを使う人は少ない。まずは気軽にwebでアクセスし、そこでいくつかのサービスを使ってみる。あるいはブログを読んだり、サイトを巡回したりする。
そうやってサイトのファンになっていくと、あるとき「アプリ」の存在を知り、ダウンロードして使ってみる。すると使い勝手はwebよりも良い。こうして以後はほとんどのアクセスをアプリから行い、好きなサービスであればあるほど、アプリを使う…というわけである。
したがって、新規顧客をつかむ方策として、アプリは不向きである。まずはwebを充実させ、一定数のファンを獲得する。そして、彼らの満足度やユーザービリティの向上のためにアプリを提供し、濃いファンとなってもらう。
ちょっとしたデータの中にも、いろいろと顧客獲得のヒントがあるものだ。