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キリンの脱価格競争戦略「サブスクリプション制ビール」大人気の理由

キリンビール株式会社で提供しているサブスクリプション制ビールを通し、キリンの脱価格競争戦略や大人気になっているサブスクリプションの理由を紹介します。

これまでは価格で勝負する方法が一般的だった業界において、サブスクリプションを導入することで新たな顧客を獲得する方法が具体例と共に分かりますので、是非ご一読ください。

この記事では以下の3つのことがわかります。
キリンのサブスクリプション制ビール「ホームタップ/CLUB BTG」
キリンのサブスクリプション制が大人気な理由とは?
脱価格競争を実現するキリンのサブスクリプションとは?

キリンのサブスクリプション制ビール「ホームタップ/CLUB BTG」

キリンビール株式会社は、作りたての新鮮なビールが自宅で飲める「KIRIN HOME TAP(キリンホームタップ)」を2017年より全国で開始しています。また、キリンの傘下企業であるスプリングバレーブルワリー(SVB)では、2019年6月17日より「月額2,496円で平日1日1杯」のビールが飲めるサブスクリプション制サービスも開始されました。キリンの脱価格競争戦略について見ていく前に、まずは、キリンのサブスクリプション制ビールについて紹介します。

「KIRIN HOME TAP(キリンホームタップ)」

参考動画:https://youtu.be/XnSFW_9vYOY

KIRIN HOME TAP(キリンホームタップ)は、ビールサーバーをサブスクリプション制でレンタルし、契約先に届く1L容器のビールをセットすることで、新鮮なビールがいつでも自分で注げるサービスです。料金は月額2,900円(税別)の基本料金となっており、その他に月4本コース4,600円(税別)と8本コース8,400円(税別)を選択して契約します。どちらのコースもビールが届く回数は月2回ですが、飲みきった場合は追加注文も受け付けています。

2017年に開始した当初は申し込みが殺到しましたが、ビールサーバーの改良のために2018年度の申し込みを中止し、2019年の1月に再開したという経緯があるサービスです。現在の新規申し込みは順番待ちの状況で、2018年の中止期間中においても、再開のお知らせメールを受取るための登録には1万5000人もの応募が出ました。

「CLUB BTG」

CLUB BTGは、2019年6月17日に東京・銀座にある店舗「BEER TO GO by SPRING VALLEY BREWERY」(BTG)にて開始されたサブスクリプション制のサービスです。キリンの傘下企業であるクラフトビールの醸造所兼、デリスタンドのスプリングバレーブルワリー株式会社(SVB)が提供しています。月額2,496円(税込)の会員になると、通常は500~700円する最大17種類のクラフトビールを好きに選んで、平日1日1杯飲めるようになります。

現在は東京・銀座のデリスタンド1店舗のみの提供となっていますが、クラフトブルワリー初のサブスクリプション制サービスということから注目を集めています。会員は月5回程度の利用があれば十分に元が取れる月額料金です。申し込みはWeb上の専用ページから行い、登録後はスマホなどに表示した会員券ページを店頭にて表示することで、クラフトビールを求める仕組です。

キリンのサブスクリプション制が大人気な理由とは?

キリンはサブスクリプション制をビールに導入することで、小売販売では実現しにくい鮮度管理の問題や価格を安価にすることに成功しています。

例えば、自宅で消費するビールには、「専用店舗でしか飲めない作り立てのクラフトビールを自宅で飲みたい」という消費者の希望がすでに存在していました。ですが、通常の小売販売ではビールの鮮度を保つことが難しく、既存の商品に落ち着いています。クラフトビールを販売するにしても「限定数量」の小売販売が一般的です。ですが、キリンはサブスクリプション制で、提供する商品の量を事前に知ることができた結果、鮮度を保ったクラフトビールの提供に成功しています。

キリンのホームタップは、はじめ40~50代の消費者をターゲットとして開始されました。ですが実際に開始してみると、外に出られない主婦などの申し込みも多く、想定以上の申し込みが殺到する結果となりました。価格は安価ではありませんが、「高くても大満足」「絶対にやめないでくれ」というアンケートの回答もあるようです。

また、飲食店のクラフトビールはサブスクリプション制を導入することで、月5回の利用で元が取れる仕組を作り出しました。似たようなサービスにコーヒーのサブスクリプションがありますが、そのサービスは会員一人につき月間平均/22回の来店が記録されています。CLUB BTGにおいても、サブスクリプション制で約20%ほどの売上げ向上を目指しています。毎日ビールが飲める契約をしたら、通いたくなるのが当たり前ですよね。

脱価格競争を実現するキリンのサブスクリプションとは?

キリンが実現した脱価格競争戦略とは、サブスクリプション制を利用して新たな消費を獲得する方法です。レンタルビールサーバーのホームタップでは、缶・ビン・生ビールとは違うニーズを作りだしました。

新たな商品をサブスクリプション制によって実現することで、これまでになかったビールの消費環境を作り出す狙いがキリンにはあります。リラックスした環境で毎日飲める新鮮でうまいビールは非常に魅力的です。価格以上の価値をサブスクリプションによって生み出しています。また、既存の製品も販売しているキリンは、リーズナブルな小売販売の商品と高くてうまいサブスクリプション制のビールを分けることで、どちらの事業にも摩擦を生まないようターゲットを区別しています。

一方、飲食店のサブスクリプションでは、安価な商品を提供しリピート回数を増やす目的だけでサブスクリプションを利用しているわけではありません。ビールを飲めばおつまみもほしくなりますので、サイドメニューの売上げにも貢献します。さらに、Web上のシステムを利用すれば、各顧客の情報、顧客単価、来店回数、好むメニューの傾向なども収集できます。顧客のニーズにあった商品開発や特典、イベントなどのアイディアの元になるデータが収集できるメリットも存在しているのです。

Web環境が発達している先進国では、メーカーが消費者に直接販売するDtoCのビジネスが急増しています。それに伴い、これまでにはなかったサブスクリプション制のサービスもどんどん充実してきました。

サブスクリプションは顧客を囲い込み、売上げの安定化・提供コストの削減を実現する働きがあります。ですが、それだけではありません。今まではできなかったアイディアやサービスを実現するツールになる可能性を秘めたビジネスモデルです。

まとめ

キリンビール株式会社の脱価格競争戦略「サブスクリプション制ビール」について紹介しました。

Webに容易にアクセスできる国では、今回紹介したような大人気のサブスクリプション制サービスが次々生まれてきています。例えば、最低1ドルで定期的にカミソリが届く「Dollar Shave Club」、高級バックのレンタル「ラクサス」など、これまでは力を持った企業に対抗できなかった企業の活躍も目立ちます。

日本においても今回のようにサブスクリプションを導入する企業に注目が集まっており、大企業の戦略としても非常に有効的な方法です。また、競争力を持っていなかった分野でもアイディアがあれば、チャンスが十分ある時代がすでに来ているのではないでしょうか?

 

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