5分で分かる!BIMのCADソフト「Revit」とは
最近、BIMという言葉をよく聞くようになりました。BIMは2次元CADに変わって建築設計の基本的なツールになろうとしているので、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。そこで、BIMとは何なのか?BIMでおすすめのソフトが何なのかを紹介していきたいと思います。
この記事では以下の3つのことがわかります。
①・・・・BIMの概要
②・・・・BIMソフト代表格「Revit」とは?
③・・・・「Revit」と「ArchiCAD」との違いとは?
BIMとは?
最初にBIMについてご紹介させていただきます。
BIM – Wikipedia
BIM(ビム)ことBuilding Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)は、建物のライフサイクルにおいてそのデータを構築管理するための工程である。
これまで建築設計の現場では2次元の図面をCADで作成していましたが、BIMを用いた設計では、3次元のモデル(模型)をコンピューター上で作成しながら設計を進めます。そして、その3次元のモデルに色々な情報を落とし込むことで、設計工程のみならず、施工・管理にいたるまで、建築のライフサイクルの全てにおいて情報を共有しようとする試みがBIMの目指している形です。
設計で役立つBIM
まず、設計段階では、3次元で設計を行うことで、施主へのプレゼンテーションが非常に容易になります。2次元の図面では、提案を行っても施主に上手く伝わっていないことも多いです。設計工程終盤のパースを作成した後になってから、大幅な修正依頼を受けることも少なくありません。しかし、BIMを用いた設計では、3次元のBIMモデルが常に存在しているので、設計工程のどの段階であっても、モデルを基にしたパースを自動で作成し提出することが可能です。設計プロセスの早い段階で施主との建物イメージの共有を計れる為、後戻りが非常に少なくなります。
また、BIMを用いることで、設計者自身も、建物の認識が深まりやすくなり、2次元の図面では見落としがちな「干渉」の問題も着工前に未然に解決することができます。例えば、「2次元の図面で納まっているように見えた配管が、3次元で考えると、梁と干渉していた」という問題は3次元のBIMモデルを見れば一目瞭然ですから、事前に対処することが可能です。
BIMを用いることで積算の作業も大幅に軽減されます。2次元の図面であれば、数量を拾う必要必用がありますが、BIMを使用すれば、数量は自動で計算されます。ですから、単価を入力するだけで、即座に工事費を算出することが可能です。2次元の図面を用いた設計の世界では、VE(バリューエンジニアリング)によって度々設計変更を強いられますが、BIMを使用すると、常に予算にあった設計提案を行うことができます。
施工で役立つBIM
施工現場でもBIMが役立ちます。設計のメリットとの重複になりますが、BIMは3次元で建物を確認することができるため、関係者への意思疎通をスムーズに行うことが可能です。例えば、仮囲いや足場、重機の位置をアニメーション化することで、BIMモデルを見ながら作業員の手順を事前に確認できます。そのため、図面が読めない人に対する説明も容易になります。
また、設計段階で干渉の問題がクリアになっているため、工事に入ってからの設計者との打ち合わせの機会を減少させることも可能です。設計者に設計変更をお願いする必要も無いので工事が止まる心配も無くなります。
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管理で役立つBIM
建物管理の現場でもBIMが大活躍します。設計の段階で、BIMモデルの「柱」や「梁」といった部材に製造元の名称や連絡先といった情報を入れておくことで、緊急時にすぐに情報を取り出すことが可能です。また、補修した箇所の写真をBIMデータと紐付けることで、補修履歴をすぐに確認することもできます。
BIMは設計・施工・管理という建物のライフサイクル全てにおいて、今までよりも効率的な業務を可能にしてくれるのです。
BIMソフト代表格の「Revit」とは?
BIMの概要の説明が終わったところで、BIMソフト「Revit」の紹介に移りたいと思います。
「Revit」はBIMソフトの代表格として世界中で高いシェアシャアを誇っているAutodesk社制のソフトです。Autodesk社制の2次元・3次元の作図ソフトには「AutoCAD」がありますが、「Revit」はAutodesk社制ソフトのBIM版という位置づけになります。
Revitには意匠・構造・設備設計を通して専門的なツールが揃っており、一つのソフトではじめから終わりまで作業できます。また、データをクラウドに保存できるため、様々な分野の設計者で同じモデルを共有しながら、別々に作業が可能です。
Revitは設計から施工・管理まで一つのモデルが利用できる
Revitは意匠設計者だけに役立つものではありません。構造や設備の設計者もRevitを使用して設計を行うことが可能です。今までは、意匠設計者が作成した図面に基づいて構造や設備の設計者が別のソフトで設計を行うことが通常だったのではないでしょうか。意匠設計は変更が多く、その度に構造と設備を修正する必要がありました。そして、構造・設備が修正しきれずに、意匠と構造や設備に相違があることが多々あったかと思います。しかし、Revitを意匠・構造・設備の設計者が共有して使用し、1つのBIMモデルに手を加える形で設計を進めることで、お互いの相違を無くすことが可能になります。
また、施工業者との意思疎通も図面だけではなく3Dモデルを通じて視覚的にわかりやすくなりますし、Revitや周辺ソフトを使用することで建物の管理や解析も容易に行うことが可能です。例えば、建物が周囲に及ぼす風の影響や、建物内部の空調の温度分布・照度分布も容易に分析することができるので、建物規模にあった設備の検討が可能です。もちろん建築後の補修に関するデータなども一つのBIMモデルで管理できます。
Revitではワークシェアリングを使って別々に作業ができる
Revitでは、プロジェクトに関係する企業で共通する一つのマスタープロジェクトモデルから、各設計の専門家ごとにローカルコピーを作成して、元のデータと同期できるワークシェアリングが可能です。具体的には、同じBIMモデルに複数人が同時にアクセスして、変更や修正を加えられる機能があります。
ワークシェアリングは、各設計者が作業できる範囲をワークセットという形で指定することもできますし、元のデータに加えた変更を許可できる管理者も決められるため、同じ箇所を作業していたとしても安心して利用できます。
マスタープロジェクトモデルをクラウド上に保存すれば、異なる場所のオフィス同士でも連携できますし、変更が加えられた時点ですべてのユーザーが変更箇所を確認することも可能です。もちろん、社内LAN環境などの限られた範囲でも同様のことができます。リアルタイムのチャット機能もあるため意思の疎通も簡単です。
Autodesk社制ソフトとの連携が便利!
Revitは、都市設計などの広範囲で利用できるCIMソフトの「CIVIL 3D」や「INFRAWORKS」から、2次元作図ソフトの「AutoCAD」まで、様々なAutodesk社の他製品と連携できます。
建築土木分野に革命を起こすものとして近年注目を浴びているのは、BIMだけではありません。CIM(シム)ことConstruction Information Modeling(コンストラクション インフォメーション モデリング)という関連する言葉もよく聞くのではないでしょうか。CIMとは、建設情報モデル化のことであり、 建築分野で用いられているBIMを土木建設分野に適用した表現です。
Revitを単体で導入することもできますが、Autodesk社では、インフラ設計から建物の設計・施工・管理に関わるソフトをまとめて、安価な価格で提供しているAEC COLLECTIONというサービスもあります。
建築設計の基本的なツールにBIMを導入しようと検討しているのであれば、他ソフトとの連携も気になりますよね。BIMのCADソフトにRevitを採用すれば、業界をリードしているAutodesk社制の他ソフトとの連携も容易です。この先、取引先がAutodesk社の関連ソフトを導入したとしても、自社でRevitを使っていれば安心できます。
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Revit体験レポート
それでは実際に、「Revit」がどういったものなのか体験版で紹介してみたいと思います。
Revitの体験版はAutodesk社のサイトで提供されており、サイトにログインして氏名、会社名、住所、電話番号、メールアドレス、購入予定の有無などを入力することでダウンロードできます。無償体験の期間は30日間です。
ソフトをダウンロードした後にインストールすると下記の画面が起動します。
設定をデフォルト選択のまま進めると、完了画面が表示されます。
Revit起動後の最初の画面です。
上記画像の濃いグレーで囲まれたボックスの下にある、「スタートアップ ガイド ビデオ」を選択した先です。
「スタートアップ ガイド ビデオ」通りにRevitを操作開始して、平面図、立面図、3Dビューを表示します。
その後、赤丸で囲んだドアを変更すると、、
ドアの変更が3Dモデルを含めたすべての図に適用されました。
上記のように、Revitの体験版インストールからスタートアップガイド、部品の変更と操作をしてみました。
触ってみるとすぐにわかりますが、非常に使いやすく、直感的に操作できるため、はじめて使う方でもすぐに慣れることができるはずです。
Revitの導入方法と価格
Revitは、Autodesk社のサイトから直接購入できます。購入方法としては、1ヶ月間、1年間、3年間の期間別に料金を支払う形です。購入すれば常に最新のRevitがインストールされます。また、通常版のRevitの他にも、共同作業機能(ワークセット機能)など一部の機能を制限した安価版の「Revit LT」も同様の購入方法で利用できます。
購入価格は以下のとおりです。
Revit® サブスクライブ(購入)価格 | ||
1ヵ月 | 1年間 | 3年間 |
47,520円 | 381,240円 | 1,029,240円 |
Revit LT® サブスクライブ(購入)価格 | ||
1ヵ月 | 1年間 | 3年間 |
9,720円 | 75,600円 | 204,120円 |
また、RevitとRevit LTの機能の違いはこちらのサイトから確認できます。複数人で作業するような大きなプロジェクトでは、共同作業ができるRevitでないと不便な場面が多くなります。ですが、「パースをいつでも作成できるようにしたい」など、意匠設計で利用する場合などでは、Revit LTでも問題なく利用できる作業もあります。
Revitの導入を検討している方は、まずは無償期間でRevitを利用してみて、その間に安価版の製品と何が違うのかについても確認しておくことがおすすめです。
「Revit」と「ArchiCAD」は何が違うのか?
BIMを導入する際に一番悩まれるのが、「Revit」と「ArchiCAD」のどちらを導入すべきか?ということではないでしょうか。日本のBIMソフトの中ではこの2つのソフトがシェアを二分している為、この2つの製品を比較検討される方は多いと思います。
基本的に、このどちらを使用しても互換性があるので、大きな失敗はしないと思いますが、これまで「AutoCAD」を使用してきた方には「Revit」がおすすめです。使用感が近いので導入に際してストレスが圧倒的に少ないと言えます。また、「Revit」には、世界的にシェアが高いというメリットがあります。ほぼ絶対に無くならないという確信が持てるので初めて導入される方の安心感に繋がるのではないでしょうか。
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Revitはカスタマイズ方法も豊富で便利
Revitを含めたAutodesk社のソフトには、様々な拡張機能が用意されており、中にはAutodesk社以外のソフトウェア開発者が提供しているプラグインやアドオンなども存在します。
Revitのカスタマイズは、Revit APIを利用して繰り返し作業を自動化するマクロや外部のアプリケーションを組み込むことができます。例えば、構造部分にドアを配置する際に、自社で使っている作業手順や付属資材の設置を自動で行うように改造することなども可能です。Revitを自社にあった形にカスタマイズすれば、繰り返し行う作業の時間を大幅に削減できます。
ただし、Revitのカスタマイズを自社に最適な形に開発するには、VB.NET、C#、C ++ / CLIなどの.NET対応言語プログラミングの知識やある程度のRevitのノウハウが必要です。Revitを使っている環境ごとで最適なカスタマイズ方法は異なりますので、企業やプロジェクトごとにあったカスタマイズには知識が必要です。
今後もBIMはどんどん注目されていくと予想されます。
これを機会に、Revitを始めてみてはいかがでしょうか。
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追記:2019/7/22アップデート
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