「BLE」(Bluetooth Low Energy)とBluetoothの違いとは
様々な電子機器、特にパソコン周辺機器やヘッドセットなどでよく使われている無線通信技術にBluetoothというものがあります。最近では、IoT分野や医療・健康などの分野で注目が高まっていますが、特にBluetooth Low Energy(BLE)という新しい規格が出来てからは、ビジネスチャンスの拡大を狙って、ますます注目されています。この新規格のBLEと今までのBluetooth(クラシックBluetooth)とは何が違うのでしょうか。違いを確認していきましょう。
Bluetoothシリーズの呼び名
Bluetoothは、すでにver5まで発表されていますが、様々な呼び名が付いていてわかりにくいと思っている人も多いのではないでしょうか。ここで、簡単に説明しましょう。Bluetoothのロゴ表記には「Bluetooth」と「Bluetooth SMART READY」と「Bluetooth SMART」の3つの表記があり、また「クラシックBluetooth」という呼び名もありますので注意が必要です。基本的に、「Bluetooth」や「クラシックBluetooth」と呼ばれるものは、バージョンが1.X~3.Xまでを指し、技術革新の進んだ4.Xや5.Xを含んでいません。単に「Bluetooth」と表現すると何を言っているかわからなくなるため、「クラシックBluetooth」の呼び名が生まれてきたと考えてください。また、「Bluetooth SMART」と「Bluetooth SMART READY」の違いは、「従来タイプとBLEに接続できるかどうか」で判断されます。「Bluetooth SMART」は「BLEとは接続できるが、従来タイプであるBluetoothクラシックには接続できない」という定義となり、「Bluetooth SMART READY」は「BLEにも従来タイプにも接続できる」という定義となります。これは、バージョン情報は一切関係ありませんので、注意が必要でしょう。また、他にも「BLEとBluetooth 4.Xという用語の定義は同じではない」という注意点もあります。ウェブ上の情報サイトなどを巡っていると、あたかも同じものを指しているかのような表現もありますが、これは間違いです。「Bluetooth X.X」という表記はハードウェア仕様を指しません。BLEというハードウェア仕様を確認しあい場合は、バージョンの後につく「LE」という表記によって示されます。そのため、仮に「Bluetooth 4.X」という表記があっても、バージョンの後に「LE」とついていなければ、それは、BLEではないのです。
BLEの開発目的
BluetoothとBLEの違いを明確にするため、BLEの開発目的について少しふれておきましょう。そもそも、Bluetoothとは2.4GHz帯の電波を使用した近距離通信技術です。通信速度は最大で数Mbps、通信可能距離も非常に短いため、大容量のデータを遠距離に飛ばすといった使い方は想定されていません。非常に近い距離で、短期間に何度もやり取りする仕組みに対応できるような技術といえるでしょう。最もわかりやすいのは、ワイヤレスマウスかもしれません。ワイヤレスマウスは、自分のパソコンと絶えず通信を行うことにより、自分の場所をパソコンに伝えることが出来ます。結果として、マウスポインタを動かすことが出来るのです。
さて、BLEは、このBluetoothの特徴をさらにとがらせたものといえるでしょう。これは、スマートフォンやIoT機器、ウェラブル機器などの開発によって、よりコンパクトでそして何よりも、「Low Energy」という名前の通り、電力コストの圧縮を目指したものでした。絶えず通信を行うことで、当然ですが電子機器は電力を利用していきます。この通信頻度が今まで以上に多くなってしまった結果として、バッテリーが大きくなってしまったり、発熱してしまったりと、今までの規格では対応できない電子機器が多数生まれてしまったのです。BLEは、まさに時代に求められて生まれた技術ということが出来るかもしれません。
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BluetoothシリーズとBLEの違い
BLEは、まさに低消費電力規格という新しい規格ですが、従来のクラシックBluetoothを低電力化した規格ではありません。全く新しいものとしてとらえましょう。結果として、クラシックBluetoothの多くは、BLEとは互換性がないとされています。簡単に表でまとめてみましょう。
クラシックBluetooth | BLE | |
データ・チャンネル | 79ch | 37ch |
リンク確立までの時間 | 数100ms | 数ms |
パケット長 | 長い | 短い |
このように、クラシックBluetoothとBLEでは、規格が全く違うことがわかると思います。特にデータ・チャンネルの数まで異なっているので、互換性を維持するのが難しいというのがわかっていただけるのではないでしょうか。BLEは、消費電力を最小まで抑えるために、チャンネル数を極限まで減らした仕組みということが出来ます。
従来のものとは全く違う、BLEですが、IoT分野やパソコン周辺機器などといった、電子機器の更なる発展に貢献することは間違いありません。ぜひ、新しい規格であるBLEを利用して、今後のビジネスをさらに発展させてみてはいかがでしょうか。
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