GoogleがサードパーティーCookieを廃止!何が変わるのか
2020年に入り、Googleが衝撃的な発表をしました。
それが、サードパーティーCookieの廃止です。
サードパーティーCookieは、Web広告やマーケティングの中で活用されることが多くなっています。
それを廃止してしまうのは、広告事業での収益が多いGoogleにとっては痛手になるように思えます。
今回なぜ、GoogleはCookieを廃止しようとしているのでしょうか。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
①GoogleのCookie廃止の詳細
②そもそも、Cookieとはなにか
③個人情報保護とWeb広告事業の今後
今回は、Cookieとは何かということも合わせて紹介していきます。
そのため、「Cookieがよくわからない」という方でも安心して読み進めてください。
Google発表の詳細
サードパーティーCookieの廃止は、2020年の1月14日にChromium Blogで行われました*1。
タイトルは、Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete(日本語訳:よりプライベートなWebの構築:サードパーティーCookieを廃止するための道筋)です。
2年以内にChromeでサードパーティーCookieを廃止
発表の中で重要な内容は、ChromeでサードパーティーCookieが廃止されることでしょう。
これまでサードパーティーCookieは、Web広告事業やマーケティングの中で多く活用されてきました。
ネットサーフィンをしていて、「車のサイトばっかりみていたら、車の広告がたくさん出るようになった」などという経験はありませんか。
これまで訪れたサイトの情報が、広告配信会社のサードパーティーCookieによって追跡されているから実現できているのです。
GoogleはこのようなサードパーティーCookieを、2年以内に廃止すると発表したのです。
なぜ、廃止を発表したのでしょうか。
背景として、Webブラウザでの追跡が問題となっている
サードパーティーCookieは、パーソナライズされた広告やコンテンツを提供していくために必須なものであることがわかるでしょう。
パーソナライズされたページや広告を見ることは、利用者にとっても便利な側面があります。
しかし、2017年から、Safariなどのブラウザでは、サードパーティーCookieをブロックするための機能が強化されています23。
Safariを利用している方は、設定に「サイト越えトラッキングを防ぐ」という項目があるのを知っているかもしれません。
これが、サードパーティーCookieをブロックするための機能の1つです。
また、FirefoxでもサードパーティーCookieをブロックする機能を実装しています*4。
このように、個人情報の保護をWebブラウザ上でも求める流れがあるのです。
このような流れから、サードパーティーCookieではない方法でユーザーの追跡をしようとする流れもあるのです。
その仕組みは、フィンガープリントと呼ばれ、各機器ごとの特徴をつかみ追跡していく仕組みです。
Cookieのように削除することが難しいため、セキュリティ上の問題も大きいとされています。* 5
以上のように、サードパーティーCookieをはじめとした、Webブラウザでの追跡に対して問題意識が高まっています。
サードパーティーCookieに変わるものを開発中
実は、GoogleではサードパーティーCookieに変わるものを開発中です*6。
プライバシー問題や、Web上でのトラッキング方法の多様化を受けて、プライバシーサンドボックスと呼ばれるプロジェクトを進めています。
これは、現在サードパーティーCookieが行っているものを代替していくことになるでしょう。
プライバシーサンドボックスの開発に見通しが立ったことから、サードパーティーCookieの2年以内の廃止が決められたのかもしれません。
今回焦点となっている「サードパーティーCookie」とは
ここまでお読みになった方の中で「Cookie」がよくわからないという方もいるでしょう。
また、「サードパーティーCookie」についても不明な点が多いかもしれません。
そこで、Cookieについてを解説していきます。
そもそもCookieとは
そもそも、Cookieとはどのようなものなのでしょうか。
Googleによれば*7、
「Cookie は、アクセスしたウェブサイトによって作成されるファイルです。閲覧情報を保存することで、オンラインでのユーザー エクスペリエンスを向上させます。」[1]
と説明がありました。
ウェブサイトにアクセスすると、閲覧したときの情報が保存されます。
そこで使われているのがCookieです。
Cookieを利用している例でいうと、各サイトの自動ログイン機能があります。
また、ショッピングサイトの買い物かごに商品を保存しておけるのも、Cookieがあるおかげです。
Cookieには、大きく2種類あります。
• ファーストパーティーCookie
• サードパーティーCookie
です。
これら2つについては、このあと詳しく紹介します。
サードパーティーは、Web広告やマーケティングで活用中
サードパーティーCookieは、今アクセスしているページ以外から作成されているCookieです。
わかりにくい説明なので、例をあげます。
たとえば、あなたがあるニュースサイトにアクセスしたとします。
ファーストパーティーCookieは、今アクセスしているニュースサイトから作成されるものです。
一方、サードパーティーCookieは、ニュースサイト内にある広告を所有しているサイトが作成しています。
サードパーティーCookieは、今アクセスしているサイトとは直接関係がないものです。
どんなサイトを見ているかという履歴を追跡することで、広告の内容をよりあなたにぴったりなものにしています。
また、Webマーケティングでも活用されることが多いのがサードパーティーCookie。
今回、Googleが廃止の対象としているのは、サードパーティーCookieのみです。
ファーストパーティーCookieは残る
アクセスしているサイト上で作成されるCookieは、今後とも残ります。
そのため、ユーザーとして利用している分には、不便になることはあまりないでしょう。
ネット広告と個人情報保護の共存を目指すGoogle
最後に、Web上の個人情報と広告配信に関するGoogleの立場を紹介します。
追跡自体を廃止するのには懐疑的なGoogle
GoogleはCookie廃止の文章*1で、
「Some browsers have reacted to these concerns by blocking third-party cookies, but we believe this has unintended consequences that can negatively impact both users and the web ecosystem.」
(いくつかのブラウザでは、サードパーティーCookieをブロックすることで、ユーザーのプライバシー上の懸念に対応しましたが、これは、ユーザーとWeb上のエコシステムの両方に悪影響を及ぼす結果になりかねないと考えています)
※筆者が一部文脈を補完保管して翻訳。
この文章から考えると、GoogleはWeb上の追跡自体を廃止するのには反対なようです。
その理由としては、Googleのビジネスモデルである広告事業が打撃を受けることに加えて、Webページを持っている企業の収益もまた、広告によってもたらされているからといえるでしょう。
Googleは、ユーザーもパブリッシャーも納得できるような追跡方法を模索することになるでしょう。
その一環が、サンドボックスプロジェクトといえます。
今後は他社を含めて標準規格を作れるのかが鍵
とはいえ、WebブラウザはGoogleのChromeだけではありません。
先ほどの引用で「いくつかのブラウザ」とされていた、SafariやFirefoxも一定のシェアがあります。
そのため、ブラウザを提供する各社や広告主等が納得できる標準規格を作ることが求められるでしょう。
そうしていくことで、Googleの目指すセキュリティの理想像が実現される可能性が高まります。
◆まとめ
本記事では、GoogleのサードパーティーCookieが廃止されることについて紹介してきました。
最後にも書いたように、Web上での個人情報保護はGoogleだけで解決できる問題ではありません。
そのため、ブラウザを提供している各社で標準規格を作るなどして解決していく必要があるでしょう。
利用者の立場としては、現状変化はありません。
しかし、これから数年で変化が起きてくる可能性があるため、最新情報をチェックしておくのがよいでしょう。
◆参考URL
1)Chromium Blog: Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete
2)Intelligent Tracking Prevention | WebKit
3)Intelligent Tracking Prevention 2.3 | WebKit
4}デスクトップ版 Firefox の強化型トラッキング防止 | Firefox ヘルプ
5)Panopticlick | About[2]
6)The Privacy Sandbox – The Chromium Projects
7)Chrome で Cookie の削除、有効化、管理を行う – パソコン – Google Chrome ヘルプ
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