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ARCHICAD23で追加された新機能まとめ

この記事でわかること
・ARCHICADの概要
・ARCHICAD23で追加された新機能
・ARCHICAD24とARCHICAD23の比較

ARCHICADの概要

ARCHICADはハンガリーに本社を置くGRAPHISOFT社が開発しているBIMソフトウェアです。
GRAPHISOFT社は1982年に創業され、ARCHICADの初期バージョンは1984年、初代Macintosh向けのソフトウェアとして販売されました。

当時はBIMという概念はなく、CADは手書き図面の延長でした。
しかし、GRAPHISOFT社はコンピュータの中に仮想的に建造物を構築する「バーチャルビルディングコンセプト」をARCHICADに取り入れることで、CAD開発に大きな転機をもたらしました。
バーチャルビルディングコンセプトは現在ではBIM(Building Information Modeling)と呼ばれるようになりました。
BIMの先駆けとなったのがGRAPHISOFT社のARCHICADということです。

2020年12月現在、ARCHICADはバージョン24が販売されています。
この記事では一つ前のバージョン23の新機能および、バージョン23とバージョン24の機能比較も見ていきます。

ARCHICAD23で追加された新機能

GRAPHISOFT社で公開しているヘルプ*1の中から、ARCHICAD23で追加された新機能をご紹介します。

梁と柱のデザインの向上

ARCHICAD23では、梁と柱が階層要素になりました。テーパーと押出による複数の辺で構成された複雑な形状の梁を設計することが可能です。

開口ツールの追加

ARCHICAD23で新しい開口ツールが追加されました。建築BIMにおいて、開口は設計、構造、設備など全ての分野に必要なBIM要素です。
ARCHICAD23では、開口の形状やプロパティ(属性情報)などを管理できるフレームワークが搭載されています。

レンダリングの向上

ARCHICAD23ではレンダリングエンジンとして「CineRenderエンジン」が搭載されました。これにより、プログレッシブ物理レンダリングが強化され、レンダリング速度やレンダリング精度が向上しています。
また、レンダリング性能が向上したことにより、標準の材質カタログが更新されました。
例えば、リアルな反射や視差オフセットによりフォトリアリズムが向上したり、レンダリングの解像度が高くなっています。

生産性の向上

テキストラベルからの参照線(引出線のようなもの)を、以下のような位置に接続出来るようになりました。
・テキスト行の上端や下端に接続する
・テキストボックスの上端、中央、下端に接続する
・参照線を延長してテキストに下線を引く
その他、コマンドメニューや操作など、十数ヶ所の改善が行われています。

パフォーマンスの向上

操作をより素早く行うために、様々なパフォーマンスの向上が図られています。以下にまとめました。

・一度に複数のプロジェクトを開く
プロジェクトを複数選択してから開くことが出来るようになりました。

・項目の確認なしにプロジェクトを開く
新しいアクションセンターを使うと、プロジェクトを開く最後のフェーズで、図面更新やライブラリのロードなどの確認が一覧で表示されます。
不要な場合は即座にプロジェクトが開きます。

・タブ間の移動
タブにマウスカーソルを合わせると、そのタブに書かれている情報がプレビュー表示されます。
また「タブの概要」ボタンをクリックすると全てのプレビューを並べて確認することが出来ます。

・ビュー再構築の高速化
マルチコア処理がより改善されています。ARCHICAD23では線、円弧、ポリライン、スプラインなどの単純な要素の再構築にもマルチスレッド化してます。特にDXF/DWGファイルに大きな効果があります。
また、変更部分のみを再構築するように最適化されました。これにより、再構築時間が大幅に削減されています。

・IFCのインポート/エクスポートの最適化
BIMソフトウェアの中間ファイルであるIFCファイルのインポートとエクスポートがより高速になりました。
IFCはIFC4参照モデルビューのエクスポートをサポートしています。
さらにIFCインポートを介して地理のプロパティデータを取り込むことが可能です。

ライブラリの改善

標準で組み込まれている以下のライブラリが改善されています。

・カーテンウォール窓
・エレベータオブジェクト
・傾斜オブジェクト

ARCHICAD24とARCHICAD23の比較

今度は、2020年10月5日に発売されたARCHICAD24についてみてみましょう。
こちらも、GRAPHISOFT社で公開しているヘルプ*2の中からの抜粋になります。

ARCHICAD23から大きく追加された点として構造解析モデルの統合が挙げられます。
ARCHICADで作成したBIMモデルから構造解析モデルを作成することで、設計段階の省力化と迅速化が図れます。また、ARCHICADが強力な統合開発環境になります。

さらに、ARCHICAD23では有料アドオンだったMEP Modelerが標準装備になりました。
これにより、設備システムもARCHICADでモデリングすることが出来ます。

また、Autodesk社が開発しているBIMソフトウェアのRevitのファイルを直接インポートおよびエクスポートすることが出来るようになりました。
事実上業界No.1のRevitのファイルを読み書きできることで、共同開発環境が整ってくるでしょう。

設計段階において、変更点を把握したり確認することが重要ですが、それに比例して確認する工数も増えてきます。
ARCHICAD24では2つの3Dモデルやバージョンを比較して、違いを視覚化したりフィルタリングする機能が搭載されています。

プログラミング機能として、ARCHICADはオブジェクト部品を作成でいる「GDL」というARCHICAD専用のプログラミング言語が搭載されています。
これに加え、人工知能の開発やWebスクレイピングなどで有名な「Python」が使えるようになりました。
Python用のAPIが実装されているので、ARCHICADの様々な要素やプロパティにアクセスしたり修正することが可能になります。

【まとめ】
ARCHICADはほぼ毎年新しいバージョンがリリースされ、年々進化を遂げています。
BIMは開発規模が大きく、多くの人や会社が関わり合って開発作業を行うことがほとんどです。
インターネットが普及して、会社内はもとより、建築現場で図面を開くことも多くなってきました。
こうした流れを受けてARCHICADを始めとしたBIMソフトウェアではクラウド化が進んでいます。
設計データをクラウドに保存しておくことで、誰かがどこかで修正すれば、どこでも更新されたデータが閲覧できるようになります。
こうしたソフトウェアの進化が、工期の短縮化や省力化に貢献しているのでしょう。

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参考URL
ARCHICAD 23の新機能ガイド *1
https://helpcenter.graphisoft.com/jp/user-guide-chapter/372
ARCHICAD 24の新機能ガイド *2
https://helpcenter.graphisoft.com/jp/user-guide-chapter/1091

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