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BIM/CIMの原則適用で何が変わる?ロードマップから読み取れること

2010年代以降、国土交通省が積極的に推進してきたBIM/CIMの活用ですが、2025年までに国交省直轄の事業において、BIM/CIMを原則適用することを発表しています。

BIM/CIMの原則適用によって何が変わるのか、適用に向けてどのような取り組みが進むのかについて、ご紹介します。

目次:
①BIM/CIMの原則適用について
②BIM/CIMの原則適用に向けたロードマップについて
③BIM/CIMの原則適用に向けた今後の取り組み

BIM/CIMの原則適用について

国土交通省は2020年2月に開催した「BIM/CIM推進委員会」の第3回会合において、BIM・CIM運用拡大に向けた全体ロードマップ(案)を提示しました*1。
2025年度には全ての直轄事業におけるBIM/CIMの原則適用を定め、国内における生産性向上を目指します。

ロードマップにおいては原則適用を2025年度までに達成するための3つの目的が掲げられており、シンプルな目的設定を行うことで、迅速な適用を促します。また、それぞれの目的に則った目標も個々に設定されており、今回発表されたロードマップ案においては2021年度の達成を目処にしたもの、2025年度の達成を見込んだものの2項目が定められています。

BIM/CIMの原則適用に向けたロードマップについて

ここで今回の原則適用に向けられたロードマップにおいて、具体的にどのような目的が定められ、年度に応じた目標が用意されているのかについて、詳しく見ておきましょう*2。

BIM/CIM関連規格の標準化

一つ目は、BIM/CIM関連規格の標準化です。建設生産には設計から施工、維持管理に至るまで、複数のプロセスが発生します。ここの段階でBIM/CIM運用が別個に行われることの内容、統一規格でのプロジェクト遂行を実現し、情報のシームレスな運用を促進します。主な達成項目としては、形状および属性情報の標準化、ワークフローの標準化、国内規格の標準化が掲げられています。

2021年度を目処とした取り組みとして、3Dデータの標準規格である「IFC5」準拠する属性情報等の標準化、成果品に求められる標準要件の整備、ソフトウェアの機能要件の整備が挙げられます。

2025年度には、3Dに時間軸を加えた「4D」データ、ここへさらにコストの軸を加えた「5D」データの実現を達成する見込みです。また、BIM/CIM規格のJIS化についても検討が進み、近い将来にJIS規格が適用されるかもしれません。

BIM/CIMの普及と促進

二つ目の取り組みが、BIM/CIMの普及と促進です。BIM/CIMの高度な活用を進めるためには、高い普及率を達成し、いかなるプロジェクトにおいてもこれらの技術が活用されている必要があります。さらなる効率化に向けた、普及と啓蒙による環境整備を促進します。

達成項目としては、適用事業の順次拡大、BIM/CIM技術者の活用、効率化に資するツール等の普及が掲げられています。BIM推進に向けた人とモノの活用を促進することで、BIM文化の定着を支援します。

2021年度の達成を目指しているのが、共通分野に配慮したBIM/CIM要領の策定、普及・啓蒙体制の構築、パラメトリックモデル等のモデル作成支援ツールの実装です。2025年度の達成にむけた準備、および実装が進んでいるところです。

2025年度の目標として、もちろん全事業でBIM/CIMを原則適用することは一番の目標です。また、エンジニアを活用した高度なデータ管理も実現し、BIM/CIM運用を推進します。機械処理による部分的な自動作図や、設計照査の実装も進め、生産性の向上を目指します。

BIM/CIMの高度利活用の推進

三つ目の目標が、BIM/CIMの高度利活用の推進です。公共事業をより効率的で、高度な技術を伴うプロジェクトへとシフトすべく、BIM/CIMを活用することを前提とする業務改革の実現を目指します。また、BIM/CIMを導入するだけでなく、導入後も継続的な評価を繰り返し、業務改善を進めていくことが目標です。達成項目として、公共事業の品質確保と向上、発注関係事務の抜本的な見直し、そしてデータ活用が掲げられています。

2021年度の達成を目処にした2020年度の取り組みとしては、3D設計照査による成果品の品質確保の実現、3Dを主とする契約の基準化、BIM/CIMモデルの二次利用を促進が決定されています。二つ目の取り組みである、BIM/CIMの普及と促進とも被る取り組みでもあり、とにかくBIMモデルの活躍機会を増やすためのアクションが目立ちます。

2025年度にはBIM/CIMによる設計照査や監督・検査の要領への反映、BIM/CIMを主とする契約の標準化、データプラットフォームにおける3次元情報の活用促進が挙げられます。3Dを活用することは大前提として、BIM/CIMを積極的に適用し、次世代の3D活用の普及が進むと考えられます。

BIM/CIMの原則適用に向けた今後の取り組み

このように、当初は2025年を目標として検討されてきたBIM/CIMの原則適用ですが、2020年9月、国交省は原則適用の達成を2025年度から2023年度へと、2年間の前倒しを決定しました*3。

新型コロナの影響で目標達成は前倒しに

2年もの期間を前倒しすることになったきっかけとしては、やはり新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。新型感染症の流行により、業務へのリモートワーク導入やICT活用が進んだだけでなく、人々のライフスタイルにも多大な影響を及ぼしたためです。

不幸中の幸いですが、日本社会が半強制的にICT活用に短期間で着手したことで、当初の予定よりも早くBIM/CIMの原則適用が叶う見込みが立ったというわけです。

省人化と安全管理の分野で期待

BIM/CIMの積極的な活用は、業務の効率化はもちろんですが、省人化や安全確保においても役立つことが期待されます。オフィスや建設現場における3密が当たり前だったのが、BIM/CIM技術の導入により、リモートでの業務遂行が可能となり、省人化による感染症対策が実現しました。また、現場作業においては必要最低限の人の出入りが実現したことで、感染症対策だけでなく、アクシデントの発生による人的被害を抑える役割を担います。

生産性の向上だけでなく、人命の安全確保にも寄与するのがBIM/CIM導入の強みです。

おわりに

2025年度を目標に定められていたBIM/CIMの原則適用では、シンプルな目的設定と細やかな目標設定により、堅実な導入ステップが想定されていました。しかし新型コロナの影響により、その普及は前倒しに進んでいます。

半ば強制的な導入となったこれらの技術は、多少の混乱を当初はもたらしたものの、結果的には多くのメリットが期待できるとして、2023年度中の達成も視野に収まっています。

 

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参考:
*1 ArchiFuture Web「国土交通省が2025年度に全事業でBIM/CIMの適用を原則化へ」
http://www.archifuture-web.jp/headline/480.html
*2 国土交通省「令和2年度の主な取組について」p.1
https://www.mlit.go.jp/common/001327974.pdf
*3 デジコン「公共事業におけるBIM/CIMの原則適用が2年前倒しへ!今、建設業界に求められていること」
https://digital-construction.jp/administration/25

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