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電子書籍はなぜ日本で流行らないのかについての考察

こんにちは、ライターの渡邊志門です。
皆さんは電子書籍をどれくらい利用しているでしょうか。Kindleなどの専用端末やiPadのなどのタブレット型端末にて利用している方がほとんどだと思います。専用のストアで購入したり、購入した雑誌、本のページをバラバラにしてpdf化するいわゆる「自炊」と言われる作業を経て端末にて読書をしている方も居るかもしれません。しかしながら、「日本で電子書籍は流行らない」という一定の評価が日本の電子書籍界隈には必ずあります。なぜ、日本で電子書籍は流行らないのかについて考えました。

電子書籍の現状

クロスマーケティング社が首都圏在住、15〜69歳、男女1200名を対象にインターネット上で読書の実態を日本人の読書に関する最新調査を実施したところ、日ごろから読書の習慣があると回答した人が50.8%。ほぼ半数の日本人が、本や雑誌を定期的に読んでいることが明らかになっています。かたや、どのようなスタイルで読書をしているか、という質問については主に紙の書籍で読んでいるという回答者が93.7%となり、いまだに日本人のほとんどが紙の書籍で本を読んでいることが分かりました。また、紙の書籍で本を読む人の中で、電子書籍の存在は知っているが、今後も利用するつもりはないと答えた人が57.0%に達しており、今後も紙の書籍で読書を続けていくという考えが過半数に至っています。

クロスマーケティング社 リサーチ参照

http://www.cross-m.co.jp/report/report_dl.html$/id/51894/token/acff4c1e02a6d61109ea04674aeab72f/

電子書籍の特徴

電子書籍自体の特徴を振り返ることで、日本での流行が起きない理由がわかってきます。

メリット

・購入が手軽で、wifiなどのネットワーク環境にあればいつでも購入出来る。
・かさばらないので保存が容易。
・持ち運びが容易。
・劣化が無い。また、紛失も基本的には無い。
・印刷コストがかからないため、安価。
他にも幾つか挙げられるかとは思いますが、代表的なメリットとしては上のようなことが挙げられるでしょう。

デメリット

・端末のバッテリーが切れてしまうと読むことができない。
・サービスが終了すると同時に無価値になる可能性がある。
・端末が必要で、端末自体が高価。
・貸し借りなどのシェアや売却ができない。
・紙の質感やめくる動きなどが、本物よりも劣る。
・中古本が存在しない。
以上のようなデメリットが挙げられるかと思います。人によってはメリットとなり得ることもありますが、基本的な部分はこのようなことでしょう。

考察

端的に言ってしまえば、メリットがデメリットを上回らないということでしょう。多くの書籍を一度に持ち歩く人口はそれほどおらず、また自分の持っている書籍を本棚などに並べ所有欲を満たしたい、などの要望に現状で電子書籍は応えられていません。
また、iPodが流行った理由としてCDの電子化が容易であったことが挙げられます。iTunesをインストールし、ドライブにCDを入れればある程度のことは勝手にパソコンがやってくれる。つまり、自分が昔から所有しているCDをデータに変えることに対するハードルが低かったのです。しかしながら、書籍でそれを行うことは難しく、しっかりと読めるレベルにスキャンするのはやはり裁断が必要になります。そうなるとデータ化はできるものの、それまでのコレクションは元には戻らないため、そこまでして電子書籍化する必要は無い、という考えに至ってしまうのです。
さらに人に貸す、借りる、実際に店頭で読む、ということができないことも電子書籍が流行らない大きな原因となっていると考えられます。読書という行為が自分一人で終わることなく、人とのコミュニケーションに昇華されることも考えると電子書籍ではその役目を果たすことは難しいでしょう。店頭でタイトルやPOPを見て買う本を決めたいユーザーにとっては、電子書籍は読みたい本が決まっている状態でないと購入に至りづらいというポイントがあります。

まとめ

他にも専用端末で無かった場合、タブレットを使用すると他のアプリやサイトに流れてしまうということも考えられます。読書の習慣が元々ある人ならまだしも、それほどではない人にとってゲームやSNSと読書の順位付けは難しいものになるでしょう。
実際に購入して私が思ったのはやはり優位性の無さです。価格、読みやすさ、持ち運び、全てにおいて「まあ紙でいっか」となってしまうところが、日本で電子書籍が流行らない理由でしょう。著作権の問題などもあり、これから市場で電子書籍が存在感を示していくのは難しそうです。

 

 

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