スマホアプリから始めるオムニチャネル
平成27年度の総務省調査によれば、世帯ごとのスマホ普及率は、平成26年末時点で64.2%でした。
特に、消費意欲の高い10代・20代におけるスマホの普及は目覚ましく、「スマホがあるからパソコンはいらない」と考える層も増えています。
そのような中、スマホアプリを通じて豊かなユーザーエクスペリエンスを提供する事業者の例が増えてきています。
■ユーザーエクスペリエンスとは
ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、「顧客の体験」のことを指して言います。
高級百貨店や高級ブランドの正規店で「わざわざ高い値段でモノを買う消費者」が購入しているのは、単なる「商品」ではありません。質の高い店舗環境や接客、日常から切り離された豊かな「消費体験」です。店舗はそれらを顧客に提供するために、高額なテナント料や人材教育のコストを支払い、そのコストを商品価格に転嫁しています。
ただ「使える」だけの最低条件を満たすシステムでは、豊かなUXを提供することはできません。対面販売にたとえて言えば、「笑顔も挨拶もない不愛想な接客」です。
顧客へのおもてなしを重視しない場合、価格競争や業界の寡占によって利益を確保することになりますが、それは、いわゆる「血で血を洗うレッドオーシャン」に自ら飛び込むことを意味します。
■豊かなユーザーエクスペリエンスがロイヤルカスタマージャーニーを進める
充実したユーザーエクスペリエンスは、顧客のロイヤルカスタマー化を促します。
セキュアなユーザ管理や関連サービスとのシームレスな連携、迅速な発送対応を行い、購入後は「不快ではない程度」のアフターサポートで顧客をファン化します。
ファンになった顧客はその後、たとえ類似サービスで多少安価なものを見つけても、価格差よりUXを優先するようになります。
「お買い物体験の充実」によって顧客をロイヤル化し、硬いリピーターとするのは、対面販売と通信販売で違いはありません。
■スマホアプリからのオムニチャネル
スマホアプリはO2O(Online to Offline…オンラインからオフラインへの誘導)の入口になる、と言われています。GPSやビーコン情報を頼りに顧客にプッシュ通知をしたり、クーポン配布でオンラインユーザーを実店舗に誘導する試みはすでに行われています。
そして、O2Oはオムニチャネルへの入口です。消費者は、実店舗とネット店舗をその時の都合に合わせて自由に来店し、どのように購入しても違いのないサービスを受けられることで、便利で安心な消費体験を楽しめるようになります。
店舗側には、購入チャネルごとに対応を区別しないワークフロー、どのチャネルからの購入でも自社の利益になる商流の制御、オンライン店舗と実店舗に対立構造を作らない組織づくりなどが求められるでしょう。
■オムニチャネルをかなえるスマホアプリとは
最後に、オムニチャネル化を実現するためのスマホアプリや体制づくりについて解説します。
–実店舗のブランドイメージと変わらないインターフェイス
スマホアプリのデザイン全体が、ブランドイメージとかい離していてはいけません。
ブランドイメージを想起するアイコン実店舗と同じロゴ、カラーリング、似た印象のページレイアウトで「オンラインでのウィンドウショッピング」を楽しめるようなデザインにしましょう。
テンプレート化された安価なデザインでは不十分なこともあります。
–実店舗以上の情報量
「実際に目で見て、触って商品を感じられる」ことが実店舗の最大のメリットです。それと比べると、どうしてもスマホから得られる商品情報は不足しがちです。一品一品についての情報は、文字や写真などで使用イメージを呼び起こす必要があるでしょう。
商品説明とコラムを自然に併記し、生活感や使用例を豊富に提案する「北欧、暮らしの道具店」が参考になります。
–ポイントカード、ユーザIDなどの連携
どの店舗で購入してもポイントが貯まる仕組みや、ファン化したユーザのメインチャネルの変化をとらえるためのID管理も有効です。
オンライン店舗がメインチャネルだったユーザが実店舗に来店した時に「常連客」として対応することができれば、顧客のロイヤル化を一層促すことができるでしょう。
–実店舗との連携
アパレルブランド「Burberry」や「oasis」の成功事例が象徴的です。
上記の2ブランドは「実店舗で店員に商品を案内してもらってネットで注文する」や「ネットで注文して実店舗で受け取る」といった消費フローに対応し、「ネット通販は物足りない」と感じるユーザに、効率以上の価値を提供することに成功しました。
また、実店舗側にも、オンライン店舗と連携することによって在庫管理の負荷軽減や店舗レイアウトの余裕確保などのメリットが出ています。
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