プロモーション戦略は緻密さがキモ
プロモーション戦略を設計する前に、まずはその戦略の対象となるターゲットを明確にする必要があります。
ターゲットが誰なのか明らかにしないことには、プロモーション上の効果が薄くなり、当初期待していた成果とは比べ物にならないような残念な結果しか得られない可能性が高くなります。
薄っぺらい戦略は立てるべからず、です。
典型的な失敗例
プロモーション戦略が大失敗に終わった事例を紹介しましょう。
アメリカのマクドナルドがTwitterを使って行った2012年ごろのキャンペーンです。このキャンペーンの狙いとしては、さっくりいうとマクドナルドへの愛を喚起し、企業好感度を上げ、売り上げをアップさせようというもの。
マクドナルドはツイッターをユーザーとのコミュニケーションチャネルに利用しました。
で、マクドナルドの狙いは「幼いころのマクドナルドの思い出をつぶや」いてもらい、心温まるエピソードの数々がマクドナルドの好感度を上げるだろう、といったところでしょうか。
結果、どうなったか知ってますか?
集まったつぶやきは惨憺たるもの。
マクドナルドに対するクレームや過去のショッキングなエピソード、劣悪な労働環境、不健康なバーガーやシェイクなどに対する不満が素晴らしい勢いで集まっていったのです。
「クソ不健康なもん売りつけやがって」と、ユーザーはここぞとばかりに不満をぶちまけていったのですが、ちょうどいいコミュニケーションツールをわざわざマクドナルドが作った形となり、まさにパンドラの箱を自ら開けにいってしまったんですね。
良いイメージどころか、マクドナルドの悪いイメージばかりが集まり、当初マクドナルドが意図していた物とは正反対の結果に終わったというわけです。
段階を踏んで設計せよ
マクドナルドの失敗例はメガ企業であるが故、特殊な事例ですが、いずれにしてもプロモーション戦略は、緻密さがキモです。
少なくとも、以下の5段階を経て戦略の設計とすべきです。
1.ターゲット
2.目的
3.コミュニケーション設計
4.コミュニケーションチャネル選択
5.予算決定
1.ターゲット
まず初めに考えるべきは、ターゲットです。
誰に向けてどんなメッセージを発するのか。
ターゲットひとつ変わるだけで、響くメッセージが全く異なります。
普段のマーケティング活動で消費者をセグメント化していることが大切ですが、それができている前提で、標的セグメントを絞り、さらにそのセグメント内でも誰に向けてメッセージを送るかまで考えることが大切です。
たとえば20代女性、未婚、自社製品のユーザーというセグメントは、一見絞り込みができているようですが、自社製品のヘビーorライトユーザー、自社製品の中でもどの製品のユーザーなのか、などで細かく分かれてきます。
マクドナルドの失敗は、そもそもここです。
ターゲットユーザーをそもそも設定せず、来るもの拒まず、のスタイルに自然となってしまったため、招かねざる客を招いてしまったのです。
2.目的
目的は最終的には利益につなぐという一点に帰着しますが、そこにつなげるプロセスを構築するために、プロモーションを細部に分け、ユーザーを育てていく必要があります。であれば目的は、認知度アップ、モニターの獲得など、枝分かれしていきますので、最初にキッチリと決めていきましょう。
3.コミュニケーション設計
コミュニケーション設計とは、どんなプロモーションやメッセージを作り、誰がそのメッセージを発信し、どのような形で伝えていくかを設計することです。
たとえば心温まるメッセージを募集するというイベントを、人気タレントが、ホームページで募集する、という形を取ります。
何を、誰が、どのように、という流れですね。
4.コミュニケーションチャネル
コミュニケーションチャネルは、メッセージを伝える経路のことです。メールや電話、販売員などの人を介する人的コミュニケーションか、マスメディア(テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など)、デジタルメディア(ネット、SNS)、PR、イベントなどの非人的コミュニケーションなど、1から3の設計を踏まえ決めていきます。
コミュニケーションチャネル設計でもマクドナルドは致命的なミスを犯しています。Twitterという誰でも使えるマクドナルドのサービス以外のツールをチャネルに使ってしまっているからです。
5.予算
これはどれだけ予算を割けるかがすべてです。
予算の決定は、プロモーション全体の予算を決めてその範囲額で策定する方法、売上高など過去の実績に応じて決定する方法、競合企業と同じだけのプロモーション費用を支出する方法、目標達成のための費用を算出する方法の4つが主な予算策定方法の基準です。
まとめ
まずは最適なプロモーション方法は何かを考える必要があります。
その考え方がしっくりこないと、マクドナルドのように非常に著名な企業でも簡単に失敗します。
ターゲットも、目的も、コミュニケーション設計もあいまいな薄っぺらいプランと、魑魅魍魎渦巻く巨大なコミュニケーションチャネルを使ってプロモーションを行った場合、どのような結果になるか。マクドナルドのケースは好例ではないでしょうか。