勝てる土俵で勝負する、標的市場の選び方
日本の国技から
相撲には戦いのフィールドである土俵と、その土俵の上で身体をぶつけ合い、ルールにのっとって優劣を決する、プレイヤーである関取がいます。優劣の審判を決める行事も土俵の上にいます。
これをマーケティングに置き換えると、土俵は市場、プレイヤーは企業、行事は消費者です。ある市場の上で、企業同士が優劣を競い、消費者にその審判を任せる、という形になるでしょうか。
大相撲には土俵というフィールドは一つですが、番付制度によって同じような実力の力士同士が優劣を競い合うシステムが存在します。
番付の頂点である横綱が、最弱クラスの力士である序の口と戦っては、勝敗は誰の目にも明らかです。こうした力差のある力士同士の対戦は最初から避けられています。
マーケットの世界で起きる事
マーケットの世界では、相撲のように最初から対戦回避のシステムが組み込まれているわけではありません。もちろん、横綱のような強者もいますし、序の口クラスの弱小企業も存在しています。当然、真っ向勝負をすれば弱小企業は星の彼方まで吹き飛ばされるでしょう。
というわけで、弱小企業の方は頭を使い、自分が勝負できる土俵(市場)を見つけなくてはなりません。その市場のことを標的市場と言います。
標的市場の見つけ方
標的市場を見つける方法のまえに、今市場がどんな状況か確認すべきです。これはマクロ視点でざっくりと考えましょう。一般的には現在の市場は一部のジャンルを除き成熟市場であり、消費者のニーズはかなり多様化しています。
そのなかで標的市場をどう探していくかというと、市場を細かくセグメント化して、それぞれのセグメントに対し、個別のマーケティングミクスを仕掛けていく、あるいは標的となる市場をひとつに絞って、その市場内における消費者ニーズにあったマーケティングミクスを行い、他社と差別化する方法です。
具体的に考えていきましょう。
たとえばネット広告の市場です。
大小さまざまなネット広告代理店があり、広告システム、広告媒体、広告手法や、運用体制、価格など多様なサービスがあります。
もしも自分の会社が運用体制も劣り、広告媒体は少なく、googleアドワーズのリターゲティング広告という、たった一つの広告システムしか売り物にしていなかったとき。
ネット広告という大きな土俵で勝負することはまず危険であることはわかります。経営資源は限られているわけですから、自社製品が訴求しやすく、競争力を持つ顧客セグメントをターゲットとしていかなければなりません。
製品、価格、プロモーション、流通という4つのPをベースに、市場規模と自社の強み/弱み、競合の戦略や環境要因と言った要素を留意しながらターゲットを決めていきましょう。
標的市場をどう決めるか
まずは環境分析から入るのがセオリーです。競合調査で外部環境に関するデータを収集します。その上で自社の強みと弱みを把握します。リマーケティング広告のように、客先となるサイトの影響が強く出る媒体においては、LPOなど、サイトコンテンツのソリューションを同時に提案できれば、他社より秀でることが可能です。
環境分析のデータをもとに、市場細分化として、どのような顧客層にマーケティングを展開していくか、市場ニーズや顧客特性にあわせて市場を分けていきます。
たとえばLPOを含めたユーザーの囲い込みが得意であった場合、市場規模や成長性を考え、高齢化社会で活用されるサービスを提供する市場をターゲットに出来る可能性があります。
老人ホームを運営する会社が、資産のある層に対して十分なコンテンツを提供できていないため、リマーケティングのリストさえ作ることができないといったケースは多いはずです。
まとめ
このように標的となる市場を探し、ニーズを持った顧客に対し積極的にアプローチをしていくのは間違った方法ではないでしょう。