自社ブランドのベネフィット、共有できていますか?
ブランドベネフィットは、そのブランドの人間にとっては受け身でしかなく、消費者の立場になって初めて理解できるものです。
傲慢にも、「我々はこういう価値を消費者に提供している、だから我々はすごいんだぞ!」と、どこかの大統領のようには口にできません。
お客さんが製品やサービスに対してお金を払った結果、得られる便益をベネフィットと言います。
そもそもなぜ人はモノやサービスを購入するのかというと、食欲、性欲などの生理的・本能的な欲求のほか、支配欲、顕示欲、遊戯欲などの心理的・社会的欲求など、自分の欲求を満たすためです。
商品やサービスを提供するブランドは、消費者の欲求充足ニーズを満たせるかどうかが、ブランドベネフィットの向上に重要なポイントとなります。
加えて、自社のブランドベネフィットを消費者レベルで把握し、それが全社的に共有されていることも、ブランド力を高めていくうえで重要な要素となるでしょう。
ブランドベネフィットの3分類
ブランドベネフィットは「機能的」「情緒的」「自己表現的」という3つのベネフィットに分類されます。
「機能的ベネフィット」
商品やサービスそのものが持つパフォーマンスによって得られるベネフィットです。たとえば扇風機だったら、機能、安全性、サポート体制、付帯サービスなどです。同じ商品でもブランドが変われば機能が変わり、そのベネフィットも変わります。
他社にない価格や機能や特徴を備えている扇風機なら、機能的ベネフィットは相対的に高いと言えるでしょう。
→使いやすい、性能が良い、安い、美味しい…など
「情緒的ベネフィット」
こちらは心理的な満足感や欲求充足などの効用に関係するベネフィットです。商品デザインはもちろん、質感や触感、原産地、物語性、ブランドそのもの歴史や世間的な評価などを反映したベネフィットです。
→楽しい、安心できる、高級感がある、かわいい、かっこいい…など
「自己表現的ベネフィット」
こちらはファッション系ブランドでわかりやすいと思いますが、その商品を身に着けていることで自己表現の一部になる、というベネフィットです。有名ブランドのバッグやアクセサリー、腕時計などがその最たる例ですね。
→自慢できる、こだわりがある、人と差別化できる…など
これら3分類は属性上の分類なので、3分類の要素を同時に含んでいるブランド(腕時計におけるロレックス、携帯通話端末におけるiPhoneなど)もあれば、1分類しか含んでないブランドもあります。
キーベネフィットを共有せよ
「この商品を購入することで、どんな満足を得られるのだろう」
消費者は意識的に、あるいは無意識的にブランドベネフィットを追い求めています。
他の商品やブランドでは得らないベネフィットを提供できるブランドは、それが武器になり市場優位な立場になれる可能性があります。
ブランドベネフィットをうまく提供していれば、ブランドのファンも増え、継続購入層を増やすことができるでしょう。
ただ、ブランドベネフィットが多ければ多いほど優位かと言えばそうではありません。極端に言えば、キーとなるベネフィットがたった一つ、優れた点があれば十分です。
たとえば消費者金融。彼らのサービスは貸金です。「お金を貸してくれる」という機能的ベネフィットだけしかありません。最近ではコンサートだのイベントだの、利用者に対する別のべフィットを与えようとしていますが…、やはり消費者金融の情緒的ベネフィットはお金を借りられたという一瞬の安堵感です。あとは返済に追われる焦燥感が支配しますし、消費者金融からお金を借りている!なんて自己表現はマイナスの印象しか生みません。イベントなんて参加すれば自分は○○の利用者です!と大手を振って知らせているようなもんです。
こちらの事例は極端ですが、消費者にもっとも支持されているキーベネフィットを共有することで、マーケティングはよりシンプルになっていきます。
まとめ
WEBサイトの構築、広告作成など、キーベネフィットとなる要素を軸に展開していくべきでしょう。こういった共通認識がブランド内で保つことができれば、ブランドの強化につながっていき、より消費者に提案しやすい価値を提供できるようになるでしょう。