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VR開発の最前線、五感の再現とビジネス領域へ

 

VR(仮想現実)の開発が加速し、市場が拡大しています。これまでVRといえば、ゴーグルを付けて仮想空間を歩き回るゲームを想像する人が多かったのではないでしょうか。しかし、VRの領域は2つの方向に進化しつつあります。

第一に、視覚や触覚はもちろん、音や匂いなど五感に訴えかけるVRです。仮想現実がより現実(リアル)に近づいていく進化です。触感の表現については既にグローブなどで制御する技術が生まれていましたが、今後は、聴覚、嗅覚、味覚など、人間の五感に訴えるVRが開発されつつあります。

第二に、危険な建設現場や医療などのトレーニングに使うビジネス領域での利用です。重機の遠隔操作などにVRの技術を用いることで、原子力発電所の災害や危険な事故現場などの作業をゴーグルを通じて処理できるシステムが登場。また、困難な手術のシミュレーションなどにVRが活用されるようになりました。

VRの技術について、最新の動向をピックアップします。

 

 

五感を再現するVR

 

音のVR「ViReal」

ヤマハ株式会社は、立体音響を実現する音のVR「ViReal(バイリアル)」を開発しました。現状でも、ステレオでは左右から音が聴こえ、サラウンドではスピーカーの外側からも音が聴こえるような効果をもたらします。さらに、このViRealでは上下や前後からの音を再生できます。

この音響技術では、まず64ch であらゆる方向の音を「ViReal Mic」で録音します。360度カメラのレンズがマイクになったような印象の機器です。このマイクで録音した音源は立体音響のまま編集やミキシングができるだけでなく、「ViReal Sound Engine」によって仮想空間で自由に音を配置することが可能です。

再生には、まるで球体のようにスピーカーを配置して自由に配置を変えられる「ViReal Speakers」、あるいは「ViReal Headphone」で3Dの音響空間を再現します。Engadget Japaneseによる体験動画が公開されています。球形に配置されたスピーカーは「音のプラネタリウム」という印象です。

公式サイト

この音響技術ViRealは、株式会社カプコンの人気ゲーム「バイオ ハザード7 レジデント イービル ゴールド エディション」(2017年12月発売予定)と「モンスターハンター:ワールド」(2018年1月発売予定)に採用されるそうです。

 

 

匂いのVR「VAQSO VR」

 

アメリカのサン・フランシスコに本社を置くVAQSO Inc.では「VAQSO VR」という匂いを体験できるデバイスを開発、2018年に発売を予定しています。匂いのカートリッジを入れてVRのゴーグルの下にこのデバイスを磁石で装着すると、映像と連動して送風ファンによって送り出された匂いを体験できるようになります。

2017年9月に幕張メッセで行われた「東京ゲームショウ2017」では、近づくと女の子の匂いがする「透明少女」、ラーメンや餃子の焼けた匂いなどが楽しめる「カウンターファイト」が公開され話題を呼びました。

VAQSO VR を制御するための APIを開発者向けに公開し、Unity 向けのプラグインも提供。VRゲームの開発者は、ソースコードの先頭でinclude 文を1行、イベント発生箇所でコード1行を記述することにより、VAQSO VRを使った匂いつきVRゲームを開発できます

会社名ならびに製品名のVAQSOは、未来に向かって「爆走(バクソー)」する意味とのこと。日本の開発拠点は、DMM.make akibaにあります。

公式サイト

 

 

ビジネス利用のVR

 

重機を操るVR「T-iROBO Remote Viewer」

 

大成建設株式会社では、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を通じて、重機を遠隔操作できる「T-iROBO Remote Viewer」を開発しました。重機には左右に魚眼カメラが取り付けられ、およそ220度までの光景をステレオ方式で臨場感のある映像として、リアルタイムでHMDに表示します。操縦者が見たい方向にHMDを動かすと、連動してカメラも方向を変えます。

災害復旧などでは、人間が操作するには危険な場所も存在します。このようなときに重機を遠隔操作することは、作業者の安全性を高める意義があります。いずれはロボットが代役を務めるかもしれませんが、建設業界のVR導入が活発化しています。

プレスリリース

 

医療現場でもVR

 

医療の現場にもVRは取り入れられています。株式会社ホロラボは病院と共同で、患者のCTスキャンデータをもとにした3D データを使い、脊椎や関節手術のトレーニングに取り組んでいます。複数の医師が模擬的な骨を使ってトレーニングし、バーチャルなピンを使ってメモを残すことができます。

また、医療用VRソフトウェアを開発するEchoPixel社では、人間の臓器などを3Dモデルにして自由に回転させたり、患部を確認したりできる「True 3D Viewer」を提供しています。実際のサイズで確認できるため、難しい手術について事前にシミュレーションが可能です。

 

 

「仮想(VR)」「拡張(AR)」、そして「複合(MR)」へ

 

VR(仮想現実)はAR(拡張現実)、さらにMR(複合現実)として仮想空間と現実空間を融合させた技術に進化しつつあります。ゲームからビジネス領域に確実に市場を拡大していくことでしょう。それがVRのリアル(現状)です。

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