細かすぎて伝わらないMac製品の良いところ〜AirMac Express編〜
みなさんは、自宅でどんなWi-Fiルーターを使っていますか?
「プロバイダーから提供されたものをそのまま使っている」という方もいれば、「好みの機種を買って使っている」という方もいらっしゃるはず。
ただ、いずれも共通する悩みが、「設定の面倒さ」です。
今回は、そんな設定の面倒を解決したAppleのWi-Fiルーター「AirMac」シリーズの歴史と、これから選ぶ際にお勧めの機種をご紹介したいと思います。
この記事では次のことがわかります
・Wi-Fiルーターって何?
・AppleのWi-Fiルーター「AirMac」とは?
・AirMacの代替製品の選び方
そもそもWi-Fiルーターって何?
PCやネット対応の家電製品をネットに接続する際、10年ほど前はLANケーブルという電線を使い、有線で接続するのが一般的でした。
PCを接続する場合を例にすると……
PC〜モデム(ONU)〜固定回線(光回線等)
という感じですね。
ここでPC〜モデム(ONU)間の接続に使われているのがLANケーブルなのですが、このモデム(ONU)には、通常1本のLANケーブルしか接続することが出来ません。
しかし、それでは複数のPCや家電製品を接続する度に、ケーブルの差し替えが発生して非常に不便です。
そこで開発されたのが、ルーターというデバイス。
これは複数のLANケーブルの通信をまとめる機能が搭載されているので、モデムと各デバイスの間に挟むことで、毎回LANケーブルの抜き差しをしなくても使えるようになります。
身近な物に例えると、コンセントに帯するテーブルタップのようなもの。
Wi-Fiルーターは、このルーターに無線LAN(Wi-Fi)の機能を搭載した物ですが、LANケーブルが無線に変わっただけで、役割そのものは変わりありません。
AppleのWi-Fiルーター「AirMac」シリーズとは?
さて、今では殆どの家庭に当たり前の様に置かれているWi-Fiルーターですが、実はその普及のきっかけとなったのがApple製品だということは、意外と知られていません。
事の始まりはあのMacから
今からおよそ20年前の1999年、空から恐怖の大王が〜と騒がれていた7月に、Appleは革新的なラップトップ型Macを発表します。
それが、「iBook」。
(写真:初代iBook Wikipediaより)
見た目はだいぶポップな感じですが、今日のMacBookシリーズの祖先に当たる機種でもあります。
このiBookには、当時としては珍しく無線LAN機能(まだWi-Fiという呼び名はありませんでした)が搭載されており、LANケーブルに頼らずネットに接続できることがウリの1つでした。
しかし、”当時としては珍しい無線LAN機能を搭載”しているのですから、当然、まだ殆どの家庭には無線LANに対応したルーターなどありません。
まさに黎明期だった訳ですね。
そこで「無い物は自分たちで作ってしまえば良い」とジョブズが思ったかは定かではありませんが、AppleはiBookに合わせて無線LANルーターを開発・販売することになりました。
1999年:初代モデル「AirMac Base Station」を発売
こうして発売されたのが、初代「AirMac Base Station」。
UFOを思わせる独特のフォルムは、今見ても「本当にルーターなのか?」と疑ってしまいますが、正真正銘のルーターです。
ちなみに、「AirMac」というブランド名を使っているのは日本のみで、海外では「AirPort」と呼ばれていました。
これは、日本のみ、発売時点で「AirPort」の商標を登録している企業が他にあった為。
ちなみに、現在iPhoneをカタカナ表記する際は「アイフォーン」となっていますが、これも似たような理由です。
ともあれ、こうして発売されたAirMacは、その後も順調にバージョンアップや派生モデルの追加も成され、20年近く続く長寿ブランドとなりました。
最新版のAirMacはこの3種類
最新のAirMacシリーズは、機能の違いにより次の3機種が用意されています。
AirMac Express
AirMac Expressは、ルーターやAirPlayなど最少限度の機能に絞ったコンパクト機です。
その分、ルーターとしての性能も低めで、通信規格も少し古い802.11nまでしか対応していません。
AirMac Extreme
こちらはWi-Fiルーター機能を中心としたベーシックなモデルで、後述のTime Capsuleよりも安価な設定となっていました。
最新版の発売は2013年。iPhone5sと同世代です。
Wi-Fiは当時最新だった802.11acに対応。接続している端末へ無線のアンテナを向けるビームフォーミングなど、他社製上位機種に搭載されているような機能も積極的に搭載されています。
AirMac Time Capsule
AirMac Extremeと見た目はそっくりですが、内部にMacのバックアップ機能「Time Capsule」用HDDを搭載した機種が、「AirMac Time Capsule」です。
MacのTime Capsule機能は、USB等でMacに外付けストレージを直結する運用が基本なのですが、このTime Capsuleを使えば一々Macにストレージを繋ぐ必要はありません。
ただし、Wi-FiやLANケーブルを経由してバックアップデータをやり取りする関係上、USB等の直結よりバックアップ・復元の所要時間は多めに掛かることもあるようです。
AirMacはアプリで簡単設定が可能
最新版のAirMacシリーズは、Macから「AirMacユーティリティ」を使い、簡単に各種設定を行う事ができます。
さらに、このユーティリティはiOSアプリも用意されているので、iPhoneやiPadからもかなり多くの設定が可能。
今でこそスマートフォンからアプリで設定できるWi-Fiルーターは増えていますが、AirMacはその先駆けだったとも言えるでしょう。
iPhone・iPad・Macを使っている方なら、とても相性が良いWi-Fiルーターなのです。
え!まさかの製造・販売終了宣言
ここまで、その歴史や便利さをご紹介してきたAirMacシリーズですが、実は昨年(2018年)春に製造と販売の終了が公式に発表されています。
Apple、Wi-FiルーターのAirMacを終了-ITmedia News
販売は市場在庫限りとなっており、2019年4月時点ではAppleOnlineStoreのラインナップから完全に消えている状態です。
極稀に認定整備済み品のコーナーに出てくることもありますが、新品や新品同様品の入手はかなり難しいと考えた方が良いでしょう。
中古品を購入するという手もありますが、今から中古でAirMacを買うくらいなら、他社製の新品を購入する方が満足度が高いのではないかというのが正直なところ。
ルーターに関しては代替となる他社製品を、Time CapsuleはMacに外付けストレージをUSB接続する運用とするのが現実的な選択でしょう。
なお、AirMacシリーズのサポートは今後も続くとのことなので、特に急がないのであれば、サポート終了まで使ってから買い換えるのも1つの方法です。
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ポストAirMacシリーズ〜今おすすめの他社製ルーターをご紹介〜
とても便利に使える製品だったものの、残念ながら生産終了となってしまったAirMacシリーズ。
では、これからWi-Fiルーターを購入するのなら、どのような製品を選べば良いのでしょうか?
ここでは、その基本的な選び方と、いくつかのお勧め製品をご紹介したいと思います。
最低でも5GHz帯と802.11acに対応していること
Wi-Fiルーターの無線にはいくつかの規格があり、新しいものほど優れた性能を有しています。
現在主流となっているのは、iEEE802.11ac(以下11ac)という規格。
既にこの次の世代となる規格も登場しているので、今から購入するなら最低限11ac対応の機種を選ぶべきでしょう。
また、Wi-Fiルーターの無線は、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯が用意されています。
古い機種や安価な機種は2.4GHz帯のみ対応となっているケースが多いのですが、こちらは電子レンジや近所のWi-Fiルーターとの電波干渉で通信速度が落ちることもあるので、今から買うなら5GHz帯との両対応になっている機種がお勧めです。
予算に余裕があるならメッシュルーターもお勧め
メッシュルーターとは、最近の高級機種に搭載されている機能の1つで、複数のWi-Fiルーターを家のさまざまな場所に置き、ルーター同士を繋ぐことで家のどの場所でも快適に通信出来るようにする技術です。
厳密には異なりますが、簡単に言うと中継器のようなものですね。
何台もルーターを繋ぐと聞くと「設定が難しそう」と思われるかもしれませんが、そこは最新の高級機種ですから、かなり簡便に出来るよう工夫されています。
複数台のルーターを購入する関係上、価格がどうしても高く付きますが、予算に余裕のある方はメッシュルーター機能を搭載した機種もお勧めです。
※ VPNを使う場合や通信速度を重視する場合など、メッシュルーターに向かない環境で使う時は通常のルーターがお勧めです。
お勧め後継機種はGoogle製品
さて、生産終了となってしまったAirMacシリーズですが、代わりとなる製品はあるのでしょうか?
最後に、2019年4月上旬時点でのお勧め代替製品をご紹介したいと思います。
なお、いずれの機種もルーターとして必要な機能は一通り搭載していますが、AirMacシリーズに搭載されていたApple特有の機能(PC/Mac版iTunesからのストリーミング機能など)は、当然ながら非搭載です。
その辺りは、スマートスピーカーと音楽ストリーミングサービスを組み合わせる等、別の方法を模索した方が良いかもしれません。
Google Wi-Fi
GoogleWi-Fiは、その名の通り検索エンジン最大手のGoogleが開発したWi-Fiルーターです。
特徴はメッシュネットワーク機能への対応。
GoogleWi-Fiは単体でも利用できますが、設置場所の環境に合わせて複数台を組み合わせたメッシュルーターとしての運用も可能です。
設定もiOSとAndroid用のアプリが用意されており、それを使えば簡単に完了できます。
メッシュ機能を使いたい方だけでなく、単体運用される方にもお勧めです。
Linksys Velop Whole-Home Mesh Wi-Fi System
2019年4月現在、AppleOnlineStoreで販売されているLinksys社のWi-Fiルーターです。
前述のGoogleWi-Fi同様、専用アプリで簡単に設定が可能。
ただし、Appleから購入してもサポートは製造メーカーのLinksysとなるので、その点は注意しましょう。
まとめ
今では、通信制限を防ぐ救世主?として多くの方が活用しているWi-Fiルーター。
でも、iBookとAirMacがなければ、そうした世界の実現にもう少し時間が掛かっていたかもしれません。
AirMacシリーズの終了は残念ではありますが、Appleも「今後二度とルーターを作らない」と宣言した訳ではないので、今後どのようになっていくかは全くの未知数。
今後のAppleに期待したいと思います。
参考
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1806/26/news006.html
https://japan.cnet.com/article/35118648/
https://japanese.engadget.com/2018/04/28/airmac/
https://ischool.co.jp/2018-05-15/
https://support.apple.com/ja-jp/guide/aputility/aprt9d58dcf1/6.3.9/mac/10.14
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/27/news070.html
https://support.apple.com/ja-jp/HT208753
https://makuring.com/mesh-wi-fi/#Wi-Fi-4
[2019年4月19日アップデート]
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