【業務効率化】RPA導入から運用までをシミュレーションしてみる
この記事では以下のことがわかります
・RPAツールには大まかに計6パターンがあり、目的に応じて最適なものを選ぶことが重要
・自律的にシナリオを作れる組織体制を作る必要がある
・人材が育ってきたら「大規模な自動化」よりも「後進の育成と標準化」を優先する
はじめに
今、ビジネスの現場ではRPA導入の機運が大いに高まっています。しかしRPAの導入を検討し始めてはいるものの、具体的にどのように導入すべきかわからない、あるいは導入したばかりでまだ道筋が見えてこない、という会社・組織も多いのではないでしょうか。
バーチャレクス社の調査によれば、RPA運用に伴う課題として多かったものは
・人材/組織体制が不十分 49.0%
・期待していたほどの効果が出ない/投資対効果がわからない 40.5%
・ツールの機能やUI、操作性に不安・不満がある 34.0%
・変更が発生した場合に時間とコストがかかる 30.0%
となっているようで、いずれも事前準備~導入初期の課題であるように見受けられます。
そこで今回は、RPAツールの導入から初期の人材育成までの流れをシミュレーションして考えていきたいと思います。
まずは「使う」と決める!
何はともあれまず取り組んでみる!ということが大事だと思います。
勢いが重要とか、そういう精神論ではなく、RPAは一般に「小さく生んで大きく育てる」という考え方が重要とされます。無料トライアルなども充実しており、最初に必要なのは「まずはやってみる」という「決断」だけになっているのがうれしい点です。
「転ばぬ先の杖」ならぬ「悩まぬ先の知識」
そうは言っても「とりあえずやってみた」「『これじゃない』とわかった」なんてことを何度も繰り返していられるほど皆さんおヒマではないと思います。
そこで最低限、どのようなタイプのRPAツールを導入するか「アタリをつける」ことが可能になるような知識があったほうがよいかと思います。「シミュレーション」からは外れてしまいますが、その紹介をいたします。
さて、RPAツールは一口に「RPA」とくくられてはいますが、その特性はまず「デスクトップ型」と「サーバー型」に大別されます。最近ではこの区別を明確にするため、デスクトップ型のRPAを特に「RDA」と呼んだりもするようになってきました。
このデスクトップ型とサーバー型の詳しい違いは他サイトに譲るとして、ここではざっくりと「個人で使うならデスクトップ型、組織的に/チーム間またがりの処理を自動化するならサーバー型」ということを覚えておいてください。トライアルではデスクトップ型を導入する事が多いかなと思います。
さらに、RPAはそのルーツによって三つに大別されます。こちらも詳細は別記事に譲りますが、簡単に紹介しますと
・試験自動化ツールから進化したもの
・GUI操作自動化ツールから進化したもの
・Webスクレイピング(データ収集)ツールから進化したもの
といった具合です。御社/貴担当がどのような業務を自動化したいのかによってこれらの中から適したツールを選別していただければと思います。
悩んだら諦めるよりRPAベンダーに頼る
さて、全部で6パターンあるRPAツールですが、昨今世の中には本当に把握できないくらいたくさんのRPAツールがあふれています。
そんな中から自社業務に最適なRPAツールを選ぶのはかなり大変ですよね。
そこで頼りになるのがRPAの導入を支援する「RPAベンダー」です。
現在、RPAについて最も広い見識を持っているのはRPAメーカーではなくRPAベンダーなのではないかと個人的には思っていまして、世の中にあふれかえるRPAツールの中から自社の業務や自動化したい作業に適したツールを紹介してくれたり、一緒に適したツールを探してくれたりするはずです。
まだRPAを使ったこともない状態から自分達だけで探すよりも頼りになる誰かの力を借りたほうがずっと効率がいいと思いますので、是非選択肢の一つに加えてみてください。
導入したら「組織運営」に「悩める」
RPAを導入し、さぁこれから取り組んでいこう!となった時にぶつかるのが「組織運営」の壁です。具体的には「自律的にシナリオ(RPAの動作設定)が作られる組織を作る」「そのために適した人材を育てる」ということです。
前述のとおり、RPAは「小さく生んで大きく育てる」ということが大事です。それは、「小さく生まれたRPA」と「一緒に生まれたRPA技術者」を育てるということでもあります。
私の経験上、RPAの導入は(デスクトップ型の場合は特に)担当者個人の「やってみたい」という気持ちが大事です。「やる気」ではなく「やってみたいという気持ち」であると考えてまして、何が違うのかというと、「やるぞ!」という気持ちより「やってみたい!」という興味や好奇心が大事、という風に思っています。
ぶっちゃけた話、RPAツールを使うのに難しい知識やスキルは必要ありません。「ビジュアルプログラミング」といって、2020年頃からは小学校でも必修科目で教え始めるような視覚的にプログラムを組む機能を使い、ドラッグ&ドロップでシナリオ(アルゴリズム)を構築するためです。
そのシナリオも、かなりのRPAツールには「自動記録」機能がついており、実際の操作を行えば基本的なシナリオは作成できてしまいます。
すると「RPA技術者」には何が求められるか?
それが「自律的にシナリオを作る」ということなのです。
「これをやったらどうなるのだろう?」「この動作はシナリオに記録されるのかな?」という具合に、使いながら新しいことをいろいろ試してみる「好奇心」なのです。
意外に「やってやるぞ!」という意気込みでマニュアルを頭から読み始めるようなタイプは、多様なRPAの機能の中で迷子になって目的地に辿り着けなくなる事態に陥りがちです。
個人のレベルで「挫折しました」なら笑い話で済みますが、組織としてRPAを導入していこう!というときにそれでは、折角の機運もしぼんでしまいますよね。
RPAには多様な動作や機能が用意されていますが、全て覚えなくても大丈夫なのです。あくまで「ツール」であり、目的は「業務が自動化されること」なのですから、まずは小さいところから広く浅くコツコツと、好奇心の赴くままに自動化を進めてみる、そういう人材の育成と、そんな進め方を可能とするような組織運営を心がけましょう。効果の大きいところに取り組むのはもっとあとで大丈夫です。
シナリオが作れるようになったら「人材育成」に悩める
さて、そんな「小さく生んだRPA」と一緒に人材が誕生し、自律的に育ち始めたら、次は「子孫」を育てましょう。すなわち「後継者」ですね。
人材が育ってきたということは、「小さな業務効率化」で少しばかり稼働に余裕が生まれた頃だと思います。そこで生まれた余裕を使って「大きな効率化」を進めるのもいいのですが、私はここで「後継者を育てる」ということをオススメします。
最初に生まれたRPA人材は、いうなれば「RPAネイティブ」です。シナリオの作り方も業務の自動化手法も自己流で、そのネイティブがそのまま「大きな業務効率化」まで進めてしまうと、その部署のRPAプロジェクトは他の人が触ることのできない「RPAネイティブの秘術」になってしまう可能性があります。
それを防ぐためにも、小さなプロジェクトのうちに新しい人を引き込んで「技術継承」を行います。技術継承は同時に、説明する人の思考を整理し「技術の標準化」を進めることにもつながります。一応、ここでも「一子相伝の秘技」にならないよう、「標準化することも目的の一つ」と意識付けを行っておくとよいと思います。そうすることで、後進が育ち、技術も標準化され、RPAの流れをよどみなくスムーズに回すことができるようになります。
おわりに
RPAの導入~人材育成までの流れを紹介してきましたが、いかがでしたか?
いろいろ面倒なようなことを申し上げましたが、冒頭でご紹介したのと同じ調査によれば、導入済みの企業の76%が「RPAの効果を感じている」と回答しているという結果もあります。正しい手順で、いや、間違った手順でさえなければ、RPAは正しく成果を発揮してくれる素晴らしいツールだということの表れではないでしょうか。
今回ご紹介した流れを簡単にまとめますと、
自動化のトライアル(適したツールを探す、RPAベンダーに相談してみる)
→自律的なシナリオ開発を促す組織運営
→浮いた稼働で人材育成と技術の標準化
→更なる自動化
→更なる稼働的余裕
→コア業務に集中して利益率上昇&新規事業への挑戦!
といった具合になります。
もちろん個別の具体的な手段は職場や仕事によってさまざまでしょう。
そこは自分達で試行錯誤するもよし、RPAベンダーに相談するもよしです。
そこのノウハウが組織としての、ひいては会社としての競争力につながります。
ノウハウを活用してRPAツールをうまく使いこなし、コア業務に集中し、ぜひ御社の競争力を強化してください!
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