遂にベールを脱いだAppleのサブスクリプションから目が離せない
Appleは2019年3月25日、米国カリフォルニア州クパティーノにある本社Apple Parkで新サービスに関する発表を行いました。近年、サブスクリプションへの関心が世界中で高まっていますが、Appleも強い関心を持っていることが報じられていました。そんな中、いよいよAppleのサブスクリプションサービスの全貌が明らかにされるということで、この発表は非常に注目を集めました。今回は、遂にベールを脱いだAppleのサブスクリプションについて紹介します。
300種類の雑誌が月額9,99ドルで読み放題になる「Apple News+」
「Apple News+」はすでに提供が開始されているサブスクリプションサービスです。さまざまな出版社の雑誌や新聞、ウェブコンテンツを1つのアプリでまとめて見ることができる便利なサービスです。デザインも非常にこだわって作られています。雑誌の表紙がスムーズに動くライブマガジンカバーは息を飲むような美しさで、スワイプで雑誌をめくるように切り替わる画面は非常に直感的な印象です。操作も難しくないため、誰でも簡単に操作できる作りだと言えるでしょう。
コンテンツは雑誌が中心です。その理由は、Appleが買収したTextureのサービス(200誌以上のオンライン雑誌を購読できるサービス)を中心に「Apple News+」を提供しているからだと言えます。もちろん雑誌だけでなく、ウォールストリートジャーナルやロサンゼルスタイムズなどの新聞も読むことができ、情報収集に特化したサービスであるという印象です。1つのコンテンツからこれほどまで多くの情報を得ることができるサービスは他にはなく、「Apple News+」にかかる期待は非常に大きいものがあります。
iPhoneを前提としたクレジットカード「Apple Card」
「Apple Card」は、ゴールドマン・サックスとマスターカードの提携のもと展開されるApple独自のクレジットカードです。今年の夏からアメリカで利用者を募る計画です。Appleのクレジットカード業界参入は既定路線でした。Appleがポイントカードやクーポン、外部のクレジットカード、チケットを利用できるようにするPassbookを立ち上げた際、その先に独自のクレジットカードを持つことは視野に入っていました。今回Appleが発表した「Apple Card」はあくまでもファーストステップであり、今後新たな機能やメリットと追加しバージョンアップしていくことが予測できます。
「Apple Card」はiPhoneを所有していることを前提に発行するクレジットカードです。マスターカードが使えるお店でも使えますが、アクティベートにはiPhoneを使用します。Apple Payによる購入を行うとキャッシュバック率が倍になる仕組みです。Appleプロダクトの購入でキャッシュバック率は通常の3倍になるため、現時点でAppleプロダクトをよく購入している人は発行して損はないカードだと言えるでしょう。
「Apple Card」はこれからクレジットカードを持つ可能性が高い若年層をターゲットにしているカードだといえます。iPhoneがなければ利用できない点からも、iPhoneが生活の中心となっている若者に利用してもらいたいという考えが窺えます。
現段階では日本で「Apple Card」が利用できるかは未定ですが、提携会社のゴールドマン・サックスの幹部が「Apple Card」の国際展開を検討しているという話もあります。日本は世界的に見ても圧倒的にiPhone利用者が多い珍しい国です。「Apple Card」が参入する可能性も十分にあるでしょう。
100以上のゲームが家族で遊び放題になる「Apple Arcade」
「Apple Arcade」は、モバイル、デスクトップ、リビングで楽しめる世界初のゲームサブスクリプションサービスです。坂口博信、ケン・ウォン、ウィル・ライトといった多くの著名クリエイターのオリジナル作品を含む、100を超える独占公開の新作ゲームを提供します。あらゆる年齢層のプレイヤーにも魅力を感じられるゲームであり、追加課金や広告の心配もなく全てのゲームを制限なくプレイできるのです。
現時点でもApp Storeにはたくさんのゲームがあり、世界で最も活気のあるゲームプラットフォームになっています。ゲームの多くが広告やアプリ内課金によって支えられており、世界中で何億人ものプレイヤーが楽しんでいます。「Apple Arcade」は今よりも気軽にあらゆる年齢層の人が楽しめる最高のゲームプラットフォームになると考えられているのです。
動画のストリーミングとApple TVを組み合わせたサービス「Apple TV+」
「Apple TV+」は、全く新しいApple TVアプリケーションで利用可能なAppleオリジナルのビデオサブスクリプションサービスです。他では見られないオリジナルの番組も多数配信させる予定で、バラエティに溢れる番組を視聴できます。「Apple TV+」は今年の秋に公開される予定です。世界で有名なクリエイターたちが作り上げるテレビ番組、映画、ドキュメンタリーを楽しむことができます。また搭載されたAIによって、視聴者の好みの新番組を勧めてくれたり、予告編など最新情報にアクセスしたりすることができます。
今回の発表で明らかにされたのは、Appleのオリジナル番組に参加するクリエイター達です。スティーブン・スピルバーグ、M・ナイト・シャラマン、ロン・ハワード、ソフィア・コッポラ、オクタヴィア・スペンサー、リース・ウィザースプーン、ジェニファー・アニストン、デイミアン・チャゼルなどがスクリーンに映し出されています。気になるコンテンツに関する情報ですが、踏み込んだ情報は示されませんでした。説明は多く行われましたが、断片的なイメージが示された程度で、具体的な内容は示されませんでした。
今後Appleは、ネットフリックスなど大手ストリーミング配信サービスを提供している会社と激しい争いを繰り広げることでしょう。Appleが用意しているという20億ドルの資金は、ストリーミング業界では決して多いものではありません。その証拠にネットフリックスは、Appleの6倍ほどの資金を投じていると言います。今後、Appleがどのようなサービスを展開していくのか注目です。
新しいApple TVアプリ新サービス「Apple TV Channel」
新しい「Apple TVアプリ」とこのアプリで利用できる新サービス「Apple TV Channel」が発表されました。「Apple TV Channel」は5月よりサービスが開始しています。Apple TVではこれまでもHBOなど提携パートナーのコンテンツを視聴できましたが、新サービスによってその幅を広げることになるでしょう。従来は、Apple TVに「HBO Now」などのアプリを追加し、コンテンツはアプリを通して購入しなければいけませんでした。新しいサービスを利用すれば、アプリ上に提携パートナーのコンテンツが直接並ぶので、ユーザーはアプリを追加することなくコンテンツを購入できるようになります。今まではそれぞれのアプリでアカウントとパスワードを設定しなければいけませんでしたが、その手間も省くことにつながるのです。新しいApple TVアプリは従来のものよりも格段に使いやすいものとなっています。
まとめ
Appleは今回の主に5つの新サービスの紹介を行いました。雑誌、ゲーム、映像サービスなど、これまで上手に取り込むことができなかった分野の新サービスを発表しており、的確なターゲティングができていることが窺えます。とはいえ、上記の分野はすでにたくさんの会社が展開しており、今後熾烈な競争が行われることが予想されます。
Appleの売り上げはおおよそ6割がiPhoneです。新サービスの中にも、iPhoneと結びつけて展開するものが多く、iPhoneを中心にサービスを動かしていこうという考えを持っていることがわかります。新サービスの多くが秋からとなっており、今後どのように売り上げが推移していくのかその動向に注目です。
参考サイト
https://japan.cnet.com/article/35135229/
https://japanese.engadget.com/2019/03/26/apple/
https://www.gizmodo.jp/2019/03/apple-news-plus-subscription.html
https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/03/apple-introduces-apple-arcade-the-worlds-first-game-subscription-service-for-mobile-desktop-and-the-living-room/
https://www.gizmodo.jp/2019/03/apple-card-global.html
https://jp.techcrunch.com/2019/03/30/2019-03-28-how-apple-card-works/
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