新しいメールの形!Google AMP for Emailとは
Googleは2019年3月26日にGoogle AMP for Emailを一般公開しました。AMP for Emailによって新しいメールの形に変わり、従来の静的なツールからダイナミックなメディアへと移り変わることが期待されています。1年以上前にGoogleがAMP技術をメールへ導入し、Google AMP for Emailが公開されるまでの間にどのようなことができるようになったのでしょうか。この記事では、AMP for Emailによって変化するメールというツールの概念やその仕組を解説します。
どう変わる?新しいメールとされるGoogle AMP for Emailとは
Googleが定義するダイナミックかつ対話的なスペースとは、一言で表現すれば静的なメールとWebコンテンツの融合です。GmailのプロダクトマネージャであるAakash Sahney氏は「メールは相変わらず静的メッセージのままで、時代遅れなシステムになりつつある。」と話しており、メールというツールの変化の必要性を公表していました。
現在のメールはメッセージの返信や必要なデータを探す際に、必ず別のWebコンテンツにアクセスする必要があります。共有したい写真やURLなどの情報は、ブラウザから検索するのが一般的です。
しかし、Google AMP for Emailを利用すれば、別ウィンドウでWebページを表示する手間なく、すべてをメールで完結させることができます。「メールとWebコンテンツは別で操作するもの」という概念から、「ダイナミックかつ対話的なスペース」という概念に変えることがGoogle AMP for Emailに与えられた役割です。
Google AMP for Emailに採用されているAMP技術とは
Google AMP for Emailという名称にもあるように、このサービスの特徴は「AMP(Accelerated Mobile Pages)」というシステムが採用されていることです。AMPとはGoogleが推進するモバイルページの表示を高速化させる手法を指し、コンテンツのリソースサイズを限定することで読み込みの時間を短縮できるようになります。ニュースメディアや食べログ等の情報サイトではすでに採用されており、スマートフォンなどの端末でGoogleにて検索したあとに表示される画像つきのカルーセル表示や雷マークのついたWebコンテンツは、すでにAMPが実装されていることを意味しています。
一般的に検索結果として表示されるWebコンテンツはクライアントからの要求に対して、ページがあるウェブサイトへのアクセスをします。しかし、AMPが実装されている場合はAMP CacheというAMPページを配信するために用意された配信ネットワーク(CDN)によってキャッシュされるため、大幅に情報を表示するまでの時間を短縮できるのです。
Google AMP for Emailでメールが対話になる
Google AMP for Emailを利用することで、アカウントの紐付けによって、Google DriveやGoogle Photos、Googleカレンダー対するコメントのやり取りをチャットのような形式で表示することも可能になります。チームメンバーで企画書を作成している場合には、ドキュメントやスプレッドシート、スライドなどの様式に打ち込まれたコメントをリアルタイムでGoogle AMP for Emailに表示させて、その場で返信や解決といったアクションをおこなえます。
これまでのメールと比較してみると、メールを確認し、Google DriveやGoogle Photos、Googleカレンダーなどのツールに対してコメントを返し、またメールを作成するという大きな手間を省けるわけです。
Pinterestの写真をボードに追加する
ネット上のコンテンツにある画像を、自分のボードに集められるサービスであるPinterestもすでにAMPが実装されています。Pinterestをスマートフォンなどの媒体で利用する際は、アプリやブラウザ上にお気に入りの写真が集められているためメールと直接リンクさせることができません。そのため、お気に入りの写真を共有したい場合は、アプリやブラウザ上の写真を一時保存し、作成したメールに添付する必要があります。
しかし、PinterestはすでにAMPが実装されているため、Pinterestから送られてくるメールを開くだけで画像が表示され、その場でお気に入りのものを探しながら保管することができ、添付する場合もPinterestをアプリやブラウザで呼び出す必要がありません。
Google AMP for Emailはマーケターの新たな武器になる
Google AMP for EmailはPinterestのほかにも、Booking.comやDoodle、Freshworks、Nexxt、OYOなどの企業が採用しています。Booking.comであればGmailの画面1つでホテルの選択から宿泊予約まで、Doodleの場合はスケジュール管理までをおこなえます。このような有力企業がGoogle AMP for Emailを採用する理由は、ユーザーがメールからWebサイトへ遷移する手間を削減することで、コンバージョン率の増加を見込むことができるためです。Webコンテンツを利用する目的はさまざまですが、ユーザーの手間はどんなマーケターにとっても大きな障壁となります。その障壁をGoogle AMP for Emailは、Webコンテンツを開く手間をなくすという方法で実現してくれるわけです。
また、メール自体に入力フォームを付与する、予約フォームやアンケート機能などをつけることも可能であり、Yahoo MailやOutlook 、Mail.ruのようなサービスもAMP for Emailをサポートすることが明らかになっているためユーザーの数にも問題はありません。ただし、コンテンツのリソースサイズを限定するAMPが採用されていることは、常に念頭に置かければなりません。ニュースメディアや食べログ等が運用を開始していることからもわかる通り、提供するデータには制限があり、GoogleもAMPがあらゆるタイプの静的なウェブコンテンツで大きな効果を発揮できると公表しています。メール自体に入力フォームを付与する、予約フォームやアンケート機能などをつけることでコンバージョン率の増加を見込むことができる反面、常にAMPの利用に適した情報かを分析する必要があるのです。
まとめ
AMP for Emailによって、メールは従来の静的なツールからダイナミックなメディアへと移り変わます。ユーザーにとってはGoogle DriveやGoogle Photos、Googleカレンダー対するコメントをチャット形式で操作できる、Pinterestで画像を選ぶ際にアプリやブラウザを利用する必要がなくなるといったメリットが生まれます。また、マーケターにとっても、ユーザーがメールからWebサイトへ遷移する手間を削減することで、コンバージョン率の増加を見込めるという利点があります。
このようにAMP for EmailはメールからWebコンテンツへ移行するというたった1つの手間を減らすことで新しいメールの形を提供し、従来のツールという概念からメディアへと、イメージそのものを変革していくのです。
参考サイト
https://japanese.engadget.com/2019/03/28/google-amp-for-email/
https://jp.techcrunch.com/2019/03/27/2019-03-26-google-makes-emails-more-dynamic-with-amp-for-email/
https://www.suzukikenichi.com/blog/google-launches-amp-for-email/
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1176705.html
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/27/news064.html