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ゲームだけじゃない Unityのビジネス利用事例紹介

スマートフォンでゲーム、していますか? “ゲーム機を買う”時代だった前時代と比べ、手元の端末でしかも無料でゲームができる2020年の現在、いまだかつてなくゲームが身近になっています。そして実はゲームの開発技術も身近になっています。
ゲームを作るためのエンジンが無料で使え、さらにその技術がゲーム以外にも使われるようになってきました。Unityにはどんな機能があって、どのように使われているのでしょうか。
ちょっと意外(?)なところに使われているゲームエンジンの事例をまとめました。

この記事でわかることは以下の3つです。
・ゲームエンジン「Unity」とは
・Unityの機能
・Unityのビジネス利用事例

ゲームエンジン「Unity」とは

まず、ゲームエンジンとは、ゲームを作るために用意された開発環境のことです。ゲームを作るのに必要な機能がそろえてあり、ゲームエンジンを利用すれば、自分でさまざまな機能やパッケージを探してきてインストールしたりしなくてもゲーム開発を始めることができます。
そして「Unity」とは、ユニティ・テクノロジーズが提供するゲームエンジンで、リアルタイム3Dの開発ができるプラットフォームです。2D、3D、VR/ARの開発を行うことができます。Unityは世界中で広く使われており、モバイルゲームの50%はUnityによって作られています(1)。
個人向け(過去 12 カ月の収益・調達資金が 10 万米ドル以下であることが条件)では無料プランを利用できるのも大きな特徴です(
2)。

Unityの機能

Unityは2Dでも3Dでもゲームを作ることができます。Unityにどのような機能があるのかを紹介します。

リアルタイム開発プラットフォーム

ゲームを作るための開発環境が用意されています。Unityのプラットフォームでは、3Dのビュー画面で、作った実際のゲーム画面を見ながらゲームを作成していくことができます。これは無料プラン含め全てのライセンスで利用できます。

Sceneビューでオブジェクト作成

ゲーム作成は、Unity操作画面のSceneビューで視覚的に行うことができます。Sceneビューに、キャラクターやアイテム、背景要素などのオブジェクトを配置し、そのオブジェクトに対して動きや性質を設定していきます。
ジョイスティック、ゲームパッド、キーボード、マウス、モバイルでのタッチスクリーンや加速度センサーでの動きをゲームのインプットに設定することができます。

ゲームのイベントはスクリプトで書ける

インプットを受け取ったりオブジェクトの動きをコントロールしたり、ゲーム内で起こるイベントに関してはスクリプトを使って組むことができます。
Unityがサポートするスクリプト言語はC#言語です。以前はJavaScriptやBooも使えたのですが、2020年1月現在の最新バージョンではC#のみとなっています(*3)。

グラフィックレンダリング

ゲームの中の世界を作るのに、照明、地形、樹木や表面のテクスチャーなどのグラフィックは必要不可欠です。そうしたグラフィックもUnityでは簡単に編集・レンダリングができるようになっています。視点を設定できるカメラも複数置くことができます。
また、外部機器で作成されたビデオクリップの取り込みもできるので、重いレンダリング処理をせずに高画質な映像を組み入れることもできます。

オーディオ機能

バッググラウンドに流れる音楽や効果音をつけることのできるオーディオ機能があります。フル3Dサウンド、リアルタイムでのマイク機器からの取り込み、マスタリング機能、ミキサー、エフェクト音などの設定ができます。

その他、アニメーションや経路ナビなど多彩な機能がある

このほか、アニメーション作成機能や、ユーザーインタフェースを設定できる機能、ゲーム世界で動き回る経路をナビしてくれるナビゲーションシステム機能があります。
そして、VR/ARコンテンツ作成のためのさまざまなサポート機能があります。

Unityのビジネス利用事例

ゲーム開発に必要な機能をそろえているUnityですが、ゲーム以外への活用とはどのようなものなのでしょうか。

建設業での「リアルタイムBIM」

Unityには、プラグイン機能を使うことでBIMデータを取り込むことができるようになっています。
BIMとは3Dモデリングツールで、建築設計のモデル作成や図面・施工管理などに使われています。
Autodesk社のBIMの「Revit」、レンダリングソフトの「3ds Max」とのデータ連携ができ、建造物のモデルをレンダリングしてリアルタイム3Dで見ることができます。
これにより、実際に建造物を作る前でも実物(予定)を見て確認することができます。高度なレンダリング機能と、実際に建物を見渡しているかのような視点の移動ができるので、施主との建造物のイメージの確認、新築物件の不動産販売時の顧客プレゼンテーションに使われています(*4)。

AR機能を使い、建設予定地での建造物イメージ確認も行うことができます。こうして設計中にイメージの確認を行うことで、顧客の要望の取り込みや改善を繰り返し行うことができ、設計品質の向上、余計な手戻りをなくせるためコスト削減が実現できたといいます。

また、建設現場で施工に関わる技術者への技術教育の一つとして使われる例があります。
このケースでは、インタラクティブな3D空間で実際に操作をしてみることができるので、訓練時の安全の確保や技術向上が期待できます。

自動車業界の未来に技術貢献

自動車の設計でUnityでのVR機能を使うことによって、出来上がり時の車内環境の確認を目で見て行えます。
また、運転席にいながらにしてビューモニターで車外の状況や運転環境の確認を行えるようになるという技術にもUnityが使われます。(5)
また、Unityは来たる自動運転技術のシミュレーション開発にも使うことができるプラットフォームです。Microsoftの開発するAirSim(自動運転システムのシミュレーター)と連携することができる「AirSim on Unity」が2018年に発表されています。Unityのアセットストア(
6)でダウンロードできるさまざまな環境のアセットを利用して、自動車・ドローンをターゲットにリアルで複雑な運転環境を作り上げることができます。

新しい体験を提供する広告

商品のパッケージにスマホをかざすとAR動画が見られる、という広告が日本でも少しずつ広まってきています。UnityはそうしたAR広告作成にも使われています。
コカ・コーラ社は、自社製品の缶・ペットボトルにスマホをかざすとARコンテンツが表示されるというアプリを提供しています。このAR広告は、Unityで開発されたものです。
また、BMW 8シリーズクーペのプロモーションにもUnityを使ったリアルタイムレンダリング映像が採用されています。

これからの時代の広告は、もはやただ目を引くためのポスターやブランドイメージの訴求にとどまらず、消費者に新しい体験をもたらすことが重視されるようになるでしょう。Unityは高いリアルタイム性と高度なレンダリング機能で、そうした新しい広告の開発に適しているといえるでしょう。

参考リンク
(1) https://unity3d.com/jp/public-relations
(
2) https://store.unity.com/ja/#plans-individual
(3) https://docs.unity3d.com/ja/2019.2/Manual/CreatingAndUsingScripts.html
(
4)https://unity.com/ja/solutions/architecture-engineering-construction
(5)https://blogs.unity3d.com/jp/category/automotive/
(
6)https://assetstore.unity.com/


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