ARCHICADとAutodeskのRevitの機能を比較してわかること
CADソフトの導入を検討する人は増加傾向にありますが、問題となるのがどのCADソフトを使用すれば良いのかという点です。
今やCADソフトにはいくつもの種類があり、どれも最新のアップデートを頻繁に行っているため、性能も側から見れば似たり寄ったりで、イマイチその違いを実感することが難しくなっていることも確かです。
今回はそんなCADソフトの中でも人気のあるARCHICADとAutodesk Reditに注目し、それぞれの特徴や、二つのソフトの違いについてご紹介していきます。
ARCHICADについて
ARCHICADは、オランダのGRAPHISOFT(グラフィソフト)から販売されている、使い勝手を追求し続ける30年来の3DCADソフトです。
BIMの運用を想定したCADソフト
ARCHICADが当初から取り組んできたのは、BIM(Building Information Modeling)の運用に特化したソフトウェアの実現です。2Dや3Dでの作図設計はもちろんですが、BIMの対応も実現することによって、合理性の高いワークフローを提供してくれます。
BIMの導入によって得られる大きな変化として、情報共有の正確性やスピード、そして業務の効率化を一気に推し進めてくれる点です。従来のCADソフトの場合、3Dモデルとそれに付随する素材や建築物の具体的なデータは別個に保管していたため、編集や変更の必要性があった場合、別個に作業を行う必要がありました。
しかしBIM対応のツールを導入すれば、3Dモデルとそれに付随する情報をモデルの中にそのまま組み込むことができるようになるため、データの統合的な管理が可能になります。
また、データは相互に連動しているため、編集が必要になっても別個に作業を行う必要がなくなり、業務効率は飛躍的に向上することが期待できます。
BIM対応のツールは今最も業界から注目されているテクノロジーの一つで、欧米圏だけでなく、経済発展が著しい東南アジアでも運用が進んでいます。
クラウドサービスやデータアクセスツールも備える
また、ARCHICADは基本となるツールの他に、クラウドによるデータ管理サービスと、データアクセスのサービスも備えている点が特徴です。
クラウドによってBIMデータを容易に共有できることで、リアルタイムで複数人が同一データを編集することができ、プロジェクトの進捗をしっかりと管理することも可能になっています。
また、データアクセスツールを運用することで、BIMデータのプレゼンテーションへの運用も容易にするなど、データの運用方法をより汎用的にすることにも成功しています。
Autodesk Revitとは
一方、Autodesk(オートデスク)が提供するRevitは、BIM運用に特化しているだけでなく、設計意図を効率的かつ正確に3Dで視覚化 してくれるということで、非常に高いパフォーマンスを期待することができるのが特徴です*1。
積極的なBIMツールの運用を推進
Autodeskは様々なソフトウェアを販売する企業ですが、CADソフトもRevitとは別に販売されています。
Revitは特にBIMの運用に特化したソフトとなっており、建築に関する設計・作図作業はRevit一台で全てのワークフローをこなすことができるよう設計されています。
また、Revitでは単なる設計にとどまらず3Dビジュアライゼーション機能を使用し、実際に設計した建築物がどのような外観となるのかという、完成予想図も生成することができるようになっています。
頭の中のイメージだけでなく、視覚的に設計を進めていくことができるのも、Revitの特徴です。
AutoCADと合わせてより強力に
Revitは姉妹ソフトであるAutoCADと相互に運用が可能となっているので、より効率的で複雑な作業も行うことができます
AutoCADもAutodeskが販売するソフトの一種ですが、こちらは建築に限らない、あらゆる作図に対応する、汎用性の高いソフトとなっています。
AutoCADで作成したデータ、あるいはRevitで作成したデータを、相互的にそれぞれのソフトで運用することができます。
ARCHICADとRevitの違い
そんなARCHICADとRevitですが、具体的な違いとしてはどのような点が挙げられるのでしょうか。
機能性の違い
具体的な機能性の相違としてまず挙げられるのは、レイヤー機能の有無です。ARCHICADの場合、レイヤー機能が搭載されているため、3Dモデルといえどもレイヤーから特定の壁や建材などを指定することができるようになっているため、効率的な作業が可能です。
一方、Revitの方にはレイヤー機能が搭載されておらず、パーツを指定したい場合は直接そのパーツをクリックして選択する必要があります。
あるいは、ARCHICADにはどんなシチュエーションにもとりあえず使える汎用ツールが豊富に用意されているのに比べ、Revitはシチュエーションごとに最適のツールを用意する専用ツールが揃っているという点も大きな違いです*2。
対応OSの違い
明確な違いの一つが、対応OSの違いです。ARCHICADはWin・Mac両機に対応している一方、RevitはWin専用のソフトとなっているため、自社でMacを運用している場合は使用することができません。
OSの対応については事前に把握し、自社の環境にあった方を選ぶようにしましょう。
ARCHICADとRevitのどちらを選ぶべきか
OSの問題を考慮せず、二者択一ならどちらを選ぶべきなのでしょうか。
初めてのBIM運用ならARCHICAD
選び方の一つのポイントとして、初めてBIM対応CADソフトを運用するならARCHICADは多くの利点を含んでいます。
CADソフトにはおなじみのレイヤー機能を備えていますし、ソフトだけでなくクラウドサービスなども豊富に用意されているので、運用環境を整えたり、ソフト移行もスムーズに進められることが期待できます。
Autodesk製品を他にも扱うならRevit
ただ、すでに他のAutodesk製品を運用している、あるいは運用を予定している場合はRevitの方が都合が良いこともあります。
Autodesk製品はバリエーションが豊かなほか、相互運用も可能なため、機能の拡張や縮小も思いのままです。
また、感覚的なBIMツールの運用も実現しているので、CADソフト環境を刷新したい場合にも大きな革新をもたらすことができるでしょう。
出典:
*1 Autodesk「Revit 多分野対応 BIM ソフトウェアでプロジェクトの大きな成果 」
https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview
*2 大塚商会「<RevitとARCHICAD>操作方法の違いに戸惑うが……【BIM再入門-最適なツールの正しい使い方/第1回】」
https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/contents/business-oyakudachi/cad-lecture/2016/201604.html
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