Apple watchS6とApple watchS5のちがいをじっくり比較
今年9月、Apple Watchの新製品であるS6(シリーズ6)が発売されました。旧シリーズのユーザーなら、どんな新機能が追加されているのか気になるところです。
まだ持ってない方にとっても、同時期に発売されたSEや低価格モデルとして現行品であるS3との違いがポイントになるのではないでしょうか?
どちらにしても、Appleユーザーのサガとして新製品が出るたびに、「買い」か「待ち」かやきもきしてしまいます。
今回はS6とその他の製品との違いをじっくり比較してみましょう。
この記事でわかること
・Apple Watch S6の特徴について
・Apple Watch S5との違い
・現行品のラインナップと特徴
Apple Watch S6の特徴
2019年発売のシリーズ5から約1年が経過し、どのような進化を遂げているのかが最も気になるところです。マイクロLEDの採用などが噂されていましたが、今回のシリーズ6では見送られたようです。シリーズ6で進化した部分は大きく次のような点です。
・チップが進化し処理能力が向上したこと
・カラーバリエーションが増えたこと
・血中酸素濃度を測定する機能が追加されたこと
最新チップの採用で処理能力が20%向上
細かくブラッシュアップされた点は他にもいくつかありますが、大きく上記の3点が注目されるところです。特にチップ能力の進化は、毎日繰り返される操作感の向上に繋がる重要な部分ですので、新型モデルを選択するときの一番のポイントと言ってもいいところではないでしょうか。
シリーズ6は、ハード構成や基本機能については以前とそれほど違いが有りませんので、処理能力の向上はそのままパフォーマンスに反映されそうです。 しかし実際のレビューなどでは、操作性に関してシリーズ5と大きな違いは感じられないというものが多いようです。
本来はiPhone11に搭載されたA13チップをベースとして、Apple Watch用にカスタマイズされたシリーズ6は、従来よりも約20%処理能力が向上されたというのがAppleの公式発表です。
まだ使い込んでみないとわからない部分もあるかと思いますが、実用上の感じとしてはシリーズ5と同程度とみて良いようです。*注1
もちろん、操作感については使用状況によっても異なりますので、人によって微妙に感じ方が違うかもしれません。
また、ベースとなる処理能力が上がっているからこそ、新機能が追加されたり、それぞれのアプリの性能が向上していても、これまでと同等の処理が可能になっていると言えるのかもしれません。
どちらにしても、64bitデュアルコアというS6チップを搭載したシリーズ6モデルは、現行品のApple Watchシリーズの最高峰であることに間違いはありません。
赤と青のカラーバリエーションが追加された新ラインナップ
今回、「(PRODUCT)RED」と「ブルーアルミニウム」という2色が追加され、カラーバリエーションが豊富になりました。
「二つとない色を、二つ加えました。」がAppleのキャッチコピーです。
「ちょっと何言ってんのかよくわかんない」感じのキャッチですが、カラーバリエーションが増えるのは選択の幅が広がりますので良いことです。
実際のカラーバリエーションはケースの素材によって若干異なります。
◯アルミニウムケース
シルバー・スペースグレイ・ゴールド・ブルー・(PRODUCT)REDの5色展開
◯ステンレススチールケース
シルバー・グラファイト(DLC)・ゴールド(PVD)の3色展開
◯チタニウムケース
チタニウム(シルバーに近い色)、スペースブラック(ブラックに近い色)の2色展開
なお、上記はセルラーモデルのカラーバリエーションですので、GPSモデルの場合アルミニウムケースのみが選択できるようになっています。
他にもナイキモデルやエルメスモデルなどの特別仕様もラインナップされています。エルメスモデルは13万円オーバーからとちょっとお高いですが。。。
今回追加された、ブルーアルミニウムか(PRODUCT)REDを選びたいのであれば、アルミニウムケース一択になります。
しかし実際のところケースのカラバリってどうなんでしょう?
通常、視認する画面の大部分は液晶になるわけですし、裏面は手首に密着して見えませんので、側面部分だけが色を認識できる場所になります。
それであればバンドをチョイスする方がカラーを楽しめますし、主張もできる気がしますが皆さんはいかがでしょう?
血中酸素濃度を測定する機能が追加
シリーズ6でAppleが一押ししている機能が「血中酸素濃度が測定できる」点です。
TVCMでは、未来を提示するAI的な女性音声が「理想の機能」を次々に紹介し、それがすでにApple Watchで実現されている、というストーリーが展開されています。
その最後にくるのが、血中酸素濃度を測定する機能です。
AIは宇宙飛行士が腕につけているApple Watchで、すでに血中酸素濃度が測定できることを知ってギブアップするという話です。
Appleの公式サイトでも一番最初に紹介されている機能であり、間違いなくシリーズ6最大の目玉という位置づけでしょう。
私は最初「血中酸素濃度が測定できる」と聞いたときは正直「ちょっと、何言ってるのかわからない?」と思いました。
脈拍や体温ならまだ理解できます。
脈拍や体温の場合であれば、手首に密着したApple Watchのセンサーで物理的に測定すればいいからです。
それが今回、血中酸素濃度を測るというんです。
血液の中にどれだけ酸素が含まれているかをどうやって測定するんでしょう?もう、魔法の類じゃないですか?
詳しく調べてみると、「パルスオキシメーター」というものでLEDを発光させ、反射した光をとあるアルゴリズムで解析すると、血中酸素濃度が測定(推定)されるという仕組みのようです。
Apple Watchの裏面から注射針が伸びて、血液を採集するのではないみたいですね。
ああ、良かった。*注2
冗談はさておき、この血中酸素濃度の測定や脈拍などを総合的にトレースすることで、呼吸障害などの深刻な状態を早期に発見することができます。
通常95%以上が普通とされる血中酸素濃度は、90%を下回るとさまざまな障害が発生する危険があります。
低酸素の傾向が見られるとアラートで知らせるなどアプリとの連携が進めば、このような健康障害を未然に防ぐことが可能となるでしょう。
また、最近の脅威となっている新型コロナウィルス感染の把握についても、役に立つかもしれないという報告もあります。
新型コロナウィルス感染者の特徴として、血中酸素濃度が著しく低下してもそれを体感できないということがあるそうです。
感染者の中には、血中酸素濃度が50%程度に低下しても息苦しさを感じないことがあり、それが理由で重症化に気がつかないという深刻な事態もあるようです。
Apple Watchの血中酸素濃度測定機能によって、重症化する前に体内の異常に気付くことができるなど、応用が期待されるところです。
登場当初のApple Watchは、「なんとなくおしゃれ」であり、「手軽な通信手段」というコミュニケーションツールの新形態というポジションでした。
それが今や、ウエルネス・フィットネスに欠かせないツールとなっており、新たな魅力を増しています。
今回の新機能搭載で、よりその側面を強調してきたのは明らかであると感じられます。一体、これから先はどんな新機能を見せてくれるのでしょうか?想像がつかないですね。
その他の改善点
これまで紹介した以外にも、細かなバージョンアップが施されています。
バッテリーについても、充電時間が短くなり1.5時間でフル充電することが可能になりました。
また、公称でのバッテリー持続時間は18時間と、これまでと同じなのですが、実際のユーザーからは若干持続時間が伸びているとの報告もあります。
チップ性能の向上など、ハード的には進化しているにも関わらず、バッテリーの持ちが良くなったのはありがたい進化です。
液晶の常時ONの機能はシリーズ5から変わりませんが、待機状態での輝度がアップしているとのことです。
そのため画面に触れていない状態でも、ある程度視認性が向上していることが期待されます。
しかし、このあたりは実用上それほどの違いは感じられないかもしれません。
まあ、「ないよりはある方がいいよね」という程度でしょうか。
Apple Watch S5との違い
これまで紹介した内容がそのままApple Watch S5との違いになります。
チップ性能が向上し、充電時間が短縮、さらにカラーバリエーションが豊富になり、新しく血中酸素濃度の測定機能が搭載されました。
いかがでしょう?Apple Watch S5のユーザーにとって、すぐに買い換えるほどのモチベーションにはなりにくいかもしれませんね。
フィットネス以外の部分についてはほぼ変化がありませんので、メールチェックなどのコミュニケーションツールとしての違いは感じられないでしょう。
今回、前述した内容以外にもファミリー共有設定という機能が新しく登場しました。
これまでは1台のApple Watchに対して、1台のiPhoneでペアリングする必要がありました。
そのため、複数のApple Watchを所有している場合、台数分のiPhoneを準備しなくてはいけません。
今回、これが1台のiPhoneで複数のApple Watchをペアリングすることができるようになりました。
個人で複数台のApple Watchを使い分ける場面は想定しにくいのですが、子供や高齢者がいる場合、この機能が便利かもしれません。
行動追跡やヘルスチェックなどが1台のiPhoneで管理できますので、万が一の時にすぐ対応できるようになりそうです。
ただし、必要台数分のApple Watchを購入しなくてはいけませんので、かなり費用がかかりそうですが。。。
現行品のラインナップと特徴
現在、Appleが販売している現行品はS6・SE・S3の3種類です。
それぞれにカラーバリエーションや素材の違いがあり、さらにスペシャルエディションなどもラインナップされていますので、やや複雑ではあります。これらについても簡単にまとめておきましょう。
とりあえず、現行品で最高スペックを求める方は、有無を言わさずS6を選択しましょう。
あとは、通信機能があるセルラーモデルかiPhoneと一緒に使うことを前提としたGPSモデルにするかが大きな違いとなります。
どちらにするかが決まれば、カラーと素材を選択して完了となります。
こだわりのある方であれば、ナイキモデルやエルメスモデルなどもありますので、その辺りは予算に合わせて検討してください。
次にSEですが、まず何と言っても低価格で十分な機能を持っていることが魅力です。チップはS5と同じですので、S6よりも劣っていますが実用上の問題は少ないでしょう。
カラーバリエーションが少ないこと、素材の選択肢がアルミニウム一択であること、血中酸素濃度など今回新機能がないことなどがS6との違いになります。
逆にいうと違いはそのくらいであり、それ以外の機能はS6とほぼ同程度で操作性も十分満足のいくものになっています。
今回新たに購入するユーザーで、予算を抑えたいという方には最適な選択肢ではないでしょうか。
S6とSEでは、セルラーモデル同士を比較すると約2万円の差がありますから、その分バンドなどの付属品に予算をかけることができます。
最後にS3ですが、こちらに関してはセルラーモデルがありません。
GPSモデルだけになります。通信機能が必要なく、その他の機能についても必要最小限で良いというなら、S3も選択肢の一つになるかもしれません。
しかし、頑張ってあと1万円追加すればSEのGPSモデルに手が届きます。
もし私が現行品の中で一つ選ぶとしたら、選択肢からは外れそうな気がします。
【まとめ】
Apple Watchシリーズの中で、一定の完成形とも言える今回のS6について、じっくりとまとめてみました。
実際に購入を検討するとした場合、セルラーかGPSか以外にもカラーや素材など豊富な選択肢があり、頭を悩ませそうです。
実際、私の友人にも冬のボーナスをあてにして購入する予定の人がいますが、いまだにSEかS6か決断がつきかねているようです。
登場当初はかなり高価格設定だったため、なかなか手が出しにくかった Apple Watchですが、SEの登場で検討をする人も増えているようです。
これを機に、皆さんもぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。
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■参考文献
Apple 「あなたにぴったりのApple Watchは?」
https://www.apple.com/jp/watch/compare/
注2
WIRED 「Apple Watchに搭載された「血中酸素濃度センサー」は、新型コロナウイルス感染症を検知できるのか?
https://wired.jp/2020/09/18/apple-watch-oximeter-covid-19/