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デジタルツインとは?事例を交えてわかりやすく解説します

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

①デジタルツインの概要とメリット
②デジタルツインとシミュレーションの明確な違い
③製造・建築・国政におけるデジタルツインの事例

「デジタルツインとは何だろう」
「デジタルツインで具体的にどんな変化があるの?」

とお悩みの方へ。デジタルツインは、現実空間をサイバー空間でリアルタイムに再現できます。製造業をはじめ様々な業界で注目されており、IoTや5G、AIなどが結集して生まれた新しい技術です。

この記事では、デジタルツインの概要やメリット、事例について解説します。

デジタルツインの基本とメリット

まずはデジタルツインの概要と、期待されているメリットを見ていきましょう。

デジタルツインとは技術のことである

デジタルツインとは、現実世界の情報をリアルタイムで収集・分析して、サイバー空間で再現する技術のことをいいます。デジタル空間で現実世界を再現することで、まるで双子(ツイン)のような状態を作ることが可能となりました。

具体的なメリットは後述しますが、このデジタルツインは製造業や建設、さらには国政にまで導入が始まっていて、私たちの生活の質が向上するよう動いているのです。

デジタルツインという技術は、今日本でも注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)にも大きく影響します。

最近では多くの企業が進化してデジタル技術を活用するDXを進めています。企業HPのアクセス紹介ページでは当たり前のようにGoogle Mapが埋め込まれていますし会員サイトのログインはSNSアカウント情報を使えますが、これらもDXの為せる業です。

今日では技術の進化によって多くの企業が情報を持っていますが、十分に活用できている企業は決して多くありません。膨大なデータを処理することができず、「ただ溜めているだけ」という状態に陥りやすいのが現状です。

しかしデジタルツインならAIが分析するので、データに溺れることなく正しい意思決定を下すことにつながります。

デジタルツインのメリット

デジタルツインを導入すると、企業には以下のようなメリットがあります。

・設備を最適な状態に保つ
・開発コストの削減
・アフターサービスの品質向上

例えばデジタル空間で現実の工場をそのままサイバー空間に再現すれば、全体の機器メンテナンスを遠隔地から行えます。さらに新しい製造ラインシステムをデジタルツインで再現できれば、時間や費用をかけて試作しなくても不具合をチェックできるので大きなコスト削減につながります。

また、販売した製品のリアルタイムデータをデジタルツインで再現できれば、新しいニーズや不満点を見つけことができます。何か困ったことがあった時、今までなら顧客から企業に連絡しなければ動いてもらえません。しかしデジタルツインを活用すれば、不具合があった時企業から顧客に働きかけることができ、アフターサービスの品質向上に貢献してくれるのです。

デジタルツインは最新ITが結集している

デジタルツインの実現には、現在の最新技術が欠かせません。まず現実空間の情報をリアルタイムで収集するためにモノとITが繋がる「IoT」という技術が必要ですし、IoTで収集した膨大なデータを分析するためには「AI」という技術も必要となります。

また、膨大なデータをリアルタイムでサーバーに送るためには大容量データをスムーズに送受信できる「5G」も必要です。デジタルツインは、このような最新技術が詰まっています。

デジタルツインとシミュレーションの違いはリアルとの連動

デジタルツインとシミュレーションの大きな違いは、リアルタイムで連動するという点です。シミュレーションは構築した当時の完璧な状態のデータで環境を作るため、現時点でのモノのデータをリアルタイムで反映することはできません。

一方デジタルツインは現時点のモノのデータをデジタル空間で再現しているので、リアルタイムかつ最新の状態が確認できます。その都度、人がデータを収集・分析してシミュレーションをする必要もなく、人が手間をかけなくても現実世界とデジタル空間が連動しているのです。

例えばコストをかけてシミュレーションしたロボット掃除機を出荷しても、出荷後のリアルな状態はすぐにわかりません。しかしデジタルツインがあれば、「ブラシ部分が故障している」「ゴミの検知システムに不具合が起きている」など細かい状況をリアルタイムで確認できます。

この出荷した後の状態や稼働中の製品の状態を把握できるというのは、シミュレーションとデジタルツインの大きな違いとなります。

【製造・建築・国政】デジタルツインの事例3選

すでにデジタルツインの導入が進んでいる事例を、製造・建築・国政の3業種に分けてご紹介します。

【製造業】3Dプリンター開発で34%のコスト減に成功

電子機器などの製造から医療や生産設備のシステム・ソリューション事業までを手掛けるドイツのシーメンス社は、デジタルツインを使ったソリューションを多く提案しています。

HP社の3Dプリンター開発では、冷却構造部分の開発でデジタルツインを活用して34%以上のコスト減と33%以上の流通改善を実現した事例を発表し、大きなコスト削減を実現しています。(1)

シーメンスはIoTプラットフォームを基盤としたクラウドサービスやアプリサービスを持っており、設計からシミュレーションまで一貫してデジタルツインを活用するビジネスを提案しています。

シーメンス社社長兼CEOは、「製造業にとってデジタルツインは選択肢の1つではなく、必要不可欠な物」とある基調講演で強調しています。(1)
その言葉通り、日本の製造業でもデジタルツインの導入が進み始めているのです。

【建築】清水建設はデータプラットフォームの整備を宣言

日本の建築業界でもデジタルツインの導入が始まっています。大手ゼネコンである清水建設は、2020年10月にデジタルツインを社会に実装することを目指し、オートデスク社とデータ基盤を協業プロジェクトで整備していくことを発表しました。(2)

第一弾として、清水建設の不動産開発案件である「豊洲6丁目プロジェクト」の周辺エリアを対象とした都市のデジタルツイン化を進める構想を進めています。

そしてこの豊洲6丁目プロジェクトではスマートシティ化を実現し、国内初のオートデスクのクラウドサービスを活用したデータ基盤を整備しようとしているのです。このプロジェクトが進めば、建築のIT化であるBIM/CIMモデルもサイバー空間で構築できるようになり、建築後の建物もデジタルツインでしっかり設備が保全されるようになるでしょう。

【国政】スマート東京でQOLアップへ取り組み

日本は産業に限らず、国全体でデジタルツインを導入しようとしています。東京都は「スマート東京実施戦略」と銘打って、東京都民のQOL(生活の質)向上に向けてデジタル化をさらに進めています。(3)

スマート東京実践戦略が進むと、都民には以下のメリットがあります。(4)

・防災…カメラやドローンで街の情報を集める。AIが危険を自動で検知する
・モビリティ…自動運転が実現して安心安全な自動車社会が実現する
・ウェルネス…見守りロボットの巡回で子どもや高齢者等を見守る
・働き方…テレワークがさらに進む。単純業務をAIに任せ働き方改革

上記のような都民のQOL向上以外にも、デジタルツインを活用して都政をアップデートしたり、データ活用による経営判断や生産性向上で都内企業の「稼ぐ力」の向上を目指したりといった効果が期待されています。(5)つまり経営者やエンジニアに限らず、今後は会社員にもデジタルツインの影響が出てくる可能性があるということです。

デジタルツインが進めば、私たちの生活はますます便利になると予想されています。今後もどんなサービスが生まれるか楽しみにしたいものです。

 

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参照
※1 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/06150/
※2 https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020027.html
※3 https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/news/2020/doc/20200207_001.pdf
※4 P.4「スマート東京の全体像」より
https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/news/2020/doc/20200207_001.pdf
※5 P.51「デジタルツインによって期待される効果」
https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/news/2020/doc/20200207_001.pdf

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