AppleのIoTでつながるモノ
「Apple Watch Series 3」は、ついに単体で通話ができるようになりました。腕時計が携帯電話になる時代です。スパイ映画のアイテムのようでもあります。ロボットを操縦することはまだできませんが、21世紀にまた一歩足を先に進めた印象があります。
ところで、以前のバージョンからApple Watch は、HomeKit対応製品であれば照明のオンオフなどが可能でした。IoT家電のリモコンにできました。
現状としては、AppleのIoT戦略は他社と比較して遅れを取っている印象があります。IoTの分野ではどこか冴えない印象のAppleですが、なぜなのか、他社の状況も考察しつつ探っていきます。
まずAmazonのスマートスピーカーの意義を再考してみましょう。
なぜAmazonはスマートスピーカーを開発したのか
そもそもAmazonがスマートスピーカーを開発した理由と背景を推測すると「スマートフォン市場の参入に失敗したこと」が考えられます。
Amazon は2014年に、ハイエンドのスマートフォン「Fire Phone」を発売しました。この端末では、カメラやマイクの情報からダイレクトにショッピングができる「Firefly」ボタンが重要な機能でした。Amazon Dashのように、スマートフォンからダイレクトに書籍や日用雑貨、音楽、映画などを購入できる仕組みがありました。
しかし、スマートフォン市場参入は失敗し、2015年にFire Phoneは販売終了します。もしFire Phoneが成功していたら、Echoは生まれなかったかもしれません。というのは、スマートフォン事業が成功していれば、消費者の「注文窓口」としてFire Phoneが機能したのではないか、と考えられるからです。
Amazonの戦略は案外単純ではないでしょうか。「ECサイトを活性化するためにハードウェア端末を揃える」というビジネスモデルです。電子書籍のためのKindle、AmazonプライムビデオのためのFireタブレットとEcho Show、そしてファッション購買の活性化としてEcho lookというように。
あくまでも推測に過ぎませんが、Amazonのデバイスはスマートホームの構想より「ECの販売促進に貢献する役割が強い」と考えられます。一方でAppleはiOS 8をリリースした2014年から、スマートホーム開発向けのアプリHomeKitを提供しています。
アップルストアで購入できるスマートホーム家電
iOSを搭載したiPhone、iPad、Apple Watchで操作できる商品がオンラインショップに掲載されています。日本では購入できる商品が少ないとはいえ、主な公式製品を抜粋します。
アラーム&センサー
以下のセンサーはBluetoothで接続しているので、基本的には室内もしくはBluetoothで通信できる範囲に限られます。
Elgato Eve Degree Indoor Sensor
¥8,100 (税別)
家の中の気温、湿度、気圧を計測します。Siriに音声で質問すると、回答をデータで表示します。
Elgato Eve Motion Wireless Motion Sensor
¥6,400 (税別)
人感センサーで、人の通行によって照明などをコントロールできます。
Elgato Eve Door & Window Wireless Contact Sensor
¥5,100 (税別)
ドアや窓の開閉など自宅の状況をモニタリングします。
Elgato Eve Weather Wireless Outdoor Sensor
¥6,400 (税別)
屋外の温度、湿度、気圧を感知します。Siriと連携。
照明&スイッチ
Philips Hue Go
¥9,800 (税別)
7種類の照明エフェクトがあり、5種類のパターンで光を変化させられるポータブルな照明です。コンセントおよびバッテリーで駆動。
Philips Hue White AmbianceランプA19
¥3,400 (税別)
自分だけにカスタマイズされた照明を作ることができます。起床、就寝、読書など行動に合わせて最大50,000色もの光を調節。ワイヤレスで接続、アプリケーションを通じてタイマーの設定も可能です。
Philips Hue White and Colour Wireless AmbianceスターターキットA19 E26
¥26,800 (税別)
Hue電球3個とHueブリッジ1台の構成。Wi-Fiに接続したHueブリッジとアプリケーションを使って、最大50個の電球を同時にコントロール。音楽と照明を同期させたり、Siriに話しかけるだけでカスタマイズした設定の照明を呼び出せます。
ビデオカメラ
D-Link Omna 180 Cam HDカメラ
¥19,800 (税別)
180度の広角レンズとフルHD(解像度1080p)のカメラによって、部屋を監視できます。赤外線LEDで、暗闇でも最大5メートル先を確認できます。
ルンバに掃除をさせたり、エアコンを付けたりするには
アップルストアで購入できる製品はわずかですが、エンジニアなら既存の製品をHomeKit対応にできます。「IRkit」という赤外線で家電をコントロールする端末と、Node.jsのライブラリやパッケージを管理するツールの「Homebridge」が必要です。
詳細は省略しますが、IRkitとHomebridgeを使うと、時間を設定してルンバに掃除をさせたり、家に帰ったときにエアコンの電源を自動的にオンにしたり、スマートホームを体験できるようになります。興味があればIoTの開発に挑戦すると面白いかもしれません。
HomeKit対応製品が可能であるにも関わらず、実用化されたApple公式製品が少ないことには理由があります。Appleが可能な限りセキュリティを強固にする仕様を定めているからです。ライセンス認証の時間が長いため、開発の妨げになっているともいわれています。
HomeKitのアプリはあるとはいえ、iOSとつながり、Siriによってコントロールできるモノはまだ多くありません。スマートホームの実現には、長い道のりが必要のようです。
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