『Autodesk AutoCAD 2019 for Mac』と『Autodesk AutoCAD LT 2019 for Mac』の違いを徹底解説
建築系や土木関係、機械設計などの分野で広く使用されている『Autodesk AutoCAD』。
これらの業界で設計に関わった方であれば、2Dや3D設計が可能で立体的に、且つ直感的に操作できるこのCADを一度は扱ったことがあるでしょう。
そんな『Autodesk AutoCAD』ですが、実は『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』という異なる種類があることをご存知でしょうか。
結論から言えば、このふたつは名前こそ似ていますが、とても大きな違いがあります。
この記事ではその違いについてOSを『Mac』に、バージョンを『2019』に絞って解説していきます。
『Autodesk AutoCAD 2019 for Mac』と『Autodesk AutoCAD LT 2019 for Mac』の違いとは、いったいどのようなものなのか。
購入を検討中や現在ご使用中で、それぞれの違いを正確に理解できていないという方には、是非ご一読いただきたい内容になっています。
最後には、『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』の実際の活用事例もご紹介していますので、導入後のリアルなイメージと合わせてご確認ください。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
① 『Autodesk AutoCAD』とはどのようなCADか
② 『Autodesk AutoCAD 2019 for Mac』と『Autodesk AutoCAD LT 2019 for Mac』の違い
③ 『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』それぞれの活用事例
『Autodesk AutoCAD 2019 for Mac』と『Autodesk AutoCAD LT 2019 for Mac』の大きな違いは機能制限の有無
『Autodesk AutoCAD』とは?
『Autodesk AutoCAD』とは、『Autodesk』社が1982年から発売している汎用CADソフトです。
2Dや3Dを扱うことができ、建築や土木関係、機械系など幅広い分野で使用されています。
もっとも特徴的なのが、データフォーマットやAPIを公開している点です。
一般的にCADソフトはデータフォーマットやAPI情報を明かさずに、顧客からのカスタマイズ要望やメンテナンスを継続的に請け負うことで、販売元(開発元)が収益をあげるモデルで運営されることが多い業界とされています。
しかし『Autodesk』はその常識に反して、データフォーマットやAPIを公開することで独自の地位を確立したのです。
『Autodesk』は代理店に顧客のケアを委ね、関連アプリケーションをサードパーティに委ねることで、自由度と可能性を持たせてユーザーとシェアを拡大してきました。
今回はその中で、通常の『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』との違いについて比較していきます。
オープンフォーマットによる独自路線のパイオニアとして開発を続ける『Autodesk』の『AutoCAD』と『AutoCAD LT』。
ご自身の業務の内容と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
『Autodesk AutoCAD 2019 for Mac』と『Autodesk AutoCAD LT 2019 for Mac』の違いとは?
末尾に文字が付くか付かないかという差しかないように見える『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』。
このふたつのソフトには、いったいどのような違いがあるのでしょうか。
もっともわかりやすい言葉で、違いを表すとするなら下記のようになります。
Autodesk AutoCAD | 通常版 |
Autodesk AutoCAD LT | 簡易版 |
そのため価格も『Autodesk AutoCAD LT』の方が、半額以上安価に設定されています。
通常版と簡易版は用途が異なるとともに、簡易版には様々な機能制限が設けられているので注意しましょう。
どのような機能制限が設けられているのか、それぞれの機能を一覧で比較してみます。
Autodesk
AutoCAD |
Autodesk
AutoCAD LT |
||
用途 | 2D 作図、図面、ドキュメントの作成 | ◯ | ◯ |
3D モデリングおよびビジュアライゼーション | ◯ | × | |
機能 | 2D ジオメトリの作成と編集 | ◯ | × |
ソリッド、サーフェス、メッシュ オブジェクトを使用して 3D モデルを作成し編集 | ◯ | × | |
文字、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈付け | ◯ | ◯ | |
リボンやツール パレットのカスタマイズ | ◯ | ◯ | |
アドオン アプリケーションや API を使用したカスタマイズ | ◯ | × | |
オブジェクト データを表に抽出 | ◯ | × | |
PDF ファイルからデータをアタッチして読み込み | ◯ | ◯ | |
DGN ファイル、Navisworks、Bing マップのデータを共有して使用 | ◯ | ◯ | |
CAD 標準仕様を適用して準拠状態を確認 | ◯ | × | |
同梱 | Autodesk App Store の利用 | ◯ | × |
新しい AutoCAD Web アプリ | ◯ | ◯ | |
AutoCAD モバイル アプリ | ◯ | ◯ | |
建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種に特化したツールセット | ◯ | × | |
ライセンス | シングルユーザー | ◯ | ◯ |
マルチユーザー | ◯ | × |
(*1)
上記のように、使用用途が『Autodesk AutoCAD LT』でも問題ない場合は良いですが、CADに求める条件がクリアできず、導入する目的が果たせないようであれば通常版である『Autodesk AutoCAD』を導入することになります。
価格の違いが、機能面にも大きく現れていると思って相違ないでしょう。
それぞれの対応機能をよく確認し、求めている必要要件と照らし合わせるようにしてください。
『Autodesk AutoCAD』の活用事例
事例①:アメリカ/デトロイトにあるレストラン『Lumen Detroit』
アメリカのボストンにある建築設計事務所『Touloukian Touloukian Inc.』が手がけた、デトロイトにあるレストラン『Lumen Detroit』。
ビーコンパークの再開発の一環として手掛けたこのレストランは、5つもの賞を受賞しており、『Touloukian Touloukian Inc.』の代表的な建築物となりました。
設計を行う過程で『Autodesk AutoCAD』に実装されている『Architectureツールセット』を活用し、共同作業を行うなどして『Lumen Detroit』を完成させています。(*2)
事例②:プロジェクトドラフトマン Oli Cooper 氏の舞台設計
ロンドンの国立劇場で活躍するOli Cooper氏の手掛ける舞台設計にも『Autodesk AutoCAD』は活用されています。
デザイナーのイメージをもとに『Autodesk AutoCAD』を使って図面化し、実際に組み上げられた舞台で行われたショーによって観客を魅了しているCooper氏。
『Autodesk AutoCAD』に『3ds Max』というプログラムを追加することで、視線のシミュレーションを行って、舞台の完成度をあげています。(*3)
単一のソフトだけでなく、様々なプログラムを追加していけることも、『Autodesk AutoCAD』の魅力のひとつです。
『Autodesk AutoCAD LT』の活用事例
事例③:メタルハンドバッグの設計
ニューヨークで、金属製のハンドバッグの設計を行っているWendy Stevens氏は『Autodesk AutoCAD LT』を活用しています。
頭に描いたイメージを的確に図面化することができる『Autodesk AutoCAD LT』は、今やWendy Stevens氏のデザインを支える必要不可欠なツールとなっているのです。
以前は手作業で穴をあける箇所などを設計し、あまつさえ穴あけすらも手動で行っていました。
しかし『Autodesk AutoCAD LT』を導入することで、システマチックに設計することが可能になり、穴位置が明確に指示することができるようになったのです。
これによって加工時間が大幅に削減され、完成度も向上しました。(*4)
オシャレにこだわりの強い女性を唸らせるようなデザイン設計にはセンスが必要ですが、センスだけでなくデザインや製造を行っていく段階における作業の効率化も必要不可欠です。
製造効率を上げ、製造コストを減らすことができれば、Wendy Stevens氏にとってもユーザーにとっても嬉しい結果を招くことでしょう。
◆まとめ
このように、様々なシーンで活用される『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』。
サードパーティを巻き込むことでソフトそのものの可能性が広がり、活用シーンが多様化しています。
単なる建築物だけではなく、舞台装置やハンドバッグに至るまで、ユーザーの発想力やイメージを余すことなく具現化していく『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』。
今後も活用シーンはどんどんと広がり、様々な場面でイメージを具現化していくことでしょう。
我々が普段何気なく目にしている建物やファッション雑貨に至るまで、実は『Autodesk AutoCAD』や『Autodesk AutoCAD LT』によって設計されたものがあるかもしれません。
このように『Autodesk AutoCAD』や『Autodesk AutoCAD LT』が生み出した作品たちが、日常生活に自然に溶け込んでいるのです。
世界中のいたるところで目にする色々なものに使われている『AutoCAD』。
『Autodesk AutoCAD』と『Autodesk AutoCAD LT』それぞれに、30日間の無償体験版が用意されています。
まずは一度、実際にお使いになってみてはいかがでしょうか?
◆参考・引用
*1 https://www.autodesk.co.jp/buy-online
*2 https://www.autodesk.co.jp/customer-stories/touloukian-touloukian-inc-autocad
*3 https://www.autodesk.co.jp/customer-stories/national-theatre-london
*4 https://www.autodesk.co.jp/customer-stories/wendy-stevens-autocad
建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!
CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中
デジタルツインと i-Constructionについての ホワイトペーパー配布中!
❶デジタルツインの定義
❷デジタルツインが建設業界にもたらすもの
❸i-Constructionの概要
❹i-Constructionのトップランナー施策
▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!